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Ringwanderung
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157 :
独
12/26-23:38
#20141226 23:38 - Leben -
日の出を前に執務室で温かい珈琲を飲んでいた。
椅子に浅く腰掛け山積みの書類を漁る現状を前に、俺の思考回路も大分鈍くなっていた。気分転換にと掌の此の本棚を開いたんだが、俺の手記に彼奴の名で綴られた頁を見つけた瞬間、驚きを隠せず持っていたカップが思わず揺れた。
うっかり注ぎ過ぎた珈琲が一滴落ち、読み途中のまま半ば置きっぱなしになった本の頁に染みが出来た。静寂の部屋の中、無音で茶色の花が咲き広がっていく様に、俺の心もじんわりと暖かくなった。大した染みでも無い…お前の綴る手記に比べたら、現.世の基盤など取るに足らんのだからな。
寧ろ此れは喜ぶべき事だ。
彼奴からの乱入など想定もしていなかった出来事が目の前で起きているのだからな。なんとも表現し難いが、とても嬉しい。どうすればお前に上手く伝えられるかを考えている。なかなか答えは見つからないものだな。
>きっとこの先も染みを見る度に思い出すだろう。
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