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Ringwanderung
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138 :
独
12/08-22:35
#懐かしい話をしようと思う。
兄貴とローデリヒは顔を合わせれば喧嘩ばかりしている。喧嘩と言うよりは兄貴が一方的に喧嘩を吹っかけているに過ぎんのだが、ローデリヒもああ見えて実は沸点の低い短気な人だ。
言わずもがな、喧嘩になる。
だが過去に一度だけ和解を試みた日があった。
>今日は特別だ
兄貴のこの言葉から始まったあの日は確か…ある年の8月23日だった。兄貴の突拍子も無い提案は毎度の事であるが、今回はまた一段と突拍子も無いものだった。在ろう事か兄貴はローデリヒとピアノの連弾をすると言い出したのだ。ローデリヒはともかく、兄貴は音楽を嗜んでいたとは言え…散々啀み合った者同士の連弾とは幾ら技術が合っても不可能に近い。半ばソファに縫い付けられる様に座らされた俺とフェリシアーノだったが、演奏の内容は散々なものだった。
譜面通りに奏でられてゆく音では有ったが、
その音色と言えば、
>荒々しく我先にと弾ける豪快な音色
#繊細ながらも一つ一つ芯を持った音色
二つの音色はまるで、
日頃の口論の様に纏まりが無い。
此処まで争えるのは才能に近いのかも知れん。
#喧嘩するほど何とやら
とでも言っておこう。
結局、
この後何時もの口論となったのは言うまでもない。
本当にこの人たちの口論する様は、
#実に生き生きとしている。
俺がこんな話をしたのは、
ローデリヒから貰ったこの曲聴いていたのと、
また喧嘩したらしいという風の噂を聞いたからだ。
そして今日は、
思い出に浸るには静かで良い夜だ。
>Polonaise von Held.
- ポ.ロ.ネ.ー.ズ第6番 変イ長調 Op.53 -
何百年喧嘩を繰り返えせば、
あの二人は飽きるんだろうな。
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