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The box filled with laugh
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4 :
しあわせな話
05/28-23:53
「兄さん」
#「んー?」
「何にでも名前を書くのはやめてくれと言っただろう」
#「いいじゃねえか、俺達二人の家なんだからよー」
「……そうだが、シンケンはやめてくれ」
#「ケセセセ」
>文句を言っている方も、言われている方も、どこか楽しそうな昼下がり。
>空は青く晴れ渡っていて、浮かぶ雲は綿菓子のようにふくふくとして、日差しは暖かく降り注ぐ。平和な、普通の一日です。
「それに犬の首輪に書いたら、まるで犬の名前のようだろう」
#「俺は犬じゃねえ!」
「……知ってる」
#「なぁそれよりさ、いつ行くんだ?大マンモス展」
「まだ言っているのか……」
#「行くまで言うぜ!だって大マンモスだろ?どんだけでけーんだよ!」
「……だから展覧会の規模が大きいだけだと」
#「大マンモス!!」
「…好きにしてくれ。犬の散歩に行こうと思うんだが、一緒に来るか?」
>どこかズレている会話もよくある事のようで、漏れた笑みは諦めと許容の混ざった優しいものでした。
>行く、と元気よく返した側が騒がしく準備を始めますが――不意に、不自然なタイミングで、不自然な体勢で、動きが止まりました。
「……兄さん?」
#「…………」
「…バッテリーはあっただろうか」
>困ったような、悲しんでいるような、幸せを噛み締めているような、曖昧な表情で、
>この家に一人きりの人間は、笑いました。
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