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さよならのワルツ
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142 :
Arthur
02/19-18:10
何もかもが懐かしかった。
懐かしいと思えることに驚いた。
たったそれだけで瞬きの瞬間が愛おしい思い出になり、束の間の休息が焦げては溶けて行く。
未来を欲しがらなかった俺たちは、あの時に重ねた時計が全てだったし、狭いワンルームが唯一の世界だった。
それでも記憶は未だ愛おしいと泣く。
俺の両目を潰したあの唇を、俺の手足を縛りつけたあの指先を、俺の喉を引き裂いたあのてのひらを、今でも優しいと笑っているのだから、救いようがなかった。
出来れば来世では見知らぬ他人でいたい、なんて。
来世なんて望めない身体で、叫んでいる。
今日が過去になったって、お前は笑っているんだろうな。
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