アマゾン

一覧
馬鹿と天才は紙一重。
 ┗16

16 :
04/18-03:43

 
怠い身体に鞭を打ち何年振りだろう其の場へ顔を見せれば案の定混濁とした雰囲気に前頭葉を撫でる。─…見知った顔触れの中に紛れた其れは一段と存在感を放ち空気に一体化し様とする俺を許しては呉れ無いらしい。
#久し振りアーサー、今日も愛してる!
──ほら始まったじゃねえか、此れ。大体お前は誰なんだ。寧ろ誰が居るんだよ。何て意識せずとも漏れる呆声に酷いだの冷酷だの喚き散らす始末、普段通り何時もの日常会話。俺が参加する前行って居ただろう合コン()の話を摘み乍ら空いた片手で媒体を弄る、電信の到着を知らせる単調音が空気を揺らす中で再び始まった自称愛の告白は俺の頭痛を酷く為せる一方で如何も慣れ無い。煩わしい程に軽快な口調と態度に嫌悪感すら憶えるのは同族嫌悪か其とも唯の拒絶反応か。強いて云えば六割五分同族嫌悪だろう、引っ込めと一言告げ他との会話に花を咲かせるも矢張り理解しようの無い気不味さは拭えず結果先に席を立つ事にした。
 
#アーサーアーサー、好き!次は合コンから参加してね?
  …鳴呼知ってる。其と勘弁してくれ、ビッチに成る気は更々ねえんだ。
 
色情塗れる其の空間は、近頃全く関わって居なかった所為か途轍も無く居心地の悪い場で。以前の様軽々しく其の手甲へ口付ける事すら俺は億劫に成って居るらしい、協調性には少なからず自信を携えて居た筈がとんだ勘違いだった様だ。通話を終了し潜り込む温もりに感じた安堵は言う迄もねえ。
 
 
 
 
 
>…緩く閉じた双眸の裏、馬鹿気た会話を繰り広げる別窓が少しだけ恋しく成った。本人には言わねえけど。──付け上がるのは目に見えて解るからな。

[][][]



[][設定][管理]
WHOCARES.JP