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君はさよならを教えてくれない
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21 :
露
12/16-22:00
> 臆病者について
欲しいものはみんな与えられたから、潰れた声帯をどうこうする必要なんてなかった。
銀色の食器。一冬分の酢漬け。琥珀色のお酒は浴びるほどの貯蔵があった。ペチカの炎は燃え続けるのに、薪の心配はいらない。
ここには屋根がある。柔らかい毛布と、それから君も。
君が一生懸命考えて準備してくれたものだった。ありがとうは言わなくても伝わった。厚意にあぐらをかいている訳じゃない。むしろ、言ってしまったら駄目になる事を知っていた。
喋ったら最後、僕はぐにゃぐにゃになってしまう。潰れた声帯に感謝する日が来るなんて思いもしなかった。
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