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┗付箋と栞だらけのネタ帳(186-195/234)
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195 :
リヴァイ(進撃の巨人)
2014/09/15(月) 23:51
(外伝「悔いなき選択」漫画版の内容諸々がっつりネタバレにつき、注意)
(回避)>>194
何の為に、此処に居るのか。
刃を突き付けながら吐く言葉が酷く白々しく、自分でも吐き気がした。
空から降り注ぐものは冷てぇハズなのに、どうしてか頭も眼前もこの心臓も身体の何処もかしこも熱い。
何故、こうなった。それはあまりにも呆気無く、それこそ巨人どもが人間をその口に放り込むくらいの簡単さで。だが、それによって払われた――失ったものは、安易でもなく。
何て割に合わねぇ……いいや、無意味な事なのだろうか。
俺がして来たのは……ファーランもイザベルも、名前すら知らねぇ奴らも。そして、俺もてめぇも。
もしも、と幾つもの可能性が浮かんでは無意味に流れていく。思った所で何も変わりなどしない。そう出来なかった今では。
滅茶苦茶になった頭の中は、浮沈も定まらない感情と失った奴らの顔ばかりが浮かんで溢れる。同じように、熱を持った何処かからも何かが零れていく。
雷鳴さえありそうなどしゃ降りの音も、クソみてぇな巨人どもが蒸発していく熱の音も、今は耳には入らねぇ。ただやたらと響くのは、俺が見下ろす膝を付いた男の声だけだ。
瞬きなんざ忘れた目の前が滲む。暈けて、見え辛くなる。
それでもこちらを見る双眸の色は変わらずに、一寸ですら揺らがねぇ。
……ああ、何処かでは分かっていたのだろう。だが認められなかったのは、その時はあまりにも失い感じたものが受け止められずに多過ぎた。
癇癪を起こしたガキのみっともねぇ我が侭のように、大人げのねぇ八つ当たりをするように。
分からない、と。
幾ら考えても、問うても、結局行き着くのは同じで。恐らく、今もこの先も。
――俺は一体、どうしたら良かった?
(回避)>>194
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194 :
那/須/与/一(DRIFTERS)
2014/08/28(木) 23:51
人みたいなボロ雑巾……じゃない、ボロ雑巾みたいになっている人を見下ろす。
初めて会った時も、こんな風だった。
傷だらけで、ボロボロで。よく生きてると思う。きっとそれは、いつだって死んでもおかしくないような生き方をしているから。
それしか知らない、とこの人は答えた。そして多分、それ以外も出来ないのだろう。
いつだってそう在り続ける。それがこの人で在る証みたいなものだと思う。
戦しか知らない。僕と同じだ。戦う事しか出来なくて、だけど僕よりも歪みは無く馬鹿みたいに、違った。馬鹿と同じで真っ直ぐで。危なっかしい……寧ろ、危ない。
そんなんじゃ、ぜんぶ、壊れてしまう。思われている事も、重ねられている事も。でもこの人は馬鹿だからそんな事なんて分からないし、知らない。
ただ関係無いと言って、前へと戦い続けるのだろう。
だけど、そんな人だからこそ付いて行きたいと思うのだろう。僕も――あの方がちらつく頭を振り、思う。
前しか向かない、戦う事しか知らないその背中に。
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193 :
エレン・イェーガー(進撃の巨人)
2014/08/09(土) 23:38
戦えと警鐘が鳴る。
煩く頭に響く。
今がその時なのだと、湧き上がった衝動を行動へ変える。
爪を研ぎ、牙を剥け。
刃を突き立て、肉を抉れ。
ヤツらが獲物だ、オレ達が狩人だ。
忘れるな、ただ生かされて殺される家畜なんかじゃねぇ。
抗えと身体が動く。
たとえ残酷な世界を眼前に突き付けられても、最後の一矢になるまで、この翼が折れるまで。
脈打つ左胸に誓った思いと共に。
それは一体、何の為だ?
そんな事、問われなくたって答えは決まってる。
閉ざされた壁の向こう、憧れていた何もかもをこの目で見て。
今でもねぇ、それこそ2000年後くらいにずっと先。
その時に、ああ悪くねぇって言って死ぬ為に。
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192 :
土/方/歳/三(DRIFTERS)
2014/06/01(日) 23:32
こいつは、この男は。
めちゃくちゃだ。狂ってやがる、とんだ「いかれ」だ。理解など出来ん。
一体どちらが言う台詞だと思っていやがる。まるで手前がした事など知らんとばかりに吼える。
何て奴だ。
そう思うと同時、憎い敵が、許せる筈も無い丸の十字が放つ言葉に別の意味で言葉を失う。そして「それ」を、風に煽られながら言葉を口の中で反芻する。
まさか、こんな所で、こんな奴に言われるとは思わなかった。
田舎の百姓上がりと言われて来た俺が、俺達が欲しくて求めて堪らなかったもの。そう在ろうとしたもの。……必要とされなくなっちまったものだ。
知らぬ内に口許が動いて、久しく――いつだったからかしなくなった形を作る。
――「武士」という唯一つの言葉に。
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191 :
エルヴィン・スミス(進撃の巨人)
2014/04/27(日) 23:56
昼下がりの執務室。
今はまだ内々のみの「作戦」とまでも言えない単なる「案」の段階にしか過ぎない事項を書いた書面を手渡し、今後の展望を話す。何という事は無い、壁外調査の無い時の日常だ。
>「この提示した問題については――」
連なる文面を見ながら内容と共に淡々と説明していたが、ふと何気無く言葉を止めて見遣ると目の前の彼は書類は手にしつつも窓の外に目を向けていた。
>「……リヴァイ?」
#「いつも居るな、あの鴉」
話を聞いていたのか、いないのか。呼び掛けに視線を変えずに言われた言葉に、彼が向ける視線の先を見る。そこには一羽の鴉が木の枝に止まって羽を休めていた。
然したる特徴も無い黒羽の鴉だ。鴉の見分け方など分からないが、此処で鴉を見る事自体は私も何度かある。彼とて見分けは付いていないとは思うが、どうやら彼は鴉を此処でよく見掛けているようだ。
>「この辺りが縄張りなのだろう。……見るのは一羽だけか?」
#「……いちいち見てねぇ」
少しの間があった。日々の中で何気無く気になっただけなのだと、そんな響きを返答と共に額に刻まれた皺を見付けて汲み取る。
疑った所で然したる意味など無いが故に、確かにそうなのだろうと思っておく。深い意味も無い判断に横に置き、改めて見る先に居る鴉が一羽しか居ない事を確認する。
>「……鴉は、生涯で決まった一羽としか番にならないらしい」
リヴァイが視線だけ、訝しさを含ませて寄越して来た。
勿論例外はあるようだが、ほとんどはそうらしい。何処で知り得た知識だったのか、記憶が曖昧で思い出せない。それ程にいい加減なものではあるが、つい……と言うべきなのだろうか。これも何気無く、台詞が口に出ていた。
#「随分と楽しそうに喋るじゃねぇか、エルヴィンよ」
>「中央との実にもならない話し合いよりはな」
は、と吐息が短く零されて告げられる言葉に、事も無げに返す。
絶対の安寧の象徴だと思われていた壁が壊されたというのに、調査兵団の立場は危ういまま。変わらず、どころか悪くなる一方だと言っても差し支えないくらいだ。直接に巨人の脅威を知らぬ者達にとっては今の状況など対岸の火事にしか過ぎないのだろう。自らに火が燃え移らない限り、気付く事は無い。一歩踏み出さずとも目の前は暗闇、ならぬ巨人の口の中だというのに。
意識せずとも漏れそうになる嘆息の代わりに視線を戻そうとしたその時、不意に鴉の直ぐ横に一羽の鳥が降り立った。
白い鳥。私もそう鳥の種類に詳しい訳ではないが、あれは――
>「白鴉か」
#「……?」
白鴉。その字面が表すように、白い鴉だ。恐らく時折あるらしいという突然変異のものなのだろう、普通の鴉とは異なり全身が白い。
普通なら黒しか有り得ない中で生まれるという白い存在。
それはまるで幼い頃に読んだかもしれない黒い書物の中にあった、一枚だけ抜け落ちた頁のようだ。……ああ、そういえば――決して折れぬ意志のように、抗う一筋の矢のように、希望のように、それこそ「自由」のように喩えられてもいた、と思い出す。これも、何処かの何かの本で見掛けたものだっただろうか。
白い鴉は先に居た鴉の傍らに寄り添うように居る。あの二羽は番なのだろうか。分からないが、何故だか酷く似つかわしくも思える。
それぞれ違う、対照的なまでの翼の色。そのコントラストが澄み切った空の色にとても美しく映えて、重なり合う様は。
>「――まるで、私達のようだな」
短く呟き、私もまた彼を見据える。
交わる視線。こちらを見つめ、薄く開いた口は言葉を灯さず閉ざして沈黙を作り出す。
そうして落ちた静寂の中、窓外の鳥達の羽ばたく音が酷くよく聞こえていた。
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190 :
善条剛毅(K/小説版SIDE:BLUE)
2014/04/20(日) 23:55
(小説版SIDE:BLUEおよびREDの内容諸々がっつりネタバレにつき、注意)
(回避)>>189
タンマツ越しから聞こえる声。
善条、とあいつが俺の名を呼ぶ。聞こえて来た声音はやはり疲れたようで、しかし何処か重荷が取れたようでもあった。
>「塩津」
名を短く呼んで、深く長い沈黙が落ちる。
告げられた言葉に、下された決意に、そこにある思いに声が空気を震わせた。
>「すまなかった」
元より饒舌ではなく、そして他に何と言うべきかも迷った挙句に出た一言。恐らくあいつも、分かっているのだろう。
他に何かを言えたのなら、何かを出来たのなら。思うが、何が正しいのか分からない為の躊躇いが行動を留めさせる。俺達の王だった羽張を斬った時には、何の意識も無く手が動いたというのに。
羽張が守っていたものを失わせたくないが為に、あいつは羽張の代わりに背負おうとした。各々の判断で、時流によって収まっていくのだろうという願望にも近い思いで、責任を放棄してしまっていた俺には責める資格など無いのだろう。この十年、俺達が確かに抱いていたものは同じであるのに。
セプター4は解散する。
その後は、今もまだ見ぬ新しい「王」を待つのみ。それがいつになるのかは誰も分からず、石盤だけが知っている。
いつか、新しい青の「王」が生まれたのなら。俺はどうするのか、いや、どうするべきなのか。
果たして、見極められるだろうか。そう考えて、俺もあいつと同じだったのだろうと思う。全て捨て切る事など出来なかった。見ないようにしていただけだったのだ、と。
……だがそれでも見極めなければならないと思うのは、いまだ脳裏に俺達の「王」であった羽張の青が確かに変わらず残っているからなのだろう。
(回避)>>189
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189 :
リヴァイ(進撃の巨人)
2014/03/18(火) 23:52
選択肢を選び取り、他の可能性を切り捨てて、結果を思い知る。
何度となく経験してきた。心は冷えて、冷静のハズだ。それでも浮かぶ思考に、切り捨てられねぇ愚かさを知る。
……失いながら戦い進む事が、人間や生命を超える事であるのなら。それは恐らく、「化け物」であり、そうなるという事なのだろう。
だとしたら俺は決して、化け物にはなれねぇ「人間」だ。
だからこそ、それが出来るヤツに対して「化け物」の意味を肯定する。
囀った言葉は慰めにすらならねぇ、ただ俺自身の勝手な願望だ。
何が「正しい」のか、分からないが故の押し付けとも言って良いだろう。
悔いが無いようにと言って、悔いは無いと言って、付き纏う矛盾を飲み込んで知らぬ振りをする。
そうしてその上で、あの時確信と共に見据えた瞳に言葉ではなく思いを向ける。
クソみてぇに分かりやすく見せて示した「演出」ながらも容赦は無い暴力に、決して折れず、失う事を恐れず、逆に深く強く研ぎ澄ませて牙を向ける。
それは今にも蒼穹へ飛び立とうとする鳥のように、自由を渇望する餓狼のように。
「巨人化の力」があるから、じゃねぇ。決して誰にも、何にも変えられねぇ、変えさせられねぇ本質。
どんな感情でもあっても。俺はそれを知っている。分かっている。思い知っているからこそ、その上で思う。お前は、お前の意志で。
お前は化け物で居ろ。
道徳や条理に外れ背いていようとも。それが、化け物を超える為と存在であるというのなら。
他の余計なもんは持っていなくていい。そんなもんは必要ない。ただ一つだけを、放たれた矢のように貫いていけばいい。そんなお前が、俺は。
ああ――悪くねぇとも。
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188 :
エレン・イェーガー(進撃の巨人)
2014/02/08(土) 23:49
狭く閉ざされた壁の中の世界。
檻の中の家畜のようで、鳥籠の鳥のようで。
こんな下らねぇ所で。こんなクソみてぇな終わり方があって堪るか。何も知らず、ただ巨人の胃袋の中に収まって、食われて溶かされて吐き出されるのを受け入れるだけなのか。
――そんなの違うだろ。
憧れていた。望んでいた。
塩の水で出来た海に、炎の水。氷の大地や砂の雪原。こんな壁の中よりも、外の世界はずっと広くて何があるかも、まだ何にも知らねぇんだ。
あの空に、まだ見た事もねぇ壁の向こうへ、風を待ちわびるだけの鳥にはならずに飛び出せるように。
腹の中が、頭の中が熱く滾る。忘れてなんざいねぇ、様々な思いが駆け巡る。
思い出せ。5年前、あの壁が壊された時の、母さんを失った時の事を。
あの悔しさを、憤りを、胸に刻んだ何もかもを糧にして此処まで来た。
膝を付くな、顔を上げろ。この心臓はまだ止まっちゃいねぇ。
此処に居るんだと、生きているのだと激しく脈打って知らせる。
刃を持て、抗って戦え。忘れねぇ為に、果たす為に、存在する自由の為に。
何の為に生きているかなんて、決まってるんだ。
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187 :
土/方/歳/三(薄桜鬼)
2014/02/02(日) 23:47
あれはいつだったか。
恐らく、その時は日常となっていた言い合い――いや、俺が一方的に突っ掛かっていた時の、ほんの言葉の文か戯れだったのだろう。
>「――まるで咲き急ぎ、散り急ぐ花のようだな」
どうしてそうも吠え立てる、とでも言うかのように。
脈絡の無い、あの人にとっちゃ意味なんざねぇ言葉でも捻くれた頭は酷ぇ侮辱に聞こえた。少なくとも、その時の俺はそう思っていた。
後から思えば、真偽はともかくとしてもどうしても消せねぇ劣等感が意味もねぇ言い合いの中に混じって、声を上げる事でしか処理出来なかったのだろう。過ぎた事だと分かっちゃいるが、そんな自分の未熟さを恥じると同時にそれを見透かされていたあの人への何とも言えねぇ感情も蘇って来る。
#「暢気に御天道さんや雨を待つだけじゃ、蕾を付ける前に無遠慮に踏み潰されちまう」
売り言葉に買い言葉のような台詞だ。意味なんざねぇようなもんだろう。だがそれでも、譲れねぇ志はあった。
どんなものが立ちはだかろうと、自分で信じたもんを貫き通す為に、そう在ろうというものが誠となるように。
そうして不意に、徒花か、と恐らく言う訳でもなく小さく呟いたその言葉と相貌が頭の中に過ぎる。
その姿に薄く陰が出来ていた事や、揶揄の他に何かが込められていた事を、嘗てではなく今の俺は理解する事が出来たのだろうか。
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186 :
ゼス(ブレイクブレイド)
2014/01/15(水) 23:57
道を違え、交差するのは「何」なのか。
既に使われない校舎の上。アンダーゴゥレムが一気に跳躍、接近する。
左手部分は以前見た時とは違い、失われて代わりにフックのような物が先端に付いている。一方の右手は内側へと曲げられており、逆手に持っているらしいそれが反転すると細長く反った刀身が露わになった。あれは――イーストシミターか?
弧を描く刃の軌道。それを後退で避け、距離を取りながら左右短長のプレスガンを持ち上げ連射。だが、直進の勢いは止まらない。右腕部を前へ、肘部を曲げた状態でイーストシミターが再び逆手に持ち変えられ――右肩部が地面に擦れる程に低い体勢からの突貫。
そして逆手状態に持っていたイーストシミターの柄が一瞬にして順手になると、アンダーゴゥレムの前になった右膝が直角状態で地面に付くと同時に下段から一気にイーストシミターが振り上げられた。
速い。再度の後退で回避しようとするが、間に合わずに鋭い斬撃音と共にレクシアスの胸部が斬られていた。裂けた割れ目から、石英を通さずに外が見える。あと少し後ろに下がっていたのが遅かったら操縦部まで、いや、俺自身までが両断されていただろう。
そこから不意に、アンダーゴゥレムの手からイーストシミターが離れる。……武器を捨てた?
武器を捨てた右手部は跳躍して来た時と同じように腰部へあてられ、数瞬の間も無く薙がれる。鈍い音が響き、振り抜かれた時には左に持っていたプレスガンの銃身が砕かれるように叩き割られていた。新たに武器を替えていたのか、と自分の武装を破壊された事で事実に気付く。
動きは止まらない。肘部を曲げゴゥレムの左頭部斜め上にまで上がった右手を再び離し、中空へ新しく替えたばかりのナタのような武器を放って代わりに同じく空へ捨てた筈のイーストシミターを再び掴む。その間にも接近は止まず、一瞬で逆手に持ち替えられたイーストシミターによる股部から狙う下段の振り抜き。そしてその振り抜きで上がった手はまたもやイーストシミターを離し、左側へ放った刃幅が広い剣を掴んで左斜めからの振り上げられた。咄嗟に身を逸らすが、完全には避け切らずに頭部の装甲が剥がれる。
違う。武器は捨てたんじゃない。次の手の為に、わざわざ仕舞うタイムロスを省く為に、空中へ留めさせたのか。
気付いたが、もう遅い。目の前のアンダーゴゥレムは、幅広の剣からイーストシミターへ持ち替えられて距離を詰めていた。
反撃出来ない。レクシアスの装備は左右どちらもプレスガンだ。ある程度距離が無ければ、有効性が無い。だが、その距離を縮める隙が見出せない。これでは防戦一方、寧ろそれすら出来ない。ただ退くしか出来ない中、目の前でイーストシミターが持ち上げられる。
――あれは誰だ。
つい先程、訣別の言葉を放ったというのに。自分がよく分かっている筈なのに。
何があった、と月並みな事を思う事すら生易しい。あの時とは、前に戦った時とは明らかに違う。
変わっていないのは、変われなかったのは、俺の方だったのか。寧ろ、変わっていないのだと、変わって欲しくないと俺は思いたかったのか。
……ライガット、と俺が知る筈の男の名を思う。
名に対する答えは無い。
代わりに正面から振り下ろされたイーストシミターの一撃が、レクシアスの右腕部と共に浮かんだ思考を斬り飛ばしていた。
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