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Ringwanderung
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278 :
独
07/06-06:40
#20150706 22:20 - Leben -
>今日も朝から雨が降り続いていた。
行き交う人々に紛れて黒い傘を広げる。傘越しの空が重たく見え、気分までも沈めていくようだった。まだ今週が始まったばかりだというのに、気が滅入るのは何故だろうか。
#昨晩、久方振りに彼奴とキスをした。
だがきっと彼奴は覚えいないのだろう。もう今更、聞く気にもなれないが、大抵、酔った時の記憶は彼奴の中に残らない。俺は其れを理解していながらも、空虚感と欲望の狭間で揺れる。我ながら愚かな男だと思う。記憶に残らないのなら、痕の一つでも残しておくべきだったかもしれない。
>其れが単なる自己満足に過ぎないとしても。
#目が覚めて、
変わらぬ朝が来て、慌ただしいうちに時間は経ち、そのまま日が暮れていく。魔法が解けたように、跡形もなく昨日の全てが消え去ってしまう。
>其れが少し寂しくもある。
#悲しんだところでどうにもならない。
>今の俺たちは、
こんな方法でしか、感情を確かめ合う事が出来ないのかもしれない。どうせ忘れるのなら、俺の記憶も消えればいいのだがな。
#だが消えず色濃く残るのが現実だ。
俺を見つめる瞳、ふやけた笑み、重ねた唇の柔らかさ、掛かる息の生暖かさ、唾液の甘さ、触れ合う体温、手で触れた肌の感触。
>其れ等全てを俺は覚えている。
例えお前が忘れてしまっても、
俺は忘れはしないだろう。
#其の全ては呪縛の様に心臓に刻まれた。
>20142200
少しでもお前の記憶として、
残っているのなら幸いだ。
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