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Subterranean Rose
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12 :
英◇
03/30-21:17
愛を、殺そうと思った。
俺の中で緩やかに息衝く愛の首に手を掛けて、指先に力を込めれば、それで終わることが出来た。
どの道、いつか誰かに殺されてしまう愛だ。
いつ何処で息の根を止められるか知れない恐怖に怯えながら愛を生き永らえさせる位ならば、ほんの少しの覚悟と共に、今此処で俺が殺してしまう方が余程易しいに違いないと、思っていた。
それでも、如何しても、其れを殺してしまうことは出来なかった。
幾年も前に流行った心理テストにも、訳知り顏の自称愛の国にも、繰り返し、繰り返し下された俺自身への評価。
曰く、”愛することに必死になるあまり、愛されることが絶望的に下手過ぎる”と。
ならば、それならば。この手で愛を殺してしまえば、俺には何が残るというのだろう。
愛することしか能のない木偶が、愛を失えば、僅かの価値すら残らない。
そうして死に損なった愛は、終わりばかりを見据えて、俺の中の何処か奥底で、静かに息を続けるのだった。
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