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ニンゲンの愛し方。
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37 :
ギルベルト・バイルシュミット
09/28-11:42
#時を刻む事を止めた時計と
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#歩む事を止めた俺と
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#心臓の鼓動を止めた親父。
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時計なんざ止まった所で何の問題も無い。
修理に出せばまた動き出す事が出来る。
しっかりと時を刻んで、未来へ向かって、明日に向かって止まっていた事実なんて無かったかのようにいつもと変わらない日常に。
時計がないと周りの奴等は常と同じ生活が出来ねぇ。…まあ、買い替えりゃ良いんだけどよ、そこは「時計はたった一つしかねぇ」って考えろ。
時計一つが無くなると時計に慣れた民衆の生活は上手く機能しなくなる。
>時計を直す事が出来るのは時計職人だけ。
親父は止まってしまったら動かない。
治療も意味ないようなもんだったしな…悪い所が多過ぎて、もうどうにも出来なかった。
親父もたった一人、変わりは居ねぇ。
最初は国も上手く機能しなくなった。だが、代わりの奴が出てきたら民衆の生活は徐々に慣れて何事も無かったかのように機能し始める。
過去の人として、ほんの一部の人の記憶や何種類かの文献に記されて親父の名前や大まかな人物像だけが残って後はすっかり忘れられる。
>親父を治す事が出来る奴は、一人も居なかった。
俺が止まったらどうなるか。
沢山の奴が犠牲になって、多くの命が失われた。
けどまあ、また別の国に吸収されて徐々にその国の民衆として機能していくんだろう。
ほんの一部の人の記憶、何種類かの文献に記されて俺の歴史や大まかな国柄が残されて忘れられる。
親父と大差ねぇな。
それがニンゲンかクニかの違い、生きた年月の違い。
それしかない。
たったそれだけなのに大きな違いがある。
俺の事を治す事が出来るのは、前に進むように出来るのは親父だけだったんだけどな…先に逝かれちゃどうにもなんねーよな。
親父は俺を治す事が出来るのに、俺は親父を治す事が出来ねぇ。
なんでだろうな。
そういった生命の循環を変える事は出来ねぇっつーのは分かってる。
寿命があんのも分かってる。
時計と親父と俺と、全部未来に向かって進んでいくものってのには変わりねぇのにどうしてこんなに大きな違いが出てくるのか。
無機物と有機物の違いだろうか。
俺は無機物なのか、有機物なのか。
親父だったらきっと、有機物だと言ってくれる。
だが、他の奴等は無機物だと言うだろう。
感情のある無機物、それが俺だ。
無機物にとって感情ほど邪魔になるものはねぇな。
その感情を否定したら親父への想いを否定する事になっちまうから否定はしねぇけどよ。
あーあ、報われねぇな。
報われねぇけどよ。
無機物な俺はもう、「壊れてる」らしいけどよ。
有機物な俺は、まだ壊れてねぇから進むしかない。
有機物な俺はまだ止まってないから進むしかない。
とっくに死んだ心は親父が逝ってしまった所へ残して、それ以外の機能を引き摺りながら進むしかない。
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