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┗Eternal 3 o'clock
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1 :
Arthur
11/05-20:47
此処は永遠の3時。
teacupの中の紅茶は冷める事を知らない。
畢竟、懐古趣味の住処。
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4 :
Arthur
11/12-23:13
終わりとは、こんなに呆気ないものだっただろうかと、一つの物語が終幕を迎える度に思う。
そうして毎度、否だと首を振るのだ。
予兆は幾つもあった。指折り数えれば指の方が先に足りなくなって仕舞う程に。
唯痛みから逃れる様に、終わりを遠ざける様に、それらから目を逸らして歩みを進めた結果、唐突に終幕に辿り着いて仕舞った様な心地になって居るだけだ。
確かに俺は、終幕への道を自らで選択し、歩みを止める事もなく、進み続けて来たのだ。
誰も、何も責める事など出来ないし、悲しむ事も赦されはしないだろう。
独りに戻るだけだ。何時もの様に。
(2019/11/12 23:12:36)
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3 :
Arthur
11/05-21:12
とても美しい夢の譚をしよう。
我が国で造られた、上等なマホガニー材のテーブルの上には二人分のティーセットとスコーンが並んで居る。
水色から察するに、旬は過ぎ去ったが、市場に出回るには良い頃合のルフナを用いたロイヤルミルクティーだろう。
ティーポットには暗い臙脂のティーコジーが丁寧に被せられて居る。
座すのは同じくマホガニーと、毛足の短い天鵞絨で造られたソファーだ。座面にはフェザーが用いてあるのか、座り心地も悪くない。我が国の伝統工芸と云う物は時を経た今となっても尚素晴らしいものであり、…否、其の話は今は必要で無いな。
背面には窓があり、レースのカーテン越しに、絶えず駘蕩とした春光が差し込み続けて居る。
そうして、其の向かい、俺の正面には、お前が居る。
一度だって見た事の無い、穏やかな顔で、幸せだと笑って居る。
…其れだけだ。其れだけだと、嗤うか?
誰にも理解はされないだろう。
だが、俺の求めた物は凡てあの空間の中に揃って居た。
遠い国の様子が伺い知れる丸い大きなエメラルドも、金色の嘴を持つ白孔雀も、この世のどんな金銀財宝であろうとも、俺にとってあの空間以上の価値を持つものなど無かったのだ。
(2019/11/05 21:11:35)
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2 :
Arthur
11/05-20:57
時の流れに叛逆する魔術は、死者の蘇生と同じくして最大の禁忌として扱われるものだ。
多少なりとも魔術の心得のある者であれば、魔術書の其の項目へと目を通す事さえ生半可な覚悟では行え無い事だと識って居る。
故に、俺もまた一人の魔術師として、過去への遡行等を夢見る事は無い。
だが、其れは決して禁忌に手を浸す事が恐ろしいのでは無い。
俺が俺である以上、この魔力と悠久に等しい寿命の尽きる其の日迄、幾度繰り返せども、結末を変えられはしない事を思い知って居るからだ。
繰り返せば繰り返す程に、因果の罪業は深まり、其の度に傷を深める位ならば。俺はもう、過去へは還らない。
其れでも尚、戻れない日々は美しい。
人の忘却機能は救済である。
故に、痛みと醜さから順に忘却してゆくのだ。
故に、ああ、霞む記憶は、正しく光彩陸離。
あれ程に美しい薔薇を、俺はもう二度と、見る事は無いだろう。
(2019/11/05 20:56:50)
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