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Ringwanderung
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416 :
独
07/27-18:15
>K.B.P
- Kartoffel Bruder Planung ( 後半 )
前半については、
史実捏造要素が強い為、鍵付にて綴る。
#9年間の思い出話に、
#長年の感謝を込めて記す。
兄貴が帰ってきてから、
犬3匹と俺だけだった家が一気に賑やかになった。戻ってきたあの人は、いつもだらしのない服を着て、部屋で読書ばかりしていた。甘いものが大好きで寝顔が少し間抜けだ。その頃の俺は、昔の兄はこんなだっただろうかと思い返す事も多かった。別人のように兄貴は丸くなっていた。「良いんだよ、もう誰とも争っちゃいねぇんだから」と兄貴は言った。
それからの兄貴との暮らしは、ある意味では毎日が嵐のようだった。兄貴ときたら、出したものは片付けない、脱いだ服はそのまま、勝手に俺の部屋に入っては本棚を漁り、俺のプライベートな部分を脅かすことも少なくない。極め付けは、俺の59務の持ち帰り資料を隠すことだ。お陰で無駄に徹夜する羽目になった。
見ての通り、
今の兄貴は大きな子供といっても過言ではない。
そんな日常が続いて2年が過ぎた頃、兄貴にも俺にも恋人という大切な者が出来た。別段、互いに一人暮らしをする話もなく、お互い深く干渉しない程度に、夕食時に恋人とのことを話題に少し出したりする程度だ。お互いの恋人を兄貴も俺も知っていたからか、4人で出掛けることも何度かあった。
そんな平穏な日々は突然消え去っていった。
多くは語れないが俺はある日を境に恋人を失った。それよりも少し前に兄貴も恋人と別れていた。俺の心は酷く荒み、今考えても恥ずかしいが、欲望のままに熱を貪った。それを見て兄貴は咎めなかったが、ただ一言「たまには飲みに行くか」と言った。酒場で浴びるように飲んだ酒の味をまだぼんやりと覚えている。
「酷く抱かれてやってもいいぜ」とあの人は言ったが、いくら酔いが回ろうが、兄貴は俺の唯一無二の兄であり、とてもそういう目では見れないことに気付く。これが家族というやつなのかもしれない、とこの時になって初めて考えるようになった。
身内にこんなことを言いたくないが、
兄貴は尻が軽い節がある。恋人という存在がないといつものらりくらりとしてばかりいる。上記のように酔った勢いで迫られたことも一回ではない…それがあの人らしいのかもしれないが、流石に俺はあの人を抱く気にはなれないな。面前で此の話をするとあの人は怒るがならやめればいいと俺は思うぞ(今はそういう事はなくなったから良しとしているが)。
そんな尻軽な兄貴だが、俺が今の妻となるアーサーに出逢い、付き合うことになった時、一番喜んでくれたのもあの人だった。今だに俺たちのことを気に掛けてくれたりする姿を見ると、あの人の優しさを感じる。
俺とアーサーが付き合って間も無く、俺たちのことを気遣って兄貴が家を出て行った。兄貴は一人で世/界を見たくなった、といって出て行ったのだが、恐らくは俺たちが理由だろう。
一人暮らしを始めた兄貴は相変わらずで、朝から電話は来るし、休日は家に突然押し掛けちゃっかり昼食を食っていくくらいだった。まあ、あの人らしい、と小言程度で許してしまう俺も俺なんだがな…。
今、兄貴は旅に出ている。
本当に自由な人だ。
貴方が何処へ行こうがやはり貴方は俺の兄であり、
家族なのだろう。
昔話はこのくらいにしておこう。
>契りを交わして9年。
>未熟な頃から世話になったが、
>これからもよろしく頼むぞ、兄さん。
#貴方が成し遂げんとする幾多の未来が、
#永遠に栄えゆく事を願う。
Ludwig
>K.B.P
- Kartoffel Bruder Planung ( 後半 )
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