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Cockaigne
 ┗57

57 :
07/03-22:51

>少しだけ、覚書に似た何か。

先の事を、未来の事を考えなくなったのはいつからだろう。期間限定で、って但し書きが付くのは自分で分かってるんだけど、此れが良い傾向なのか悪い傾向なのか自分でも分からなくてどうしようもない。
未来を期待しなくなった訳でもないし、望みを抱かなくなった訳でもない、ただ漠然とした不安がなくなって極々自然と、最愛と明日を迎えるんだろうと普通に思う期間がある、というだけ。
些細な仕種や言葉、帰ってきたあいつの第一声や寝る間際に贈られる言葉の一つ一つがすんなりと入り込んできて、一日を過ごす中で磨耗した、あるいは奪われ、または押し潰されて出来た空白の中をそっと満たしてくれる感覚の心地よさに浸る。優しさとか愛情とか、あいつを形成する諸々に満たされた硝子瓶の中に沈んでいるような、溺れる事もなく息苦しさや何もかもを感じる事なく、愛情だけで溢れそうな硝子瓶の中で過ごしているような、そんな日々を過ごす。硝子瓶の蓋はどこにもなくて、コルクを押し込まれる事もなくてきっと手を伸ばせば縁を掴んで出られるだろうし、腕を伸ばせば最愛が引き上げて抱き止めてくれるんだろう。この心地よさだけの甘い甘い中でシロップ漬けにされて果実が柔らかく蕩けていくように、きっと俺も。
………なんて。
蜂蜜のような甘い愛情だけに包まれているのなら毎日毎日注ぎ込まれる甘露が毀れてしまわないように少しずつ飲み干していけば餓えもしないんだろう。綿飴に幾重にも包まれた嫉妬や独占欲も喉を鳴らして腹に入れてしまえば砂糖漬けの果物と同じように蕩ける事が出来るんだろうか。
こうして「いま」を楽しんで、当たり前のように「さき」を確信できる安寧を齎してくれているのは間違いなく最愛であって、その安寧を共にと望む相手は最愛でしかなくて、結局のところそれでいいじゃないかと思考を放棄して甘ったるい恋慕で満ちた硝子瓶の中に自ら飛び込むんだろう。透明な硝子の外から覗けば中で寛ぐ俺は歪んで見えるんだんろうか、それとも最愛は甘露を注ぐ為に真上から覗き込んでいるんだろうか。

>手を伸ばしたら引き上げられるんだろうか、それとも薄いのか厚いのかも分からない硝子越しに掌を重ねるんだろうか、きっとあいつの手は俺のよりも、少しだけ大きいんだろう。
>そうでなければ困る。

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