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イエローマシンガン
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14 :
米◇
09/10-08:08
昨日は満月の見える部屋でワインに願い事をかけて飲んだ。
あっちにはそういった風習があるらしい。
普段は鼻で笑って流すまじないの類、その日は思い切り信じた。
二杯飲み下したそいつはちりちり喉を焼いたけど、心地良い酔いでそのまま彼に寄りかかったままノックダウン。
全く格好はつかないけど彼は俺のことを自分だけのヒー/ローだって言ってくれたな、嬉しかった。
さて、言えなかった願い事。
暖かい温度はちゃんと目の前で望んだ。
でも…締めきったネクタイを緩めることも、のりが利いた硬いシャツを乱すことも、隙の無い態度を崩す事も、落ち着く声音を焦らせて必死にさせる事も、鬱血のキスマークを所有印みたいに残す事も、思考ジャックでさえ。
一緒にずっと居たいとは願った。
けど裏側で俺だけの恋人で、なんて思った事実は消えない。消すつもりも毛頭ない。
朗らかに笑う事は嘘じゃない。けど時たま苦しい位欲しくなる。何がって全部だ。
貪欲で強欲な自分が自分で嫌いじゃない。
仕事先の部下に茶化される度に上手く話を逸らすだとか、上司に悟られない嘘の笑顔も態度も全部、悔しくて気持ちが悪いけど逆に秘密にしている事がフラストレーションよりも愛、というより恋慕が溜まる。募る。
たまにあの人の土地に関しての利害が綴られた書類を見ると、判子やサインをする前にばらばらに千切ってしまいたくなるんだ。
もちろん無表情のままでだけど、それにしないけれど。
そういう時に無性に会いたくなったり根も葉もない他愛もないラブレターを送り付けたくなるんだ。
支度をする。
青空が綺麗だ。
庭弄りをする背中を思い出す。
毎日の気遣う言葉を反芻する。
以外と感情豊かな表情を見る。
心は晴れ晴れとしていて
相反して独占欲と詰まる思い塊が沈殿して居たり。
その重たさが自分では気持ちが良い。
マゾヒスティックなそれじゃなくてさ、隣で笑ってくれるあの人の存在がここまでずっしりと感じられるからだ。
何もなかった空室に居もしない神に祈る日々が終わってくれた気がした。
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