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ボーダーホリック
 ┗18

18 :北☆伊
12/01-13:30


>  さあ、最初のドアを開こうか!


◆◆◆

  晴れていた。今日一日キレイに。予報では、雨のはずだったんだけど、色付いた葉っぱとか、街行く人のコートの色とか、彩度が落ちていく季節独特のそれが太陽に照らされて、すごくキレイだった。

  冬の遠い日の光は、俺の指先から徐々に温度を奪っていって、午後から引っ張り出していた描き掛けのキャンバスを、また描き掛けのまま棚にしまった。指の痛さが限界だった。
  俺は絵を描くのをやめて、シエスタ前に一杯、カフェラッテを飲むことにした。ミルクたっぷり砂糖どっさりのそれはコーヒーとはとても思えないほど優しいミルキーブラウンになった。カップを持つと、思ったより熱いそれがじんわり指先をほぐしていく。あまいカフェラッテを飲みながら、さっきの絵を思い出す。
  すごく明るく振る舞うのに、なぜか思い描く季節はいつだって冬だった。なんでかな。考えて、思った。あいつの笑顔だ。あいつの笑顔は遠くにあってもあったかくて頼もしいのに、消えてしまいそうなほど儚く感じる。きらきら、どこまでも透き通る冬の太陽みたいだ。
  そんなあいつの、寝顔スケッチに今、色を付けてる。本人にバレたら怒られちゃいそうだから、この絵は俺だけの宝物。
  大好き、ティアモ、愛してるって一筆一筆色と一緒に思いも重ねて。そうしてるとね、すっごく幸せな気分になるんだ。
  そんなこと考えてたら、カップが空になった。砂糖とミルクとあいつへの気持ち。優しくて甘いそれにとろけるようにシエスタすれば、あいつの夢が見れそうな気がした。
  そんなある冬の日の昼下がり。

  Ti amo Gilbert. chu, chu!



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