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┗鳩の止まり木(151-155/160)

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155 :
03/17-09:23

開館までもうちょっとだったから、ピエールをつっついてじゃれてよう。

普段は行かない図書館に足を伸ばしてみたところ。この辺はあまり来たことなかったけど、古い建物が多くて街並みがきれいだな。
晴れ着姿のお嬢さん方をちらほら見掛ける。重々しい建物に紅白の垂れ幕。隣で菊が、どこぞの卒業式でしょうかね、と呟いてる。……と、思ったら成人式でした。だからあんなキレーな格好してるのか。
もう春だね、と、二人で顔見合わせて笑って。

空は一片の雲もなく、高いとこを鳥が飛んでる。今日みたいな日は気持ちいいだろうな、ピエール。

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154 :
03/11-18:06

言葉、というのに翻弄されることって、時々起こる。ここから先、どうしても越えられないんだっていう境界線になる。
言葉はただの言葉で、なんてことはない記号と音の連なりの筈なのに。
幸せとかふしあわせとか、友達とか恋人とか、悪意とか善意とか。呼び名を与えてやるとなんて安心するんだろう。

本当に見てるものが何なのか、見たいものが何なのか、時にはちゃんと思い出さなくちゃいけない。でないと簡単に忘れちまうからね。

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153 :
03/08-19:50


奥の方の、普段は少しも意識しない、忘れてたようなとこがしくしく痛んでる。
ずっと前から感じていた些細な違和感は、いつからか誤魔化し切れないものになってたみたいだ。
失うかも知れないのが怖くって、先伸ばしにしてた。解決の為の手段も知っていた筈なのに。
もとには戻らない。見ない振りも限界。
覚悟決めなきゃな。

このままじゃ、おいしいものだっておいしく食べられないじゃない!全部済んだら、何より素晴らしいディナーが味わえる筈さ。

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152 :
03/07-19:33

お勤め上がって外へ出たら、春の夜だったんだ。
しん、と、耳の奥に響くみたいな寒さがない。頬に触れる空気はじんわりと暖かいままで。
木の芽の膨らむ気配がする。
今までより、ゆっくり歩く帰り道。
誰かのことを思い出しそうだった。
こんな春、訳の分からないままそれを見ていた。
何か変わったのかな。

遠くの方で、電車の通り過ぎる音。
いつも不確かだった。
硝子に閉じ込められた気泡のようなあの微笑が、不意に目蓋を撫でて行く。

春の始まりは、いつもそんな風に。

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151 :
09/28-19:58

海を見たのは久し振り。
丁度日が沈むところでね、波の音を聞きながら少しぼんやりしてたよ。欠けたテトラポットの隣に届く夕焼けの光がじんわりあったかくて、ぼーっと海眺めるには丁度いい季節だよなぁ。
この波がどこから来るのか考えてた。

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