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氷上の痴話喧嘩。
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74 :
ヴィクトル・ニキフォロフ(YonICE)
2018/07/21(土) 22:26
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マッカチンが倒れた。
最初はただ、元気がないなぁ、って思う程度だったんだ。
でも、段々ご飯を食べなくなって、…食べても、戻すようになった。
日に日に衰弱していくから、漸く取れた休暇の日に病院へ。
熱中症と風邪の併発。
診断の見立てはこう。
点滴を打って一時は良くなったように見えたんだけど。
…やっぱり、まだご飯を食べない。あんなに食いしん坊だったのに。
くしゃみをしたり、空鳴きをしたり。
終いには目を充血させて、薄っすら涙まで浮かべるから。
なんだか最悪の事態になってしまいそうな気がして……居ても立ってもいられなくなった。
夜遅い時刻。
弱ったマッカチンを車に乗せて、診てくれる動物病院を探し回る。
生憎と近くの病院は全部ダメ。祈るような気持ちで、少し遠い病院へ。
幸運なことに、先生がまだ病院に残っていて、急遽診てくれることになった。
レントゲンを撮ったり、血液検査を受けたり…。
処置室に消えたマッカチンを待つ間、色々なことが頭を駆け巡る。
練習や、大会、アイスショーで、一時離れることはあっても。
傍に居られる時はいつでも、無条件で傍にいてくれた。
……俺の環境が変わった時でさえ。
動物は健気だと思う。
いつも人間の都合に振り回されるのは彼らの方なのに。
それに愛想を尽かすでもなく、抗うのでもなく、ただ、ひたすら、受け入れてくれる。
本当かどうかは判らないが。
動物や花は、人間の心に敏感だと云う。
部屋に飾った花も、住人の心が荒んでいたり、沈んでいたり、疲れていたりすると、枯れるのが早いらしい。
いつもと変わらず、寄り添ってくれていたマッカチン。
でも、きっと、俺の心の機微が、少なからずストレスを与えていたんだろう。
……ごめんね、マッカチン。…本当は、____、よね。
ここじゃない海を見詰めていたことも、…知っていたよ。
知っていたのに、どうにもならなくて、甘えていたのは俺の方。
色々検査してもらった結果。
…幸い、見た目ほど身体の中身はダメージを受けていなかったことにほっとする。
でも、もう少し遅かったら、肺まで影響を受けていたらしい。
………本当に良かった。
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……うん、良かった。
…良かったんだけど。
ねぇ、マッカチン。
綺麗な看護師さん二人に、囲まれて。
甲斐甲斐しく、流動食をスポイトで与えられている間。
別犬みたいに鼻を伸ばしているのは何でだろう?
あはは。まあ、いいか。
良くなっている証拠だよね。
…早く良くなって、マッカチン。
そしてまた一緒に、砂浜を駆けよう。
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