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鳥啼
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11/11-14:59

>何でも大きな船に乗っている
 
絶間なく黒い煙を吐いて、蘇芳を追いかける。
 
「この船は西へ行くのか」と問うた者があった。
 
金牛宮の七星、神の創造したもうた地平線、洋琴の調べ、ぼちゃんと小さな水しぶき。
 
何にも耳を傾けず、ただ一定の速度で陽を追いかけるその船の振動が、酷く恐ろしいのです。
地平線は遠く陸は見えず。それが酷く不安なのです。
 
時折、指を絡めている筈の彼の人の体温すら、感じられなくなるのです。
いっそのこと、不安気だったゆきずりのあの方の様に、ぼちゃんと。
いえ、いえ、甲板から足を離す勇気すら持ち合わせていないのです。
 
必死に必死に彼の人の体温を探り、彼の人の甲に頬を擦り寄せる事が、精一杯の勇気なのです。

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