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485.《FREEDOM-千夜一夜-》
 ┗13

13 :イエロー
02/26(月) 18:27

目次2 
《FREEDOM-千夜一夜-》
第1夜<范帝国の一件①> >>14
第2夜<范帝国の一件②> >>15
第3夜<范帝国の一件③> >>16
第4夜<范帝国の一件④> >>17
第5夜<范帝国の一件⑤> >>18
第6夜<范帝国の一件⑥> >>19
第7夜<范帝国の一件⑦> >>20
第8夜<范帝国の一件⑧> >>21
第9夜<范帝国の一件⑨> >>22


当時やってみたかったのは冒険譚


《ヘル・グラウンド篇》


時系列で言うと無邪気一味が復活した3年後話


ミニエピ[1]更なる下へ


無邪気一味は海を航海する中で記録指針が下向いてる事に気付いた


近くの島での情報収集により荒れ果てた地底の奥底にある無人島の存在を知る事に


しかしその島に行く事は自殺行為とも言われた


何故なら渦巻きに飲まれる事が地底の島への辿り着く為の条件であった為


"渦巻きの下降
スパイラル・フォール"
と呼ばれる巨大な渦巻きにフリーダム・ヴィクトリー号を向かわせた


海の渦巻きで出来た天然のエスカレーターで地上より下降して行く船
※渦巻きにより空間が出来ており船は浸水していない


ソフィ
「この船大丈夫!?耐えれんの!?」

キャップ
「この新型フリーダム・ヴィクトリー号の底力を舐めんなってワケ!」

ミルキィ
「流石船大工♪だが海の底に向かってるって考えると冷や汗が…」

バブル
「死にたかねェよ泣」

セナ
「と言うか下降口に見えるあの巨大な岩礁、当たったら船諸共お陀仏じゃねェか?」

キャップ
「何ィ!?」

ハナ
「ふふふ、Gが効いててアトラクションみたい」

ミルキィ
「にははは!任せろ!
粘土なる弾力(クレイトランポリン)」


シュッ

ミルキィは船から身を乗り出して巨大な岩礁に向かって両手を構えた


グニュューン…!!

巨大な岩礁は柔らかいプリンの様に姿を変えてクッション代わりになり船を受け止めた


ネオン
「流石ミルキィ!」

フェンス
「お見事!」

サンド
「ハハハ!せっかく俺の剣術で斬ってやろうと思ったのに」


巨大な岩礁の先には地底の無人島があった


そして空気もあり無邪気一味は上陸を開始した


ミルキィ
「さて!どうしようか」

サザ
「記録指針が溜まる期間も不明じゃ不用意に動く訳にもいかないすからね…て、サンド君!?」

サンド
「ハハハ…俺りゃあ村人でも探して来るわ、ついでに地底の酒もありゃ格別だがな」

ソフィ
「アホサンド!村人ってね…ここ無人島だってば…」

フェンス
「フェハハハ…私もサンド殿に付いて行くとしようかな」

バブル
「んじゃ俺と残りのメンツは船番だな…仕方ねーなァ!」

セナ
「てめェは怖いだけだろ」

バブル
「うっせェ…泣」

ミルキィ
「皆で行こうぜ、どうせ無人島なんだし船番なんて不要だろ」

ソフィ
「てかもうサンドとフェンス居ないじゃん」


サンド&フェンスは2人で出発した


セナ
「お前ら待てよ、未開の地なんだろ?医療品とか準備しねェと」

ソフィ
「それにここじゃ食材もあるか解らないし弁当も作ってる途中なのよ」

サザ
「………とても言いづらいんすけどセナ君、ソフィさん……ミルキィとキャップ君とハナさんとネオンさんはもう出発しました」

ソフィ
「あいつら!」

セナ
「ハナ…!怪我させたら許さねェぞ」
 

ミルキィ&キャップ&ハナ&ネオンの4人で出発した


ソフィ
「さッ…あたし達も出発するわよ」

セナ
「ハナに追いつくぞ」

サザ
「ハナさんだけ?他のメンバーは…」

バブル
「本当に行くの!?止めとこうぜ!!未開の地なんて物騒だしよ…」

セナ
「うるせェな。お前だけ残るか?」

バブル
「それはそれでやだよ。行くよ〜…泣」

サザ
「バブル君未開の地には美女も付き物かもよ?」

バブル
「未開の地のおにゃのこ…!!俺も行く!!」


サザ&ソフィ&セナ&バブルの4人で出発した


ーサンド&フェンス組ー


サンド
「ここは入口なのか…酒とかねェのかな喉が渇いたぜ」

フェンス
「飄々としておる…流石ウチの戦闘員…サンド殿は剣士であろう?」

サンド
「あァ、フェンスもだろ?そのデケー剣は切れ味はやばそうだな」


フェンスの背中に差してある剣【両天秤】を見てそう呟くサンド


フェンス
「是非1度手合わせ願いたいものだな」

サンド
「俺は3年間で更に強くなったぜ…やるか?てかフェンスお前その為に俺に着いてきたのか?」

フェンス
「フェハハハ!あァバレてしもうたか」

サンド
「だが…その前に酒だ酒…力が漲らねェよ」

フェンス
「ここは無人島…酒場なんてある訳な…」

サンド
「ハハハ…酒の匂いだ!」

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14 :イエロー
02/26(月) 19:14

第1夜<范帝国の一件①>


この世界では2大王国と呼ばれる巨大な国が2つあった


その1つの名はウォー大国、現在では巨悪の権現アラクネ率いる"毒蜘蛛の一味"がナワバリとしていた


そのウォー大国に負けじ最高峰の国土を誇るもう1つの大国、その名も范(ファン)帝国


この国では絶対的な王権制度が脈々と受け継がれていたのであった


范帝国
ー"帝都ベキン"ー
ここには100万人以上が暮らすとても大きな都市


その中心に皇帝や貴族が住む大きな王宮があり、王宮の中央広間では文官達がざわついていた


文官達
「ベキンにてまた海賊の騒ぎですぞ」

「アラクネの余波がここまで来たか」

「更に兵士達を王宮近辺に強化させなければ」


ドン

天窓が誰かが入って来た


文官達
「お、"皇子"ッ!」

「またその様な所から」

「父上様から叱られますぞ」


艶がある長い黒髪を靡かせる男
「今話してた海賊ってのは仕留めたよん…ついでに駐屯基地に放り込んどいたから」


絶対的王権制度
范帝国皇帝の3人の実子の1人
その名は
【第2皇子】沁(しん) 霤(りゅう)メイ


霤メイ
「強い海賊かと思えば大した事ないね。外海じゃあ散々海賊達が盛り上がってるって聞いてたけどさ」

文官達
「また勝手に外へ出ていたのですか!」

「父上様も悲しまれますぞ」

霤メイ
「皇子だからって舐められたくないし〜小さい頃から王宮武術に王宮剣術を学んだ甲斐があったよ」

文官達
「皇子…その節々にある軽率な発言はお止めください」

「それに王宮武術、剣術を海賊相手に使うなど汚らわしいですぞ」

「父上様がこれを見て何と仰る事やら…」

霤メイ
「その父上様…いや皇帝は今や病に患っているしもう時期"エン兄"が跡を継ぐでしょ。ま、ボクには関係ないんだけど」

文官達
「め、め、滅多な事を口にするものではないですぞ!」

「世継ぎなどまだまだ先の話!」

霤メイ
「ふーん。ボクはさ!世界に出て航海をやってみたいんだ」

文官達
「皇子が海へとですと?駄目です!あってはなりませぬ!何を言ってるんですか??」


ー帝都ベキンー
西区域にて


20部屋あるホテルを貸切、とある海賊団がそこを根城として滞在していた


古びた野球帽を被る目つきの悪い女
「旨辛で上手ェなこれ…辛ェな水くれ」


ベキンの名物である"激辛海鮮麻婆豆腐"を無性に頬張る目つきの悪い女


世界政府の施設を次々に破壊し世間を賑わせるルーキー海賊
ザリー海賊団 船長
【海の執行人】のザクロ(通称ザリー)
懸賞金2億2000万ベリー


ザリー
「海鮮入り角煮まんも後で食べてェぜ」

船員達
「ザリーの姉貴!先程また名のある海賊達がこの国で討伐された様です」

「我々もそろそろ出航しませんか?」

ザリー
「は?ざっけんな!何が討伐だ?クソ喰らえだよ…やってやろうぜ」

船員達
「し、しかしどうやら討伐したのが皇帝の実子、つまり皇子の1人らしいです。温室育ちの癖にめちゃくちゃ強いみたいで…」

「ば、馬鹿!それを言うな」

ザリー
「何ィ強いだと。そいつァ俺が血祭りに上げてやるぜ」

船員達
「ですが先日"無邪気一味"の復活の記事もありましたし…探しに行かなくても?」

「しかしミルキィ・ロードが生きてたなんてなァ」

ザリー
「それと俺が何が関係あんだ?あァ?」

船員達
「そのうちに"キャップ"って人も見つかるんじゃないかと」

ザリー
「そいつの名を俺の前で出すんじゃねェ…」


グイッ

船員の胸ぐらを掴んだザリー


船員達
「す、すみません…」

ザリー
「2度とそいつの名を出すな…禁句だ覚えとけ。罰としてこのマーボードーフって奴を追加で20人前買って来い」

船員達
「へ、へーい…」


帝都ベキンより東に数百km先
ー東の港町"ガンコウ"ー


何やら兵士達てんやわんや騒々しくしていた


兵士達
「"第1皇子"が戻られましたぞ!」

「何度見ても凄い高貴の御方だ!」

「長旅お疲れ様であります"龍エン閣下"」


ザッ…!

片膝を付けて迎えいる兵士達


閣下と呼ばれたその男は異質のオーラを漂わせ黒髪オールバックに髭を生やす男


絶対的王権制度
范帝国皇帝の3人の実子の1人
その名は
【第1皇子】沁 龍エン 
皇子でありながら武人であり閣下の地位を皇帝より授かった男


龍エン
「話は無用だ…今すぐにでもベキンヘ戻るぞ、早馬には伝言を伝えろ『"霤メイ、柳ギョク"共に海へ出る準備をしろ』と
そして『我が范帝国の国宝でもある"コトコトの実"の所在が解った』ともな!」


            第2部 《FREEDOM-千夜一夜-》
            始まりの合図は鳴った


画像(jpg) 38.5KB
(Android/Chrome, ID:3g36Tf/f0)
15 :イエロー
03/02(土) 19:45

第2夜<范帝国の一件②>


1日後…
ー帝都ベキンー
西区域のメシ屋にて


ザリー
「この角煮入り饅頭最高だぜ」


ザリー海賊団船長ザリーは未だ帝都ベキン西区域を根城にしており、今日はとあるメシ屋に居た


黒髪パーマの男
「ザリーよ…仲間達に"例の物"をここら一体で探らせたがどうやら国民達じゃ情報不足…在り処は解らねェらしい」


ザリー海賊団 2番手
【引き裂き】のジャンク
懸賞金1億900万ベリー
愛用武器は手甲鉤 良業物【色彩】


ジャンク
「王宮に入れれば何か解るかも知れねェけどな」

ザリー
「手っ取り早いじゃねェか。王宮に特攻掛けて奪う物を奪ったらとっとと出航しちまおうぜ」

ジャンク
「おいおい…手練の皇子って奴も気になるし…今は鉢合わせは不味いんじゃないか?それにそこまでしてザリーが例の物を欲しがってるなんてな」

ザリー
「何が言いてェジャンク」

ジャンク
「この国の奴らはほぼ全員が知ってるらしいな…ザリーが欲しがる"悪魔の実"…この国の"国宝"だとよ。実際存在するのかは知らないが、手に入れてどうする気だ?」

ザリー
「てめェにゃ関係ねェだろジャンク!」

ジャンク
「何でもその能力を得た者は"目に見えない景色"が見えたとか…ジャクハハ」

ザリー
「しつけェ…」

ジャンク
「目に見えない世界か…"センチ"でも入ってんのかザリー」


バキィ

ジャンクを殴るザリー


ジャンク
「痛ってェ…おま、何しやがるザリー」

ザリー
「馬鹿にしたからだよ。何がなんでも手に入れてやる」

ジャンク
「お返しだ、やってやらァ」


殴り合いを始めたザリーとジャンクの2人


店員
「お、お客さん店で乱闘は困りますよ」

ザリー
「うるせェってんだ。文句あるなら店ごとぶち壊してやろうか」

店員
「そりゃ困りますよ!」

艶がある黒いを靡かせる男
「ねーねー止めなよ。ここを誰の敷地だと思ってんの?」


突然メシ屋に現れた男


ザリー
「何だてめェ?」

店員
「あ、あ、あ、あなたは!"皇子"…何故ここに」


范帝国【第2皇子】の沁 霤メイが店に居合わせたのである


ザリー
「皇子だァ?」

霤メイ
「海賊ってこんなのばっかりだね…呆れちゃったよ〜弱いのにエバるしさァ〜」

ザリー
「んだとッ!」


ザリーが霤メイに向かい拳を構えた


ジャンク
「やめろザリー!そいつは噂の皇子だぞ」

ザリー
「皇子だろうが俺をおちょくる奴は全員叩きのめすぜ」


シュッ

拳を霤メイに向かい振り下ろすザリー


霤メイ
「短絡的だな〜〜」


パン… 

ザリーの拳をいなして軽く受け止めた霤メイ


霤メイ
「どうしようもないね」

ザリー
「てめェが皇子なら話が早ェ…半殺しにして情報を得るぜ!喧嘩武っ殺し!」


席においていた愛用釘バット"摩武駄致(マブダチ)"を手に取り、霤メイに向かいフルスイングする


霤メイ
「綺麗な顔立ちなのにその乱暴な言葉使い、勿体無いね〜〜」

ザリー
「な、何?」


バギィン…!

釘バットを素手で掴み、バットごとザリーを放り投げる霤メイ

そしてザリーはそのまま店の外まで吹き飛ばされた


ジャンク
「ザリーのノーモーションフルスイングをいなして、片手で場外まで吹き飛ばすとは…ただの温室の育ちのお坊ちゃんじゃねェな」

霤メイ
「君達が西区域を根城にしていた例の海賊だね。今の彼女が2億超えの海賊"海の執行人"ザクロか…それにしても大それた異名だ」


霤メイは手配書を見て呟いた


ジャンク
「是非俺とも手合わせ願いてェな」


ガチャ…

手甲鉤を両手にはめるジャンク


霤メイ
「珍しい武器を使うね…外海の武器かな?」

ジャンク
「行くぞ…!雑音の斬撃(ノイズル)」

霤メイ
「君は確か…」


キィィン…

咄嗟に腰に差していた剣を抜き、ジャンクの手甲鉤を受け止める霤メイ


霤メイ
「"引き裂き"のジャンク…ザリー海賊団の2番手で1億超えの海賊だね…この一太刀で解ったがバトルセンスは彼女以上だね〜〜君の攻撃は流石に素手じゃ危なそうだったから抜かせて貰ったよ」

ジャンク
「へッ…光栄だ」


キィィン…キィィン!

メシ屋の中で2人の戦いが始まる


霤メイ
「さっきの会話聞こえてたけど君達ってボク達の国宝を探してこの国へ立ち寄ったんだってね」

ジャンク
「盗み聞きかよ、手癖の悪ィ皇子様だこと」

霤メイ
「率直に言おうか。現在国宝"コトコトの実"はこの国にはないんだよね」

ジャンク
「何?」

霤メイ
「あー言っちゃいけないんだっけかな…まァいいや〜」

店員
(国宝が存在してない!!??)

霤メイ
「そこの店員…内緒でね♪」

店員
「は、はい汗!」

(Android/Chrome, ID:GRFUobpV0)
16 :イエロー
03/06(水) 19:30

第3夜<范帝国の一件③>

ジャンク
「じゃあ俺達がこの国に居るだけ無駄って事だな」

霤メイ
「そゆ事…」


ダダダッ!! 

先程霤メイに放り投げられたハズのザリーがメシ屋に向かい血相を変えて突っ込んで来る


ザリー
「無駄じゃねェよ!やられたまんまで終われるか!てめェは全殺しだよヤサ男(霤メイ)」


意気揚々と霤メイに飛びかかるザリー


霤メイ
「野蛮を通り越して山猿だね…君って女は」

ジャンク
「おいザリー!こいつの相手は俺だぞ?」

ザリー
「知るか!喧嘩怒突(ケンカドツキ)!」


ジュウ…

武装色によって黒くなる釘バットで霤メイ目掛けてフルスイングをかますザリー


霤メイ
「へェ〜〜武装色ね」


バギィィン…!

霤メイの剣は真っ二つに折れそのまま釘バットのフルスイングをその身を持って受けた


ザリー
「当てたぞ…何が弱いだよ。俺は強いからエバるんだよ」

霤メイ
「くはッ…」

ジャンク
「油断すんな…まだ倒れてねェ」

ザリー
「徹底的にやってやる!次は頭を粉砕してやるよお坊ちゃん」

店員
(この人達本気で皇子を殺そうしてる…何を考えているんだ…)

霤メイ
「…油断しちゃったよ。意外とやるんだね」

ザリー
「トドメだ!」


振り下ろされたザリーの釘バットは次の瞬間…


パキィィィン…!


目に見えない壁で跳ね返った


ザリー
「何だこれ?」

ジャンク
「どうなってる?」


バキィバキィ…!


何度も釘バットを振り下ろすが霤メイには当たらず見えない壁に妨害される


霤メイ
「メハハハ…残念…"時間"の様だね」


スタスタ…


メシ屋に入って来る男…その背後には兵士がぞろぞろ待ち構えていた


店員
「え、嘘でしょ…!?何故あなたの様な高貴なお方が…」


黒髪オールバックに髭を生やす男が数人の兵を引き連れてメシ屋へ入って来た


店員
「"龍エン閣下"…!!」


店員は膝を付け頭を下げる


龍エン
「構わん、顔を上げろ」


范帝国【第1皇子】の沁 龍エン


霤メイ
「エン兄帰国してたんだね」

龍エン
「あァ。所で一部始終見ていたが何故能力を最初から使わなかった?」

霤メイ
「だって初めから能力を使ったら面白くないじゃん…」

ザリー&ジャンク
「!?」

ザリー
「次から次へと…ん…」

ジャンク
「うぐ…頭が…」


次に仕掛けようと動き出したザリーとジャンクは突然動きを止めて頭を抱えた


霤メイ
「エン兄の視界の中じゃそう簡単には動けないよ」

ザリー
「はァはァ目眩が…クソ…ッ!」

龍エン
「こやつらをひっ捕らえて牢に入れておけ」

兵達
「はッ!!」


ー帝都ベキンー
王宮とはまた別の場所に建てられた官女達が住む後宮にて


日々雑務をこなす官女達が休憩時間に集まっていた


官女達
「龍エン様がお戻りになさったとか…」

「だから兵達がざわめいていたのですね」

猫っ毛の女
「わ、私!今夜龍エン様にお呼ばれされちゃいましたよ…どうしよう」


王宮の雑務などを務める官女の1人
【野心家】の七世(ななせ)


官女達
「羨ましい…七世め」
 
七世
「長旅の疲れを精一杯癒してさしあげなければ…(後々は龍エン様が皇帝に…そして私が皇帝の妃に、なんて…へへへ)」

官女達
「精一杯アピールしてくるのよ七世」

七世
「はい!」

官女達
「いいもーん。私は霤メイ様派だもん!」


ー帝都ベキンー
王宮の"龍"の広間


龍エン
「昨夜早馬を送らせたが内容は読んだか霤メイ」

霤メイ
「うんエン兄…国宝であるコトコトの実が見つかったってね」

龍エン
「準備が整い次第軍を率いてまた海へ出るぞ」

文官達
「閣下…霤メイ様を海へ出すのは危険では?」

「それに"柳ギョク"様まで…」

龍エン
「構わん、国宝とは名ばかりで実情は沁家の家宝だ…取り戻すなら兄弟で取り返すのが筋だろう…それに霤メイの実力は折り紙つきである」

霤メイ
「やった!海は初めてだし楽しみだな…それに海賊♪」

龍エン
「ふん…下らん」

霤メイ
「エン兄は海賊キライだもんね」

:
:

兵達
「10年前にコトコトの実が海賊団に奪われてしまうなど」

「当時国宝の管轄エリアの兵士達は皆家族諸共処刑されたそうだ」

「なんと恐ろしや恐ろしや…」

:
:

霤メイ
「しかし何故あの女海賊(ザリー)を生かしたのですか?エン兄」

龍エン
「真意は解らぬが柳ギョクが言うには生かした方が得策だとな。まァ生かすも消すも取るに足らぬ存在だ」

霤メイ
「ギョクに甘いんだからエン兄は」


七世
「あの〜〜………
(霤メイ様もいらっしゃる…とても気まずい…)」


そこへ官女の七世が尋ねて来た

(Android/Chrome, ID:dRbySjnd0)
17 :イエロー
03/10(日) 19:37

第4夜<范帝国の一件④>

七世
「本日"伽"にお伺いつかまつりました…後宮にて官女を務めさせて頂いております七世と申します(生龍エン様カッコイイ…!!)」

霤メイ
「おい誰だ…君の様な下女が来ていい場所ではないぞ」

龍エン
「いい俺が呼んだのだ」

霤メイ
「な〜んだ…んじゃあ本当にエン兄の伽相手か」

七世
「で、では…と、床の方へ…」

龍エン
「何を勘違いしている?」

七世
「は、へ?」

龍エン
「官女の貴様には指令を与える為に呼んだのだ」

七世
「す、すみません…勘違いしておりました」

霤メイ
「メハハハ、馬鹿な下女だ」

七世
「指令とは?」

龍エン
「地下牢に入れてある2人の海賊の世話をして貰う」


ー王宮ー
地下牢にて


牢に閉じ込められたザリーとジャンク


ジャンク
「あのリュウエンと言う奴が現れた瞬間…力が抜けたって言うか目眩がした…ザリーもか?」

ザリー
「あァ…何かの能力かも知れねェ」

ジャンク
「ジャクハハ!珍しくしおらしいじゃねェかザリー」

ザリー
「うっせェリヴェンジだ!次はヤサ男(霤メイ)もあのオールバックの野郎(龍エン)も全殺しだ」

ジャンク
「しかし鍵がねェとな…この分厚い鉄板の錠は腕力だけじゃビクともしねェしよ」


スタスタ…

誰かが歩いて来る


ザリー
「誰だ?」

七世
「閣下より命じられて来ました…官女の七世と申します」

ジャンク
「閣下っていや…あの第1皇子に命じられただと?世話でもしてくれんのか?」

七世
「はい、お言葉通りでございます」

ザリー
「んだと」 

七世
(我慢するのよ七世!これを耐え切ればまた龍エン様に評価して貰える…そしていずれは皇帝になられる龍エン様の妃よ)

ジャンク
「あの男何を企んでる」

七世
「お、お腹は空いておりますか?」

ザリー
「腹ぺこだ」


そう言うと持って来たご馳走を手錠をしている為自分では食べれないザリーとジャンクに食べさせる七世


ジャンク
「く…この歳で人の手で飯を運ばれるなんてよ屈辱だぜ」

ザリー
「上手ェ」


気にせずムシャムシャと食べるザリー


ジャンク
「呑気かよ」

ザリー
「食える時に食わねェと死ぬぞ」


:
:


七世
「お腹も満たされた所で…それではお体を拭かせて頂きます。その汚い服は脱ぎ捨てて貰ってこのお召し物にお着替えして頂きますね」

ジャンク
「断る」

ザリー
「ざけんな、良いから早くこっから出せ」 

七世
「そう申しましても閣下に叱られてしまいます」

ジャンク
「俺らを捕らえて何がしたいんだ」

七世
「各々思う事はあるとは思います…理解しております。閣下とはまたお会いする事になりますので諸々話なら後で出来るかと…それに閣下とお会いする為にもその小汚い格好では失礼に値します…閣下はとても潔癖で綺麗好きの方なのです」

ジャンク
「あの男(龍エン)とまた会わせてくれるのか」

ザリー
「…!」


ザリーはただ1人隅の方を睨んでいた


ザリー
「おいそこに居る女出て来いよ。さっきからジロジロと目障りだぜ」


ザリーは隅っこでザリー達を見つめていた女の存在に気が付いた


艶のある緑髪の女
「!!」

七世
「りゅ"柳ギョク"様…何故あなたがこんな所にいらしてるんですか」


絶対的王権制度
范帝国皇帝の3人の実子の1人
その名は
【第3皇女】沁 柳(りゅう)ギョク


柳ギョク
「この第3皇女のわたくしが何処に居ようとあなたに関係なくてよ?」

ジャンク
「また皇子かよ」

七世
「柳ギョク様、お部屋へお戻り下さい…あなたがここに居たら私の管理不足で閣下に叱られます」

柳ギョク
「関係ないわ。ひと足先に海賊達には聞きたい事があってよ?」


そう言うと牢に入る柳ギョク


七世
「高貴な皇女自ら牢に入るなど…な、何を考えているんですか!」

柳ギョク
「うるさいわねあなた」

七世
「…」

柳ギョク
「あなた方はザリー海賊団ね…少し血筋を調べさせて貰ったわよ。"引き裂き"のジャンク改めジャンヌ・ジャクソン…貴族として生まれ海賊になった変わり者
そして"海の執行人"のザリー改めザクロ…あなたの父親は無邪気一味船大工キャップ、そして母親はサーカス海賊団幹部モモの元で生まれた」

ジャンク
「流石は范帝国の情報網だけある」

柳ギョク
「龍エン兄さん…いえ閣下に頼みあなた達を生かす様頼んだのはわたくしであってよ?本来なら処刑されていてもおかしくないのだから」

ジャンク
「何故そんな事を」

柳ギョク
「話を最後まで聞く事ね。外海では既に覇権を争っている事実は知ってるわよね?」

ジャンク
「覇権争い…例の"アラクネ"達や"海の四天王"達の抗争か」

(Android/Chrome, ID:PP3oKf6U0)
18 :イエロー
03/13(水) 07:17

第5夜<范帝国の一件⑤>

柳ギョク
「その通りよ」

ジャンク
「その覇権争いが俺らとどう関係があるんだよ?」

柳ギョク
「わたくしが聞きたい事はザクロ、あなたにあってよ」

ザリー
「は?俺に?何だよ?」

柳ギョク
「今や"無邪気一味"は覇権争いの中心にいる海賊よ、あなたの父親キャップはそこの船員よね?なら一味の現在の所在も知ってるのかと思ってよ」

ザリー
「アテが外れたな。俺は知らねェ」

柳ギョク
「しかしあなたの持っていた荷物にはこの様な物があってよ」


柳ギョクはザリーの荷物からCAPと名前が刻まれた永久指針を取り出した


柳ギョク
「これは父親の所在を示す永久指針ではなくて?」

ザリー
「てめェに答えるこたァねーよ…つか返せよそれ」

ジャンク
「ザリー…」

柳ギョク
「ま、あなたをエサにして父親キャップをおびき出すという手もあるけどね」

ジャンク
「何故そんな事をする?意図が読めねェな」

柳ギョク
「…わたくし達の范帝国はもう1つの2大王国のウォー大国に遅れを取る事は許されないのよ。あそこは今や毒蜘蛛の一味が暗躍して着々と勢力を増す巨大な力を持ちうるのよ…それに対抗する為には"あれ"が必要不可欠であってよ」

ジャンク
「あれって?そしてザリーと何の関係がある?」

柳ギョク
「それにウォー大国に対抗する為には力も必要…覇権争いの中心に席を置く無邪気一味を率いれれば…船長ミルキィ・ロードは今では名だたる海賊達と手を組んで毒蜘蛛一味と対抗してると言うじゃない?
無邪気一味と名だたる海賊達の力が加われば…我々…そして范帝国が世界統一をする日も近づくのよ」

ジャンク
「世界を統一だ??ジャクハハ!」 

ザリー
「てめェらの目的に1ミリも興味ねェ」

柳ギョク
「興味があるないはどうでもよくてよ?そして……それに龍エン閣下の先日までに渡った航海で解った事もあってよ?」

ザリー
「…?」

柳ギョク
「我々沁家の家宝でありこの范帝国の国宝でもあるコトコトの実は…現在無邪気一味が所持しているとの事であってよ。コトコトの実がまた我らの手に戻ればいずれは…世界を統一する事が出来る」

七世
「はわわわ…(国宝が海賊の手に!?)」

ザリー
「何ィ!」

ジャンク
「コトコトの実ってザリーが欲しがってた悪魔の実じゃねェか…まさか無邪気一味が持っていたのかよ」

ザリー
「クソ親父達が」

ジャンク
「コトコトの実って何なんだ?世界統一を為せる程の能力なのか?」

柳ギョク
「それ程の能力であってよ。…もしも我々に協力をするのであればここを出せる様口利きしてあげてもよくてよ」

ザリー
「協力するも何も俺と親父は関係ねェ」

柳ギョク
「あ、そ…」


そう言うと柳ギョクは地下牢を去って行く


ジャンク
「おい、あいつに口利きして出して貰えば良かったんじゃねェか…どうすんだよ」

ザリー
「知るか。それにあの永久指針は小さい頃貰ったモンだし何処に辿り着くかさえ解らねェんだよ」

ジャンク
「ジャクハハ!ならあいつら煮え湯を飲まされるんだな」


王宮
ー皇の間ー


龍エン
「皇帝…ただ今戻りました…お体はどうですか?」

皇帝
「龍エンか…息子に心配されるとは私も歳だな…問題ない…所で国宝の所在が解ったとな?」

龍エン
「はい…ご心配なく…直ちに奪還して参ります」

皇帝
「龍エン…"あやつ"には十分注意しなさい…」

龍エン
「解っております」

皇帝
「頼むぞ」


ー帝都ベキンー
西区域


ザリー海賊団船員達
「まさかザリーとジャンクが捕まるとは…」

「どうするよ?俺達だけじゃあ動きようがないな」

「しかし不穏な感じがするな」


ザリー海賊団の面々は帝都ベキンにて手配された范新聞を見てザリーとジャンクが捕まる事を知るのであった


ー帝都ベキンー
海軍駐屯基地


海兵達
「いろは中将…沁 霤メイ氏が引渡した海賊達の引き継ぎは完了致しました」

「しかし一国の皇子が海賊を始末するなど凄い時代ですね〜」

ピンク髪の海軍将校
「皇子とはいえワタクシ達海軍を差し置いて海賊達を取り締まるなんて!超絶海軍の恥だと思いなさい!!」


ピンク髪の海軍将校
海軍本部中将
【麗】のいろは
※【黒金】のシンベエ中将の同期


いろは
「ワタクシ達1人1人が海兵である意味を超絶理解しなさい!」


いろはの表向きの任務は范帝国の警護、本当の目的は范帝国の動きを逐一監視する事であった
これは世界政府より一任された任務であった


海兵達
「元々范帝国は一般兵ですら屈強ですし我々の警護が本当に必要かどうか怪しいくらいですよ」

いろは
「何を超絶ヌルイ事を言ってんの!だから海軍が超絶舐められるんじゃない!!」

(Android/Chrome, ID:IdYssYUv0)
19 :イエロー
03/18(月) 23:23

第6夜<范帝国の一件⑥>

海兵達
「大変です…!街が…!いろは中将…」

いろは
「超絶何事!」

海兵達
「どうやら第1皇子沁 龍エン氏が航海より戻られたとの事で街は…」

いろは
「街は…?」

海兵達
「街は盛大なパレードが行われるとの事です!!」

いろは
「は??」

海兵達
「沢山の范の料理が振る舞われるとの事!」

「やっほーい!」

「楽しみ過ぎる…」

いろは
「超絶馬鹿!そこに並びなさい…1人ずつ斬ってやる…!」


ー帝都べキン王宮ー
地下牢


七世
「お召し物のお着替えは済みましたねお2人とも」

ジャンク
「不服だぜ」

ザリー
「クソが」  


ビリビリ

ザリーとジャンクは七世の説得に渋々応じて着ていた服を脱ぎ捨て范帝国の客人服を着せられた…しかしザリーは着心地が悪かったのか袖の部分を破り捨てた


七世
「何を!客人用の服を破くなんて」

ジャンク
「ザリーのやる事にイチイチ気にしてたらキリがねェぞ。それより煙草持ってねェか」

七世
「持っていません。それに王宮内は禁煙です」

ジャンク
「ヤニ切れだ。集中してェのに」

七世
「ゴホン…えー龍エン閣下との会談は本日の夜です。それまではまだ時間がありますので街を案内しましょうか…それに本日は街では催(もよお)し物が行われます」


沁 龍エンが本国へ戻ってきた事により毎年恒例で行われている【第1皇子】沁 龍エン主催の范帝国の兵士達や民間人の中から選りすぐられた武人達同士による武術の向上を計った武術祭が開催されていた


ー帝都ベキン中央ー
沁家の闘技場


その昔皇帝である沁家が巨額を投じて作った巨大なドームがあり観客席を囲んだ中央には点々とリングステージが設置されている

観客達は大盛り上がりを見せていた

次々に業(わざ)を見せ合いバトルを繰り広げる戦士達

この武術祭は外海からの飛び入り参加も認められており外外からも多くの戦士達が参加していた

その中に海兵の姿もあった


いろは
「超絶掛かって来なさい…ワタクシに勝てる者などいない!」


海兵達
「乗り気なんだからいろは中将…」

「パレードの話を聞いたらいの一番に参加しちゃって」

「あの人好きだもんねお祭りごと」


いろは
「超絶行くぞォォォー!」


いろはの対戦相手は范の警備兵長の1人
ギュウ魔


ギュウ魔
「海軍中将だが何だが知らねェが俺に勝つのは不可能だぜお姉さん!」


観客達
「ギュウ魔!良いぞ」

「よ!ナイスガイ!」

「外海の海兵なんてやっちまえ」


巨大な太刀を振り回すギュウ魔


ギュウ魔
「呑気に構えてて大丈夫かい!その前に斬っちゃうよ」


キン…

いろはは腰に差していた刀に手を当てた


ギュウ魔
「喰らえ!」

いろは
「アゲハ流-居合-翽(はばたき)!」


ピキィーン…

巨大な太刀ごとギュウ魔を斬り倒すいろは


ギュウ魔
「がは…」

いろは
「超絶口ほどにもないわね。范帝国の武人ともあろうものが」


観客達
「おおおーーーー!!!」


別のリングステージでは


深めのニット帽を被る女
「きゃはは!わたーしも飛び込み参加しよ。誰が相手する??」


子供じみた容姿の女がそう言いながら飴玉をなめていた


戦士の1人
「まだ子供ではないか…舐めてこの武術祭に挑むと大怪我するぞ」

深めのニット帽を被る女
「きゃは!…舐めてるのはどっちかな」


構えを取る戦士に対して構えもせずただ呆然に立ち尽くす深めのニット帽を被る女


戦士の1人
「女子供にも容赦は無しだ。行くぞ」


シュッ

戦士は速攻で蹴りを入れようと動き出した


深めのニット帽を被る女
「ぷっ」


バゴォォォン…!


口から飛び出た雨玉を放り出す…それが戦士に着弾すると戦士の体が爆発した


戦士の1人
「ぐは…!」

深めのニット帽を被る女
「きゃはは!弱っわ」


司会者
「飛び込み参加の謎の少女!その強さはホンモノだー!!」


観客達
「おおおーーー!!!」


深めのニット帽を被る女
【飴舐め】のカラメッラ・キャンディ(28)


キャンディ
「それにわたーし子供じゃないし…まァ若く見られてるって意味でなら別にそのまんまでもいいけど」


スタン…

キャンディのいるリングステージへ歩み寄る1人の男


霤メイ
「メハハハハ!外海の者め。ボクとも手合わせ願おうか?」

キャンディ
(何でわたーしが外海から来たと…)

司会
「何と!!ここで第2皇子であわせられる霤メイ様が飛び込み参加へと!」

キャンディ
「良いけど君傷付けたら後々面倒くさそッ」

霤メイ
「心配無用、この武術祭に置いては地位も名誉も関係ない…戦士達の武術の向上が目的だからね〜」

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20 :イエロー
03/22(金) 20:24

第7夜<范帝国の一件⑦>

いろは
「顔を深めの帽子で隠してるがあの喋り方、あの飴玉といい…もしも"あの女"だったら何故この国に!?」

海兵達
「誰なんですか?」

いろは
「超絶厄介な女よ。警戒しときなさい」


キャンディ
「きゃはは!」

霤メイ
「構えもせず呑気な女だね」

キャンディ
「ぷっ」


戦闘開始と共に飴玉を口から吐き出すキャンディ


霤メイ
「汚らしいな〜」


バゴォーン…!

飴玉が着弾し再び爆発する


霤メイ
「メハハハハ…仕掛けは単純の様だ」


着弾したにも関わらず傷一つもない霤メイ


キャンディ
「へェ…わたーしの飴を弾くなんて」


司会者
「謎の爆発する飴玉攻撃を防ぐとは流石霤メイ様だーー!!」


キャンディ
「きゃはは!流石は范帝国の皇子様ね」

霤メイ
「次は僕からだ…岩石落とし(ロックダウン)」


霤メイが左手を空に向けた次の瞬間


ズズズ…

突然巨大な岩石が宙から出現しキャンディに向かい降り注ぐ


キャンディ
「先程の見えない壁といい、能力者ね。はじける飴(キャンディ・キャノン)」


バゴォーン…!

キャンディは飴玉を口から放出して巨大な岩石に着弾させる事で粉砕した


霤メイ
「へェやるね〜」


シュッ…

一瞬にして姿を消す霤メイ


キャンディ
「きゃはは!消えた…?」

霤メイ
「隙あり」


キャンディの背後に移りキャンディの首に手を掛けた霤メイ


いろは
「あの動き…我々の使う"剃"じゃない」


キャンディ
「きゃはは!一瞬で背後を?」

霤メイ
「外海では"剃"とか呼ばれてるらしいね。ボク達の国ではこれを"瞬"と呼ぶんだ…そしてボクの手刀は刃物同様切れ味が鋭いけどどうする?降参してくれたら嬉しいんだけど」

キャンディ
「降参?きゃはは!」

霤メイ
「ならトドメだ」


バキィ…!!

キャンディは咄嗟に後ろ蹴りを霤メイの溝に決め込んだ


霤メイ
「ノーモーションで後ろ蹴り…ぐは…そんな小さな体の何処から力が出るんだか」


霤メイは静かにダウンしていた
 

司会
「何て少女だ…!!あの霤メイ様に膝をつかせるなんて」


キャンディ
「きゃはは!まだやるなら掛かってきな♪」

霤メイ
「メハハハハ!強力な一打貰ったな〜〜だけどまだこれからだ」


龍エン
「何を遊んでいるのだ霤メイ。女子供に遅れを取るなど沁家の恥だぞ」


中央席にて試合を鑑賞していた【第1王子】沁 龍エンがそう呟く


霤メイ
「やれやれ…エン兄にトバッチリ食らっちゃったじゃないか」

キャンディ
「わたーしに関係ないし。それに君の能力も未だ不明だしまだまだ余裕そうじゃん」

霤メイ
「メハハハハ!本気で行くね。山落とし(マウンテンダウン)」  


ズズズズ…

当然宙から山が丸々一個出現し、それが闘技場目掛けて振り落とされて来た


司会
「何て規模だこれは!?観客の皆さん!!逃げてください!!」


霤メイ
「これなら粉砕出来まい!」

キャンディ
「ちょっとばかしピーンチ♪だね」


キャンディはポッケから大量の飴を口に含んだ


霤メイ
「止めれるかな?」

キャンディ
「そんな事しない。はじけ散る飴(キャンディ・ショットガン)」


複数の飴が降り注ぐ山に着弾し爆発し、連鎖するように次々と爆発が起こった


司会者
「なんて事だ!?降り注いだ山が次々と爆発して行く〜〜!!」


キャンディ
「きゃはは!大きさよりも質だよ」


しかし爆発を続ける山の残骸は闘技場に次々と降り注いでいた


龍エン
「霤メイめ。その技をこの闘技場で使うなど」

兵士達
「龍エン閣下!どうされますか。このままですと闘技場が半壊します」

龍エン
「心配するな。貴様らは離れていろ」

兵士達
「という事は龍エン閣下の能力で…」


ゾゾゾッ………!!!!


次の瞬間降り注ぐ山の残骸は何かによって掻き消された


龍エン
「ふん、無駄な手間を」

霤メイ
「お見事♪エン兄」

龍エン
「私に力を使わせるとは。それまでが算段だったか霤メイ」

霤メイ
「正解♪」


キャンディと霤メイの対決は決着が付かず闘技場のリングステージもめちゃくちゃとなり引き分けとなった


七世に案内されて一部始終見ていた手錠をされたザリーとジャンク


ジャンク
「何て攻防だよ。それに最後のアレはあのリュウエンって奴の能力か」

ザリー
「関係ねェよ次会う時はぶちのめすだけだ」

七世
「龍エン閣下は皇子でありながら文武両道の天賦の才があるお方です。あなた方達が交えるなどおこがましいです」


キャンディ
「引き分けか。ま、楽しかったよわたーし。」

霤メイ
「メハハハハ!引き分けは納得が出来ないね」

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21 :イエロー
03/28(木) 20:10

第8夜<范帝国の一件⑧>

キャンディ
「君がリングステージ破壊しちゃったんだし、とても残念だけど持ち越しだね」

霤メイ
「外海の女よ、目的は何だ?」

キャンディ
「わたーしは通りすがりの一般参加者。それ以上でもそれ以下でもないよ」


そう言い残し闘技場から去るキャンディ


トコトコ


闘技場の隅を歩くキャンディに海軍中将のいろはが声を掛けた


いろは
「何故だ。何故お前の様な女がこの国にいる?」

キャンディ
「ゲ、海軍…しかもあの女剣士"麗"か」

いろは
「この場で捕まえてやってもいいが…後々面倒になると困る」

キャンディ
「利口だね。そっちのがわたーしは助かるけど」

海兵達
「誰なんですかいろは中将」

「ただの参加者じゃ」

「幼気な少女ですよ」

いろは
「マヌケか。さっきの超絶な戦い見てたらただの参加者じゃない事は一目瞭然。深めの帽子で素顔を隠してるけど…この女は"毒蜘蛛の一味"の1人よ」

海兵達
「あのアラクネの!?」

「ただの少女にしか見えないが…」

キャンディ
「わたーし迂闊だったわ。まさかこの国に君の様な優秀な海兵が紛れ込んでいたとはね。十数年前に"黒金の男"と共に海軍に反乱を起こして仕組みを作り変えた伝説の1人ね、"麗"のいろは」
※黒金の男…いろはの同期でありザクロの育ての親である現中将のシンベエ


そう言うとキャンディは深めの帽子を取る


ショートのダークブラウン髪がなびいた


毒蜘蛛の一味 女郎蜘蛛一派
【イリーガール】のカラメッラ・キャンディ
懸賞金8億9810万ベリー


キャンディ
「きゃはは!心配無用…わたーしはただ偵察に来ただけよ、お互いに揉め事にはしたくないでしょ。それにあなたとは目的も立場も一緒のハズよ"麗"」

海兵達
「8億越えの海賊なんて初めて見た」

「どうする?」

「どうするっていろは中将の指示が出ないと」

いろは
「海賊が偵察だって?悪巧みにしては超絶不気味ね」

キャンディ
「きゃはは!あの伝説の海兵の1人を相手にするなんてわたーしには荷が重いから止めときたいんだけど」


:
:

そして同時に
一時中止になった武術祭はリングステージの復旧と共に再開した


いろは率いる海兵チームと毒蜘蛛の一味キャンディの対話は続く


いろは
「あなたに掛かってる懸賞金の意味は知ってる?8億よ…並の悪党に掛かる金額ではない」

キャンディ
「きゃはは!そんな事より伝説の海兵達って今じゃ皆40過ぎてるんでしょ、それなのに君の美貌は今も現在…美の秘訣でも聞きたいんだけど」

いろは
「話を逸らすなイリーガール…」

キャンディ
「きゃはは!面倒事は御免よ…ドロンさせて貰うわ」


タタタッ

キャンディはそう言うと走り出した


いろは
「超絶待ちなさい!」

:
:


時間は夜に


ー帝都ベキンー
王宮の"龍"の広間


龍エン
「本日の武術祭中々粒揃いであったな」

柳ギョク
「ええ…どうやら兵の報告に寄りますとどうやらウォー大国の"使い"が紛れ込んでいたとの報告が」

龍エン
「あの妙な話し方の女(キャンディ)か…二大王国ウォー大国の裏で暗躍する毒蜘蛛の一味の1人がガンコウ(港町)より入国したとは報せはあった…ただのネズミだ手に取らぬ」

霤メイ
「それなら先に言ってよ…引き分けにされて納得出来ないし本気で潰したのに」

龍エン
「今はまだ揉める気などはない。全ては国宝を取り戻してからだ…」


バタン…

龍の広間の扉が開き、ザリーとジャンクが七世に連れられて入って来た


ザリー
「クソ野郎!てめェら!早く離しやがれ」

七世
「わ、わ、わ、閣下になんて口を…」

ジャンク
「まァまァ、とりあえず奴(やっこ)さんの話も聞いてやろうぜザリー」

龍エン
「エンハハハ!威勢のいい女だ」

霤メイ&柳ギョク
(エン兄・龍エン兄さんが笑った)

ザリー
「てめェらに協力するつもりはねェぞ」

龍エン
「確か貴様は我々の国宝であるコトコトの実を欲しがっていたな女」

ザリー
「あァ」

龍エン
「くれてやってもいいぞあの悪魔の実をな」

霤メイ&柳ギョク
「!?」

柳ギョク
「か、閣下何を仰るんですか!?」

霤メイ
「冗談でしょエン兄〜!あれは国宝…しかもこの大きな争いには必要不可欠…」

龍エン
「あれは世界を統一する能力に等しいが既に霤メイもこの私も悪魔の実の食しておる。能力者は2つ目を食せば死ぬ。かと言え温室育ちで戦闘経験もないに等しい柳ギョクでは力を生かせるとは思えんしな」

柳ギョク
「く…」

ザリー
「俺にくれるってのかよ」

ジャンク
「待て待て!都合良すぎるだろ…それにあんたらの国宝を外海から来た者にみすみすやるって言うのかよ」

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22 :イエロー
05/03(金) 21:08

第9夜<范帝国の一件⑨>

龍エン
「勿論考えたさ。先程も伝えた通り我ら兄弟は選択外…兵士達にも食べる程の器があるものは早々にいない。そうなれば外海から来た者にも選択肢はあろう」

ジャンク
「それが何でザリーなんだ?」

龍エン
「俺は人の本質を見抜ける…貴様(ザクロ)はどうやらただ運命に翻弄された哀れな女ではないようだな。だから最終的に選んだ」

ジャンク
「何だそりゃ」

七世
「龍エン閣下は昔から人を見抜く才能はズバ抜けております。更に今現在に至っても外海から来た者達を兵士に加えたり住民権を与えたりなどetc…」

龍エン
「貴様(ジャンク)はその女(ザクロ)を信じてやれぬのか?」

ジャンク
「そんな事はねェけど」

龍エン
「だが条件は2つある」

ザリー
「うぜェな何だよ」

龍エン
「我らが必ず無邪気一味より無事コトコトの実を奪還する事を約束しよう…ザクロお前はその暁には我らの支配下に置く。そして悪魔の実を覚醒させる事だ」

ジャンク
「悪魔の実の覚醒?」

霤メイ
「悪魔の実には2段階目があるって事。ボクやエン兄は既に覚醒済みだけどね〜」

ザリー
「てめェの配下になって下僕にでもなれってか」

龍エン
「エンハハハ!下僕かそれもいい。しかしそれ以外は何をしようと自由だ。数日間猶予を与えよう、その小さな脳みそで考える事だ」


:
:
ー地下牢ー


ジャンク
「で、どうするんだザリー」

ザリー
「ケッ。考えるまでもねェよ!ここ脱獄して俺達の手で無邪気一味から悪魔の実を奪うまでだ」


ー帝都ベキンー
西区域


ザリー海賊団船員達
「さーてどうすっか」

「王宮は厳重な警備網だしな」

「こんな時に"あの人"は何処行ったんだ」


ー帝都ベキンー
西区域の裏ストリート


ベキン西区域の警備員達
「待てー!」

「貴様を器物破損で引っ捕らえる!」

「待たんか!」

腕に青いバンダナを巻く金髪の男
「待てって言われて待つ馬鹿がいるかよ!」


どうやら博打に負けて賭け金を払わずにカジノの扉を破壊して逃亡した所を警備員達に追われていたのであった


 ベキン西区域の警備員達
「逃げ足が早い男だ」

「この国で器物破損は重罪だぞ」


スタスタ…

1人の老兵が歩いて来た


白髭を生やす兵士
「ばははは!私が捕まえようぞ」

ベキン西区域の警備員達
「あなたはベキン西軍隊長の白シュウ隊長!」

白シュウ
「丁度今日は非番でな…久し振りにギャンブルしに来ていたんだが…この騒ぎじゃ敵わん」


ベキン西軍隊長
【白兜】の萊(り) 白シュウ
オフの日でもトレードマークの白い兜は被っている


白シュウ
「何か使える武器は…おーこれじゃこれ」


ガシャン…

道中で見付けた薪割り用の巨大な斧を手に持つ


白シュウ
「ばははは青二才が!…"瞬"…」


シュン……


腕に青いバンダナを巻く金髪の男
「う…何ィ?もう追いついたのかよ!何て脚力だ爺さん」

白シュウ
「この国での体術の1つじゃよ…賭け金も払わず…扉も壊して逃走か…金を払って扉の修復費用を払えば見逃してやっても良いぞ」

腕に青いバンダナを巻く金髪の男
「無い袖は振れねェってんだよ」

白シュウ
「なら范帝国の規律を大きく乱したとして軍隊長の特権を使い、今この場で貴様を処刑しよう…何処がで見た顔だと思えば…今この国で話題の海賊ザリー海賊団の一味か?范新聞に載っていた手配書で見た顔だ」

腕に青いバンダナを巻く金髪の男
「話題…?たく"ザクロ"の野郎…また何か問題起こしたか」


腕に青いバンダナを巻く金髪の男の正体
ザリー海賊団 3番手
【賭け狂い】のバレンタイム
懸賞金8310万ベリー


白シュウ
「ばははは!喰らえ!」


ズバァッッ

巨大な斧を振り下ろす白シュウ


バレンタイム
「元気な爺さんだなッ…」


何とか躱したバレンタイム


白シュウ
「ばははは!無駄だ!」


振り下ろした巨大な斧をバレンタイムが隙をついた瞬間に咄嗟に振り上げた 


バレンタイム
「はァ…何て怪力だよッ!」


ズザァァァン!

振り上げた巨大な斧がバレンタイムの腹部を斬り裂いた


バレンタイム
「ぐはッ…それにクソ速ェ」

白シュウ
「ばははは!意気込んだのは良いが哀れな男よ」

バレンタイム
「はァはァ…」

白シュウ
「浅かったか。まだ立てるとは。ばははは!」

バレンタイム
「無駄な戦闘は避けたかったんだがな」

白シュウ
「我が范帝国に仇をなす存在は消すしかあるまい!」


大きな斧を振りかぶる白シュウ


バレンタイム
「マジになりやがって」


シュッ

バレンタイムは白シュウと距離を取っていた


白シュウ
「また逃げるか?外海の海賊よ」

(Android/Chrome, ID:FcCxV2/H0)