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Eternal 3 o'clock
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3 :
Arthur
11/05-21:12
とても美しい夢の譚をしよう。
我が国で造られた、上等なマホガニー材のテーブルの上には二人分のティーセットとスコーンが並んで居る。
水色から察するに、旬は過ぎ去ったが、市場に出回るには良い頃合のルフナを用いたロイヤルミルクティーだろう。
ティーポットには暗い臙脂のティーコジーが丁寧に被せられて居る。
座すのは同じくマホガニーと、毛足の短い天鵞絨で造られたソファーだ。座面にはフェザーが用いてあるのか、座り心地も悪くない。我が国の伝統工芸と云う物は時を経た今となっても尚素晴らしいものであり、…否、其の話は今は必要で無いな。
背面には窓があり、レースのカーテン越しに、絶えず駘蕩とした春光が差し込み続けて居る。
そうして、其の向かい、俺の正面には、お前が居る。
一度だって見た事の無い、穏やかな顔で、幸せだと笑って居る。
…其れだけだ。其れだけだと、嗤うか?
誰にも理解はされないだろう。
だが、俺の求めた物は凡てあの空間の中に揃って居た。
遠い国の様子が伺い知れる丸い大きなエメラルドも、金色の嘴を持つ白孔雀も、この世のどんな金銀財宝であろうとも、俺にとってあの空間以上の価値を持つものなど無かったのだ。
(2019/11/05 21:11:35)
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