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ヌヌルス
 ┗22

22 :氷◇
10/10-12:40

> …*★*…

……こういう、寒々しく見える浜辺は苦手。遊ぶ人が誰一人いなくなっちゃった海。ぽつん、と佇むと、いつもだったら憧れる海の広さが突然、怖くなる。水も冷たそうで、曇天の空が重たくて。

> …*★*…

砂浜に打ち上げられるものは綺麗なものばかりじゃない。あんまり見たくないものを見ちゃった。…ら、何でか僕まで嫌なこと考え出しちゃって、怖い夢も見て、…ほんと意味わかんない。自分が。
何が言いたいのか。何がしたいのか。僕自身把握しきれてないのを押し付けて、きっと困らせてる。そう思ったら申し訳なくて会いに帰れなくて、湿った砂浜で一人、膝小僧抱えて数時間、立てなくなってた。

> …*★*…

その間、ぼんやり考えてたんだ。灯台がちかちか光らないかな、って。……知ってるよパフィン、うんバカだよね、僕。早い時間にあの人はサインを投げてくれてて、僕がそれに応じられてないで体育座りしてたんだから。 こっちから送らないと、応答の光は返ってこなくて当たり前なんだ。どっちかって言うと急かさないで待っててくれたんだよ。

> …*★*…

「あんまり喋りたがらない」顔することがあるのは、喋るとポロッと面倒臭い自分が出てくるから。それだったら唇ぎゅっと閉じて可愛げなく口尖らせてる自身の方がまだマシな気がするから、そっちを選ぶんだ。かまってちゃん、ってやつになりたくなくて。
…だけど本当は構われたがり。その服の端っこ、唇よりずっと強くぎゅうって、握り締めてたりする。その度に優しいあの人は気付いてくれて振り向いて、不器用な手ごと抱き寄せて撫でてくれるんだ。全然いい子なんかじゃないのに。…その手が割いてくれる温もりと労力に見合うだけのいい子になれたら、な。

> …*★*…

迷惑掛けるから大人しくしていようって決心より「会いたい」って気持ちが勝って、僕が世界の中心みたいな我が儘っぷりに自分で呆れながら、こっちの灯台からそっと光を飛ばしてみたら。程なくして、ちかちか向こうの灯台が瞬いた。あたたかな桜貝の色の灯り。こんな北の、皆から少し離れた島にさえも芽生えた感情の色。恋の色であり、幸せの色であり。…それを眺める度に、ノーレにいつも真顔によによされちゃうんだ。お兄ちゃんの前ではぶっきらぼうな口元が崩れてんぞ、って。……うるさいなあ。ポーカーフェイスなノーレと似たくないだけなんだから。絶対そうなんだから。

> …*★*…

気付けば夜。真っ暗な中で輝いたピンクが綺麗で。 灯台下暗し、なんて言うけど、あの灯台の下は明るいんだ。その家に何もなかったかのように帰ったら、何もなかったかのようにじゃなくて…心配した、待ってたって風に抱き締めてくれたのが嬉しかった。…ほら、僕って本当に、構われたがり。それにゲンキン。夜の海風に冷え切った心も体も、あの人が言葉で手で触れてくれれば、唇に唇で触れてくれさえすれば、電子レンジでチンするより簡単に温もっちゃうんだ。

> …*★*…

…結局、風邪気味で気分までやられちゃってたのかな。ちょっと自分が恥ずかしいのと、あの人が優しすぎるのと。何書いてるのか読む人がいてくれたなら意味わかんないだろうけど、結論はこんな感じ。あ、違った。…幸せすぎて意味わかんない、かな。

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