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Subterranean Rose
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8 :
英◇
03/22-21:29
お前が居なくなっても、生きていけないなんてことはなかった。俺は今日も生きている。ぼんやりと庭を眺めて、不要になった白薔薇を刈って、またあの愛しい混色の薔薇を増やそうかと静かに夢想に耽りながら。
それは至極自然で、当然のことだった。適度な酸素と水と栄養さえあれば人は死なない。人ではない俺も、きっと似たような条件で生かされて居るだろう。まるで植物だ。呼吸の過程が逆なだけ。
愛なんてものは、生きる上で必要のない娯楽と同じ区分分けがなされるもので、其れだってただの、戯れの甘言でしかないことくらい、お前も俺も嫌という程理解していた。
それでも確かに恋は死んだに違いない。
だってもう、どうしてお前を好きで居たのかなんて、これっぽっちも思い出せない。
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