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お前はそこで笑っていて。
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45 :
日
02/10-23:49
>(手袋を何重にも何重にも)
雪は溶けてしまうのですね。
ふと、そんな当たり前のことを脳内で呟くも目の前はひたすらに白です。私の吐息など敵わないくらいの白さに私は眩暈と焦燥と憧憬を覚えます。この時期しかお目にかかれない親友のような彼に手を添えると忽ち彼は溶けて水になってしまうのです。
雪がどれほどの高さから降ってきているのかと空を見上げれば彼は私の目を覆うように眩ませてきます。そんなことを気にするなと、どこから降り落ちようともお前の眼の前に来ることに変わりはないのだと。私はただどこからきてどのくらいの早さで地面に溶けてしまうのかと知りたかっただけです。ほら私が息を吐けば貴方はずっとずっと白いのにその温度で溶けてしまう。私が素手でつかもうとすれば貴方はたちまち溶けてしまう。
雪が溶けることを喜ぶ人もいるでしょうが、生憎私の周りは雪などなかなか降りませんからやはり溶けてしまうと物悲しくも思います。儚いものの例えでよく貴方は用いられますが、私からすると貴方ほどの不安定な存在は見ていて怖いのです。手袋は何重にも何重にも、そうしなければ触れることができない貴方は見ていて怖いのです。
#だから、雪が溶けて水になっていく様が 本当は喜ばしかったりします。
貴方が溶けて私の衣服についてくれば、私は貴方を私の家に浚ってしまうことができる。形は変わっても貴方は貴方、真っ白な雪が透明な水に変わったところで私の興味が飽くことなどありましょうか。爺になってしまうとどうしても雪の美しさに心惹かれど、雪の冷たさには心も体も疲労させてしまいますから。ねえ、傘なんて野暮なものは取っ払ってしまいましょうか。
>(重ねた子供はお外においで 変わらぬお手手で触れておいで)
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