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ole☆summer【改】
 ┗15

15 :普◇
08/28-19:17

―Ein Liebesbrief―

……お前と出逢ってから、もう一ヶ月になるんだな。

一ヶ月前の俺は、話し相手が欲しくて応募しても誰も来てくれなくて、ちょっとやさぐれながら色んなヤツの言葉を遠くから眺めてた。…お前の言葉を見つけたのはそんな時だったんだ…随分前のことみたいに感じるぜ。

初めて見たお前の印象は、穏やかな空気を身に纏ってて、それでいて少し寂しそうで。俺はヤケに気になっちまった。…俺で良ければ、お前の寂しさを埋めてやりたいって、そう思ったのが始まりだった。

俺が置いた住所に、お前からすぐ手紙が届いた。俺はそれが単純に嬉しかったし、俺達はすぐに意気投合した。…お前は思った通り、優しくて穏やかでノリがいいヤツだったし、久しぶりに純粋に楽しいって思えた相手だった。

正直、俺は最初からお前を恋人にしよう思ってたワケじゃない。あの時はただ、楽しく過ごして時々体温を分け合えればそれでいいと思ってた。……じゃあ、いつから?って問われれば、それは紛れもなくイ/タ/リ/アちゃんとのデートが決まった辺りだ。
まず、俺はお前にそれを伝える事ができなかった…その事実に戸惑った。…でも、その理由は自分だけが抜け駆けしてるような罪悪感からきているに違いない。…そう思う事にして自分を納得させた。

でもな、デート当日。せっかく念願叶ってイ/タ/リ/アちゃんとデートしてんのに、何かお前の事が頭から離れねぇ。『…おい、どうした俺!目の前の可愛い子に集中しようぜ!……え、もしかして俺あいつの事…?!いや、まさかな、ははははは…』
一回意識し始めると、自覚するまでにそう時間はかからなかった。お前が来てくれるのをそわそわしながら毎日待ってた。…抱き締めたい、キスしたい。俺のもんにしたい…そう思うようになったらもう、認めるしかねぇよな。

自惚れを承知で言っちまえば、お前が俺に好意を持ってくれてんのは分かってた。…それが友情に毛が生えた程度のもんだったとしても、俺が好きだって言えば、きっと優しいお前は無碍にできねぇってことも。…だからこそ俺は迷った。好きだって言っていいもんか。お前は今の関係を進めることを求めてはいるのか……

やっぱ、そういうのって出ちまうもんだよな。お前とのやりとりの中でも丁度微妙な展開になっちまって、俺はそれを冗談で誤魔化すことができなかった…否、したくなかったんだと思う。
でも、最初の「好き」はちょっと逃げ道作っちまった。…お前の反応が見たかったってのもある。その辺りが俺の狡いところだ、許せ。でも、お前に「どういう意味の“好き”なのか分からない」って言われて、もう勝てねぇって思った。頑張って格好つけた(つもりだ)けど、人生初の告白だ、スゲェ緊張してたんだぜ?


俺はしないでする「後悔」より、しちまってする「後悔」の方が全然いいと思ってる。俺達が恋人同士になった事で、もし一緒に居られる期間が短くなっちまったとしても。
…好きだって言った時、お前が流した綺麗な涙とか、抱き締めた腕の中で幸せそうに笑う表情とか、キスした時に見せる艶っぽく濡れた瞳とか、お前の全てが俺には眩しくて、恋しくて、宝物みたいに大事にしたいんだ。…だから後悔はこれっぽっちもしてねぇよ。


最後に一個だけ。俺からのお願い、聞いて欲しい。

――この先、いつかお前が俺の手を離す時が来たら。…その時は俺の為に少しだけ泣いてくれ。

…そしたら俺は、笑って「ありがとう」って言って、お前の背中を見送ってやるから。

だから、お前は何も心配しないでずっと俺の隣で笑っててくれ。太陽みたいなお前の笑顔が俺は大好きなんだ。


―――――te amo Antonio


Gilbert Beilschmidt /2009.9.7

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