景色果たしてお前は俺が知ってるお前か。俺の良く知るお前で違いないか。俺が信じたお前で在るなら未だ大丈夫な筈だ。
一時、不意に今までこの眼に映っていた世界が色を変える事がある。正しくはそう錯覚してるに過ぎない。世界を如何様に見るかは個々に違う。俺の眼に映る世界は、人間臭くて綺麗で、其れでいて強く、触れれば触れるだけ其の感触を指に刻み込む。魅力的なモンだ。ある日を境に色を替えた世界は、嘗ての鮮明さを失いセピアに色褪せた。触れれば指先は痺れ、嘗て抱いた安堵感もない。恐らく錯覚に過ぎない。嘗て見えていた世界も今こうして見る世界も元々何も変わらず存在していた。盲目は人を救うのだと思った。出来る事なら未だ少し、盲目で在りたい。