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- †ぱらべらむ† -
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36 :
英
12/05-22:33
昔話をしようか。
あれはまだ俺が強く、この海を統べていた頃だ。
俺には兄が居た。
決して自慢出来るとは言い難いが、欠点なんざ誰にも有るからな。
俺にしてみれば、それでも大事な兄だった。
いつの頃からか。
俺達の関係が変わっていった。
変わってしまった。
親しい間柄だからこその悪態暴言。
親しくなったからこその慈悲と慈愛。
変わっちまった、それで。
全てが。
揺るぎない、揺るがないものだと思っていた。
他人から何かを言われた程度では壊れないと。信じていた。
だが、そうじゃなかった‥。
簡単に俺らの関係は揺るぎ壊れ、消えてしまった。
もう、俺はあの人に“弟”とは言われない。思われない。
#思われていない。
‥いくら俺が“兄”だと認識、自覚していたとしてもそれは虚しい話だ。
彼を貶したのは俺だ。
本意とか、本心とか、冗談とか。
関係ない。
あの時俺が彼を傷つけたという事実には変わりないからな。
この世界に変わらないモノなど無いのは重々承知している。だからこそ、形を変え、対応しながら共に在りたいと思った。
それは、叶えられなかった…
唯一で在りたいと。
一番で在りたいと願いながら、血に濡れた俺のせいで彼らのその後を変える訳にはいかない。いかないんだ。
いまはもう、祈るだけだ。
彼の、
兄さんの幸せを。
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