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折れる
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159 :
英
11/29-03:58
深みに落ちて行く感覚は案外心地が好いものだと気が付いた。つたない足取りで一歩一歩自らの意思で踏み出して、毒を摘んでは味を見る。甘いか、苦いか、せつないか。喉を潤す甘露を求めては橋を渡って、朽ちかけた縄にライターからこぼれたオイルを垂らす。帰り道なんて消えちまえ、崩れて散って、振り返ることも、仰ぎ見ることも出来ない場所まで沈んでしまえ。いつか見た常春の夢は御伽噺、夜明けも待たずにさえずる小鳥は喉を潰してしまった。アメり力がいう夢見事のように、もしもタイムマシンが出来たらきっと俺は死ぬだろう。それだけは何故か確信のように判って、潰れた声で笑った。――眠れない夜は、セント・ジョーンズワートを一枚。そう、そこの多幸そうな御嬢さんも。
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