一覧
┗
折れる
┗161
161 :
英
11/29-04:19
※注
もしもタイムマシンが誕生したら、もしくは誕生していたら、なんて絵空事。俺は確実に死ぬだろう。アーサー・カークランドという個体は死に、新しい92の母体がうまれる。それは何故か。
まず、未来の俺がやってくる。そして、未来の俺は言う。
「どうしても払拭したい過去がある」
それが俺だ。消せない。過去は消せない、決して消すことが出来ない。それはこの数年で痛いくらい判った。消せない過去を疎んで、消せない過去を嘆いて、未来に生きる者は後悔し、苦しみ、泣く。俺は今、消せない過去を紡いでいる。刻み付けて、ひたひたに染み込ませて、未来の俺を滅茶苦茶にする為に生きている。そんな俺を憎んだ未来の俺は、きっと銃口とキスをさせてくれるだろう。火薬臭いそいつのボディに酔い痴れて、Bye!
次に、過去の俺がやってくる。そして、過去の俺は言う。
「どうしても避けたい未来がある」
それが俺だ。避けられない。過去はもう定まってしまって、現在を、俺を変えられない。あの幸福だった日々から見ればきっと、おぞましくて堪らないだろう。改竄出来ない未来を憎むのは当然だ。出来ることなら終わらせたいと思うのも道理だ。終わらせることが出来るのは他でもない当人だけなのだから、当然と言えば当然。過去の俺が現状を見たらどう思うか? ああ、手に取るように判る。喚いて、吐き散らして、泣いて、騒がしいに違いない。過去をかなぐり捨てるように、すべてを台無しにするように生きている。そんな俺を嘆いた過去の俺は、きっと首にきれいな華を咲かせてくれるだろう。潰れた悲鳴は笑い声。
しまいに、いまを生きる俺が鏡を見る。そして、俺は言う。
「――――」
ああそんな夢みたいな話が現実になったらなんて好いか、と。
[
返][
削][
編]
[
戻][
設定][
管理]