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12 :
本田菊
12/04-22:26
あの手には万年筆がよくお似合いでした。文字を一つ書く度に、力仕事には向いていない細い腕の筋肉が細かく動いて、其れを見るだけでも退屈凌ぎにしては随分と有意義な時間を過ごせました。
嗚呼、結局私は彼の手だからこんなにも見ていたくなるのでしょうね。
料理はてんで駄目な手が器用に針と糸をチクチクと動かすのも、本のページを捲るのも、
>(私の頭を撫でるのも、)
全てが目蓋の裏に刻まれて、忘れたくとも目を瞑る度に思い出してしまいます。
だからでしょうか、最近悪夢に魘されて困っています。
今日も私の頭を撫でにやって来るのですか。そうやって微笑むのですか。
目が覚めると自分が寝ている広いベッドの一人分のスペースに気付くだけで…此れもそろそろ処分しなければいけませんね。元来根っからの布団派なのにベッドじゃ夢見が悪いに決まってます、よね。
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