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Cockaigne
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54 :
英
02/21-01:31
随分と長く、この日記を開かずにいたせいか気持ちの整理が出来ないままずるずると月日ばかりが過ぎていたのだと、今更でしかない実感に苦々しい笑みしか出ない。書かなかった理由は何もないのだが、書けなかった理由は幾らでも、指折り数えて両手の指を使いきるくらいには……勿論、そんな理由を、(書こうと思い立った理由も、)書いたりはしないが。
最近の自分を振り返っても何も糸口が見つからない、現状として足場がぐらついて、まともに、周囲に目を配る余裕がないといった方が正しいのかもしれない、自分自身の気持ちが分からない。余裕がなくて些細な…変化や幸せを噛み締めるだけの余力が持てない。ただただ、日々を浪費しているとしか思えず、それが苦しいばかりで…僅かな救いの光に縋るように最愛の温もりや、愛情や癒し、空気を噛み締めて正気を保っているよう、な。気持ちが分からないと前述したがあいつを愛しいと思うのは変わらないし好きだと断言出来る自信まで失ってはない。はっきりと言うのなら伝え方を今更ながら模索しているというべきか。
どうすればいいと自問自答ばかりが思考を奪い、身動きが取れなくなる。足元に見えない何かが絡み付いて一歩踏み出すのが精一杯、それならいっそ…あいつの所に近付く為にその一歩を使いたい。何も解決出来ないが。
愛しい、その伝え方が分からない。どうすれば伝わる?どうすればあいつの記憶に残せる?気持ちばかりが溢れ、先走って焦って何をしたらいいのか分からずに憔悴していくのが分かる。
ゆっくりと時間を作って、ゆっくりと…話したい。ただ連ねていたただけの言葉を縒って重ねて、リボンのように結わえたらいい。それで何かが変わるのか、何が分かるのかも未知のままとはいえ、きっと何かは、変わるだろう。
だが、これはただの我儘
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結論からしたら、本当に俺はばかだった。ぐちゃぐちゃに絡み合って解決する為の糸口を探す為の糸口を探して、見付からずに項垂れてはあいつに慰められたくて、また糸口を探そうとしての繰り返しをしていた悩みを、一本の線に変えてしまえば、愛してるってこれから先に何回伝えられるんだろうか、ってだけなんだから。
殴り書きした日記を見たあいつの言葉に謝罪して、それに返ってきた言葉と時間。それだけで良かったなんてもう笑うしかない。
時折あいつは、俺の奇跡や魔法の話題を持ち出してくるが、俺にとってはあいつの手が魔法の手なんじゃないかと、思う。
髪を撫でる、頬に触れる、手を繋ぐ、抱き寄せる、拾い上げてくれる、…それだけで満たされるんだから不思議だ。あいつの手が好きで、抱き締めてくる腕も、しっかりした体も、歩み寄ってくる足も、勿論髪も額も目も鼻も、頬や唇、首筋も何もかも好きだし俺だけのもの…ま、時々は切り取って大事に大事に硝子瓶に入れてしまいたくなる事もあるけど、全部愛しい。その中で一番好きなのが手、だってだけ。
俺が好きな一つ一つは全てあいつを構成するもので、どれも奪うことは出来ないし、あいつを構成しているからこそ、より愛しさが増す、ただ…あいつの手はあいつの優しさを象徴するものだと俺は思う。
そう、勝手に感じてるってほうが正しいんだが。
視線の迷いを見詰められる近さと、客観的になれる遠さとが共存してる、不思議なこの距離感が俺は好きだ。
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