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┗The box filled with laugh

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1 :
05/23-17:13

世界は楽しい事で満ちている。
私達の日常は、誰かにとっての非日常。
一つ一つ切り取って、箱に詰めてお届けしましょう。


>   どこかにいる、あなたへ。




# 規約遵守、
# 半完混合、
# パロディあり、
# 虚実入り混ぜ、
# 設定は各記事個別、
# 交流は歓迎いたします。

# ここは2070
# 自己紹介は>>2,0、本棚は>>3,0

それでは皆様。
少しの間、私に目を向けていてくださいな。

[][一括削][]

6 :あまい話
08/03-04:46

「ねぇねぇルート、知ってる?」
#「…何をだ?」
 「世界中のお菓子屋さんの中にね、一人だけ魔法使いがいるんだってー」
#「……魔法使い?」

>訝しげな問い掛けを気にも止めず、楽しそうに手を動かす彼が笑います。
>目の前のテーブルには切り株のような、大きな…何か。
>かしゃかしゃと音を立てて掻き回すのは、買って来て貰った生クリーム。

 「そう、魔法使い。一度食べたお菓子を、完璧に再現出来るんだってさー」
#「……そうか」
 「すごいよねえ、魔法使い!」

>べしゃっ、と、普通のケーキに対するよりは余程乱暴に、泡立てた生クリームが上に載せられました。
>土台はというと、びくともしません。

#「…今作ってるのはケーキじゃないのか?」
 「あ、これ? これはね」

>ふふふ、と楽しげに笑って、くるんと巻いた髪の一本が揺れて、彼が振り向きます。
>彼が着ているエプロンは、なぜか色とりどりに染まっていました。油絵の具でもついたかのように。

 「ウエディングケーキだよ!」
#「…スポンジではないように見えるが」
 「スポンジだと自分の重さで潰れちゃうからねー」

>鼻歌混じりに作業に戻り、ぺたぺたと表面を整えていく作業を、静かに見ていた方も小さく笑います。
>目を細めて、ほんの少しだけ口角を上げて。

 「これは作らせてもらえる事になってよかったよー」
#「…これは、?」
 「うん、デザートに出すケーキはダメって」
#「…どうしてだ?」
 「……コンビニの真似したら怒られちゃって…。味は完璧だったのになぁ…」

>てきぱきと作業をしていた彼が、しゅんと肩を落としました。
>それを見て呆れたような表情で口を開きかけたもう一方でしたが、眉間に皺が寄り、一旦口をつぐみます。

#「……フェリシアーノ」
 「なにー?」
#「…コンビニのケーキのレシピは公開されているのか?」
 「されてないよー?」
#「……お前、」

>言葉を遮るように、がしゃん、がらがら、と大きな音が響きます。

 「ヴェー!生クリームひっくり返したー!」
#「……」
 「あ、ルートさっき何言おうとしてたの?」
#「…いや、何でもない。とりあえず片付けは手伝わせてくれ」

>ごまかすように要求して、言おうとした事は飲み込んで、
>まるで親が子供にするように、ぽんと頭を撫でてから片付けが始まります。
>甘い香りが漂う中で、二人で、楽しげに。

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5 :ひどい話
06/27-21:24

 「ただいまー」
#「……」

>機嫌よく部屋に戻ってきた彼は、大きな紙袋を抱えていました。
>部屋で待っていた方はソファに蹲って膝に顔を埋めるような体勢で、黙って返事をしません。

 「ただいまって言ってんのに無視?」
#「……」
 「…何か怒ってんの?」
#「……」
 「別にお兄さんお前に怒られるような事 …一個あるな」

>楽しそうに紙袋の中身を出そうとしていた彼の表情が曇ります。
>気まずそうに頭を掻いて溜め息を吐いて、弁解を始めました。

 「確かにお兄さんお前の写真撮って住所と一緒にホモ雑誌の文通コーナーに投稿したりとか」
#「……」
 「同じ写真をデパートの男子トイレの個室の扉に貼って電話番号も書いて、
 【アーサーです、連絡待ってます】とか書いたけど」
#「……」
 「だからって無視する事無いんじゃないの?」

>そこまで言葉が続いたところで、蹲っていた方がガバッと顔を上げました。
>弁解していた側が少し驚いて身構え一歩引きます。顔ごと逸らしてしまって視線が合いません。

#「頭痛え」
 「頭痛い?」
#「頭痛えんだよ…」
 「なぁんだ頭痛かったのか、俺何か怒ってんのかと思っちゃった」
#「何か色々とんでもない事告白してくれたな…」
 「あー、いや、うん、ごめんって」

>後の喧嘩は、まぁ、この二人には良く有る事ですので省略しましょうかね。

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4 :しあわせな話
05/28-23:53

 「兄さん」
#「んー?」
 「何にでも名前を書くのはやめてくれと言っただろう」
#「いいじゃねえか、俺達二人の家なんだからよー」
 「……そうだが、シンケンはやめてくれ」
#「ケセセセ」

>文句を言っている方も、言われている方も、どこか楽しそうな昼下がり。
>空は青く晴れ渡っていて、浮かぶ雲は綿菓子のようにふくふくとして、日差しは暖かく降り注ぐ。平和な、普通の一日です。

 「それに犬の首輪に書いたら、まるで犬の名前のようだろう」
#「俺は犬じゃねえ!」
 「……知ってる」
#「なぁそれよりさ、いつ行くんだ?大マンモス展」
 「まだ言っているのか……」
#「行くまで言うぜ!だって大マンモスだろ?どんだけでけーんだよ!」
 「……だから展覧会の規模が大きいだけだと」
#「大マンモス!!」
 「…好きにしてくれ。犬の散歩に行こうと思うんだが、一緒に来るか?」

>どこかズレている会話もよくある事のようで、漏れた笑みは諦めと許容の混ざった優しいものでした。
>行く、と元気よく返した側が騒がしく準備を始めますが――不意に、不自然なタイミングで、不自然な体勢で、動きが止まりました。

 「……兄さん?」
#「…………」
 「…バッテリーはあっただろうか」

>困ったような、悲しんでいるような、幸せを噛み締めているような、曖昧な表情で、
>この家に一人きりの人間は、笑いました。

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3 :
05/23-17:14

本棚予定。

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