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溺没
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3 :
Ludwig
10/18-01:25
- ep.01a
( 再会は媚薬の如く性交の香辛料を産す )
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國共が一堂に会した集いは有意義と云うには粗末な侭、呆気なく閉会となった。座席上の都合によりAの姿は視界の端にて存在確認する程度であり、時にAの視線を感じ芯が疼く。密会地は我々の常例となった宿だ。個々で押さえた部屋の入室手続きを済ませ、待合室で待機、両者揃った時点でエレベーターに乗り込みAの部屋へ向かうのが常である。入室後、数歩中に入った所で施錠も忘れ抱擁をしてそのまま唇を重ねた。それは浪漫的とは程遠く、且つ、妄りがましい唾液の交換という表現が相応しい。昼食のデザートは欠かさなかったのだろう。Aの唇から微かに甘い香りがした。そんな香りには不釣り合いの粗暴な接吻を繰り返し、解放された唇は吐息交じりに呼吸を欲す。Aは妖艶な笑みで「今夜はめちゃくちゃにされたい気分だ。」と、ただ一言告げた。指を食む唇の柔らかさとその隙間から這う様に現れた舌が、先の快楽を彷彿とさせてくる。「端からそのつもりだ。」返した言葉にAは小刻みに身体を震わせ、脱ぎ掛けのスラックスから覗く白群色の布に薄い染みを作った。熱で潤みを帯びた双眸が与えられる快感を映し出すかの如く更なる妖艶さを滲ませる。耳を食み、薄い筋肉を覆う白肌に朱の痕を刻めば、悦びにAは背を撓らせ胸の飾りを差し出す。半ば条件反射に似た其れはこれまでAの肉体に教え込んできた成果と言える。膝に艶かしく絡み付く股座は此方の欲望を掻き立てるには十分だ。主張するAの塊に触れてやれば恥じらいながら瞼を強く閉じる。少し間を置いて体を重ねる時、決まってAは何時もの淫乱さが嘘の様に羞恥心を露わにする。しかし、視線を逸らす事は許さない。「しっかり見ていろ」と命じれば、Aが逆らえない事を俺は良く熟知している。Aは毎度の様にそれを期待している事も無論、承知している。今宵は服を剥ぎ取るのが先か、本能から理性を剥ぎ取るのが先か。俺は後者が先になると踏んでいる。理性という皮があるなら残すは後一枚程度だ。少し身を引き与える刺激を滅し、たった一言、Aの被虐性愛を煽ってやれば、面白い程に快楽に従順になる。そして、卑猥な言葉を羞らいも無く吐いては誘惑を繰り返す。弱い所に軽く触れただけで少量の白濁を飛び散らせて嬌声を発し、絶頂への許可を求めてくるのだから愛らしい。俺は一度目は直ぐに許可してやる事にしている。するとAは細い腰を強張らせ、俺の名を繰り返し呼びながら愛液で腹を泥々に汚しながら果てた。Aは果てた直後に弱い部分を執拗に刺激すると悲鳴と嬌声を入り混ぜた甘い声を上げ、それから直ぐに先程とは違う種の液を吐き散らしながら生理的な涙を流していた。Aは大抵の場合、呼吸が落ち着くと直ぐに「イッたばかりなのに。」と俺に文句を言うが、やはり今回も同様だった。その割には、満更嫌でも無いのが手に取るように分かるのだから、見掛けによらず単純な奴だ。此処までして漸く俺たちはベッドへと場所を変えた。
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