一覧
┗
うたかたのうた
┗3
3 :
フェリシアーノ
11/29-10:16
お前と離れてから数ヵ月経ったんだと気付いたのはつい昨日のことで寂れたピンキーリングが少し緩くなってきたのがキッカケだった、最初はあんなに綺麗だった銀色はところどころ茶色にまみれて表面がざらざらしてる。一度は血に濡れたからきっとその時からこれは綺麗じゃなくなったんだね、キラキラしていたような気がするのにそれがどんな風に綺麗だったかすら思い出せない。極上のベッラが振る舞う優しい指先のようだったかもしれないし王子さまが手掛けたたった一つの薔薇のように純粋無垢だったかもしれない。それを知る術はもう無いけれど俺の小指はリングを外せずにいるんだ、引き抜こうと思えば簡単にすり抜けちゃうのに俺は指先に力を込めない。なのにお前に対する愛情はきっともうどこにもなくて愛されてた記憶すら今はどこかに置き去りにしちゃったんだよ。捨てた場所は思い出せないのにそれでもどうせなら捨てた場所は海がいいななんてぼんやり思う、綺麗なクリアブルーの海に捨てたんだと思えば少しだけ悲しい思いも綺麗事で片付けられそうな気がするんだ。綺麗事が嫌いなお前はいつものように眉間に皺を寄せて怒るのかもしれないね、けどそれすらきっとどこにも残らないの。
[
返][
削][
編]
[
戻][
設定][
管理]