スレ一覧
┗付箋と栞だらけのネタ帳(216-225/234)
▼|
前|
次|
1-|
新|
検|
書
225 :
雨宮蓮(P5)
2019/03/31(日) 22:43
(本編開始前、およびED後捏造過多につき、注意)
(回避)>>223
窓の外から見える景色が流れて行く。
海沿いを走って行く高速は電車の路線と並行する所もあるが、目に見える景色は全く違っているように思う。
――いや、違う、と言うのは方向が逆だったという事を差し引いても正しくないのかもしれない。
一年前。地元から、東京へ来る時。
あの時は車ではなく電車を使って、そしてただ一人で。
周りなんて見る余裕なんて無かった。寧ろ、周囲からの目を意識したくなかった。
俯いて、髪で、眼鏡で己の目を隠して。決められた路線の電車に揺られ、向かうというよりもただ運ばれていくように。だから外の景色もまともに覚えてなどいない。
だが、今は、一年経った自分は。
多くの事があった。幾つもの出来事を経た。そして沢山の人と出逢って、過ごして来た。
齎された切っ掛けや元凶……それに過程、は決して幸いなどとは言えないが、それでも手にして、紡いで、繋いで来た絆があった。
その絆は大衆を変え、自分自身をも変えている。
>「あー……何かトイレ行きたくなったかもしんねぇ」
#「ちょっと止めてよ。ジュース飲み過ぎたからじゃない?」
>「俺も……猛烈に、吐き気が……」
#「げっ、此処でリバースはナシだからな!? ダメ、絶対、だ!」
>「全く、情けねーな」
#「あっ、サービスエリアが近くみたいだよ。私、行ってみたいな」
>「少しそこで休憩しましょう。良いわよね?」
賑やかな車内で、ああ、と頷いて外を見遣る。窓に映った自分の顔が、笑んでいるのはきっと錯覚ではないのだろう。
原因となった冤罪は晴れた。だから保護観察も解けて、親元に戻るのはごく自然な流れで。
わざわざ地元に戻るなんて、と竜司は言っていたように、共に一年を過ごした大事な仲間達の近くから離れる事に名残惜しさが全くないという訳ではない。
それでも、皆が己とそれぞれのものと向き合ったように。
自分だけ逃げるような訳にはいかない。それは何より、自分自身が「許せない」から。
だから見据える。
顔を上げて、髪の毛は相変わらずだが眼鏡越しなどではなく自らの瞳で。
――自分はもう、決して独りなどではないから。
(回避)>>223
[
削除][
編集][
コピー]
224 :
結城理(P3)
2019/03/03(日) 22:37
(口調捏造過多、およびP3POPムービー内容含む為、注意)
(回避)>>223
夢を見た。
真っ白な空間の中、逆さ向きのエスカレーターに乗っていた。
天地が引っ繰り返ったように頭が下で、けれどエスカレーターに付けた足はそこに固定されたように離れていかず落ちたりはしない。流動的な段差のそれは速度も規則正しく、上へと向かって行く。その向かう先の上、は見えないし、分からない。勿論、僕も知る訳が無く。そもそも天地逆なエスカレーターなんて普通に考えておかしいけれど、これは夢なのだから多分その辺は些細な、どうでも良い事なのだろう。
ただ何処に向かうかも分からないエスカレーターは何となくタルタロスの階段と似ていて、上りなのにまるで冥府に向かうオルフェウスになったみたいだ、と思う。あれも僕ではあるけど。
行く先に何が在るのか。
影時間に現れるタルタロスの最上階に何があるのか、まだ誰も分からないのと同じで。この夢のエスカレーターが行く先も何処かは見えないまま。
別に振り向いてはいないけどただ一人、これに運ばれて行くだけで――
――違った。
人が、居た。
ちょうど向かい側とでもいうのだろうか。交差するように、同じく逆さ向きのエスカレーターに乗っている人物が居た。
茶色の癖の強い髪。瞳とイヤフォンはお揃いの赤色で、月光館の制服を纏った女の子。
同じ高等部のように思えるが、見覚えは無い。いや、そうじゃなくて、何故だろう。きっと僕は「知らない」。そして多分、彼女も「僕」を知らない。
彼女は僕に気付いているのか居ないのか、しかし僕とは違って彼女は僕の方を見る事は無い。ただ僕と同じように、ただ一人で先の分からない上りエスカレーターに身を委ねている。
互いが交わる事は決して無い。声を掛けるという思考も無かったから、言葉を交わす事も無い。同じように先は分からないけど、彼女が僕を見なかったように、彼女が行く先は僕とは違うのだろうか。
分からないけど、違ったら良いと思ったのは多分、僕自身が思った、「何か」から。
そんな何かを裏切って、もしも出会ったり「同じ」だったのなら――なんて、どうでもいい事を思ってまた、目を閉じた。
(回避)>>223
[
削除][
編集][
コピー]
223 :
那/須/与/一(DRIFTERS)
2019/01/05(土) 22:38
それはいつだってあった、確信のようなもの。
この人は行くのだろう。駆け抜けて、振り返りもせず。
思考よりも本能。「それ」が「そうで在る」が故の性質。止める事など出来ない。止められやしない。誰にも、何にも。
それが「わかる」から、信は「駄目だ」と言う。聞きやしないと知っていて、分かっているけれど、言わずには居られないのだろう。
……駄目だよ、と言わない代わりに張った面は、やっぱり変えようの無い顔で。
きっと僕達の言葉の意味なんて、分からないまま行くのだろう。
[
削除][
編集][
コピー]
222 :
土/方/歳/三(DRIFTERS)
2018/12/15(土) 22:21
聞きたかった声がする。
連れて行けなかった、連れて逝けなかったあいつの声が。
見たかった姿がある。
連れ出せなかった、連れ脱せなかったあの人の姿が。
どうして今、今更。
ずっと話したかったのに。ずっと言いたくて、聞きたかったのに。ずっと「また」会いたかったのに。
聞けなくて、訊きたかった事があった。それなのに居なくて、だというのに何故。
こんなんになった俺を責めるのなら、詰るのなら、怒りに来たのなら、何故、そんな風に、そして今になって。
ああ、ああ畜生。
声に言葉は届かず、姿に手は掴めない。掻き消えて、聞こえず、見えなくなって、ただ代わりに煩く響くのは、ああ、「また」だ。勝手な風に、誰も彼もが。
――また俺を遺して、いかないでくれ。
[
削除][
編集][
コピー]
221 :
柳/生/十/兵/衛/三/厳(魔/界/転/生 十)
2018/09/06(木) 21:30
唯一人残りて、遺された「もの」は何なのか。
荒涼とした無情と、寂寞と、空虚。
対峙を終え、汗と共に潰れた左目から落涙する。
思うのは、己がまみえた剣豪達。
田/宮坊/太郎、宝蔵/院胤/舜、柳/生如雲/斎、おやじ殿――否、柳/生宗/矩、天/草四/郎時/貞、荒/木又右/衛門……そして、宮/本武/蔵。
いずれも、人の理を越えた「魔人」であった。
あれらが、彼等が求めたのは果たして、何であったのか。
無骨者のおれが思索を巡らせるのは余りにも無粋ではあろう。皆違うのだろう。
それでも求めたのは、何処までも「人」で在るが故の望み。
剣は無用と成り果てていく時代の中で、逆巻き抗った末路は「人」ですらなく。だがそれを嘲う資格なぞ、おれには無い。たとえ、おれは「おれ」で在ったとしても。
否。
――然れば、いつか。それ故に。
おれも、「おれ」を殺す事になる。
おさらば、と零れ出た一言は、ただの弔いではない。
ただ手向けられたその言葉は、いずれ己にも還るのだろう。
[
削除][
編集][
コピー]
220 :
リヴァイ(進撃の巨人)
2017/06/24(土) 23:19
(単行本21巻特別版付録小雑誌の内容ネタバレ含む為、注意)
(回避)>>219
まともに雨を認識したのは、地上に出てからだ。
地下に居た時はせいぜい地下天井の隙間から漏れ出た景色から垣間見るのが関の山で、地面から水が溢れた時に大雨だという事を感じ取るくらいだった。
地上へ出て天候というものを把握してから雨自体はそこまで珍しくはない現象だと知ったが、好きか嫌いかで問われると好きではないと答えるだろう。
外の掃除も碌に出来ねぇ上に空気の入れ替えも出来ねぇから、ジメジメしてカビが生えやすく洗濯物も満足に干せねぇ。
今日は幹部会議だ。俺やハンジ、ミケは兵団の本部に既に居る為、今不在なのは貴族どもとの会議に行っているあいつのみ。碌に現状なんざ知らねぇ奴らとの話し合いが長引いて遅れちまうという事もままある為にその点に於いては然したる問題ではないが、ずっと降り続いている雨の事が気に掛かった。
出掛ける時に雨が降りそうだから念の為に雨具を、と伝えはしたが、当の本人は余計な荷物は不要だのなんだのと言って、雨具は持って行かなかった。そしてこの雨だ。いつかの意趣返しのように無様な濡れ鼠姿を揶揄っても良いかもしれないが――思い浮かぶのは、感傷に濡れたあいつの顔だった。
選び、切り捨て、進んで来た。雨でも流し切れねぇ血溜まりと屍の上に立って――そして最後に差し出すのは、恐らく。碌でもねぇ夢に引き摺られる前に、口唇を噛み締めて思考を打ち切る。俺が、戦い守ればいいと。
まだ幹部会議まで時間はある。どうせあいつが戻らねぇ内には始まらねぇし、時間的には徹底的な掃除を行うには難しい。
窓から視線を外して部屋を出た後、自分の分は勿論あいつの雨具を手にして廊下を歩いていると向かい側からハンジとミケが並んで歩いているのを見付けた。
>「あっ、リヴァイ!」
あちらも此方の姿を確認するや否や、ハンジが大股で近付いて来た。つい反射的に踵を返しそうになった足を押し留め、二人を見遣る。
#「お前等、どうした」
>「決まってるだろ、私達も同じさ」
何が、とは言われない。言葉の代わりに、俺が持ったもう一人分の雨具へ向ける視線が問い掛けの代弁をしていた。
……昨夜、研究書類の整理が何だとか言っていた気もするが、それは終わったのだろうか。それよりも風呂に入ったのかすら気になって来る。仕事の方はモブリットに任せたもとい押し付けたのだろうと判断してそれは置いておき、こいつは後で幹部会議が始まる前に風呂にぶち込んでおこうと固く決心した。
>「……雨の匂いがすると言いはしたが」
スン、と鼻から空気を吸い込んでミケが言う。どうやらミケにも言われていたらしい。どうせ頷きながらも生返事だったのだろう、と想像が付いて無意識に眉間に皺が寄った。全く、あの野郎め。
行くぞ、と溜め息代わりに歩き出す。この天気なら少しばかり幹部クラスが居なくとも、大した問題は起こらないだろう。それよりも、この調査兵団の団長が濡れ鼠で辛気臭ぇツラしている方が余程問題だ。
>「さぁ、我らが調査兵団を迎えに行こうか!」
#「喚くな」
遠慮などひとかけらもなく、ハンジが俺とミケの背中を叩いて急かす。その勢いと間近に響く大声に顔を顰めつつ、出掛ける前にもう一度窓の外を見た。
外はまだ雨が降っている。その内止みそうな雲行きではあるが、それにはまだ少し早いだろう。
雨に濡れ思う面を見るなら、嘗て見上げたあの顔が良い。そう思いながら、あいつの雨具を握り締めた。
(回避)>>219
[
削除][
編集][
コピー]
219 :
エレン・イェーガー(進撃の巨人)
2017/04/29(土) 23:28
五年。忘れもしないあの日から短ぇようで、長い気もする。
超大型巨人によるウォール・マリアの崩壊から、開拓地へ行かされ更に約二年間の訓練生活を経て、志願に沿った兵団へと配属になる日もあと少し。
これからだ、と思った矢先。
肌を焼くような熱い蒸気に視界を奪われ、直後に足元を揺るがす衝撃に立っていられず視界が反転する。同時に身体が浮き上がった感覚に、自身が中空へ投げ出されたのだと思い至った。
一体何が起こった、という思考と共に、まさか、という確信にも似た思いが過ぎる。
しかしこの真っ逆さまに落ちていく現状、悠長に考えている暇など無い。とにかく今の状況をどうにかする方が先だ。
意識を切り替え直した矢先、程近い場所で自分よりも速い速度で落ちていく影に気付く。落下の途中で意識を失っているらしい同期――あれはトーマスだ。呼び掛けてみても、返事が無い。先程の衝撃か何かで、気を失ってしまったのだろうか。このままでは地面に激突する、と判断して咄嗟にアンカーの先端を落ちていくトーマスの足に突き刺して壁に固定する。
その後は直ぐ近くに居た仲間に呼び掛けてトーマスの事を頼み、壁上を見据える。この確信通りなら、あそこに。
胸内から衝動を燻らせながら確実に立体機動のアンカーを壁に突き刺し、巻き上げの勢いで壁上へ再度登る。衝撃の所為か崩れ掛けた箇所もある壁上に立つと、いまだ治まらない熱風が顔に吹き付けて来た。
――「あいつ」だ。
ウォール・マリアと同じく50メートルの高さであるウォール・ローゼよりも大きな存在は、ただひとつ。五年前に初めて姿が確認された超大型巨人のみ。
顔面の皮が無く剥き出しになった面は嘗て見た時と変わりなく、思わず全身に駆け巡る震えを高揚だと言い聞かせて、両脚を壁の上にしっかりと付ける事を意識する。
そうやって出た声は、深く息が籠もって低くなった。
>「五年ぶり…だな」
五年前、あのシガンシナで見た以来。
あの時は無力を噛み締めながら、ただ見上げるだけだった。戦う術も、強さも、何もかもが届かなかった。
だが、あれから五年を掛けて、無力ではないように、強くなろうと、戦う為の術を得る為に此処まで来た。
この手が届く距離に在るのだと――忘れもしない決意を胸に、「そいつ」を睨み付けた。
[
削除][
編集][
コピー]
218 :
沖/田/総/司(ちるらん)
2017/03/12(日) 23:00
頭の中で鳴り響く声が煩い。
鬱陶しくてならないのにこのまま埋もれてしまいたい気もして、曖昧な意識で不意に思い出す。
あの人の所に住まわせて貰って、まだ他の皆とも揃っていなかった頃。昔から逞しくて温かいその肩に乗せて貰いながら、聞いていた話。
守りたいものの為に、命を散らす事が「武」の心なのだと。
心が無いと言われたボクに、心を教えてくれた。力になりたかった。役に立ちたいと思った。あの人に、恥じないようにと望んだ。だとしたら、それは、ボクにとっては。
あの人の、貴方の、近藤さんの為に。……ボクは。
――負けたくない。守りたい。
頭の中で声がぐるぐると廻る。相変わらず鬱陶しくて煩わしくて堪らなくて、しかしそれを叩き伏せる。
そうすると、あれ程煩かった頭の中が凪いでいく。とても静かで、酷く冴えていた。
目の前は赤く、心の臓を削るような感覚が廻る。これまでと同じで、だけど自らの意志を以って動くのが分かった。
近藤さん。ボク、分かったような気がします。あの時は分からなくて、今までもそうだった事が。
響いていた頭の中の声すらも黙らせて飼い慣らして、この身を散らすのは他でもなくあの人を守る為なのだと。
血溜まりの中、柄を握り締めて立ち上がる。あの人の前に立ち塞がるものを、ボクの意志で今度こそ斬る為に。
[
削除][
編集][
コピー]
217 :
EASY(DRIFTERS)
2016/10/09(日) 22:32
>(アニメ放映ネタにつき、注意)
ちょっと!ねぇちょっと何で私の出番無いのよ!?
何で!アイツの方が先なワケ!?事情なんて知ったこっちゃないわよ、あーもームカつく!!
しかも何よ、ちょっとしか最後映らなかったじゃない!?何処の手ブレ心霊写真なのよ。
……まぁ良いわ。どの道、私の勝ちなんだもの。
どんなに目立ったって頑張ったって、無駄で、敵わなくて、どうしようもないの。
それを思い知りなさい。見ていたら分かるでしょう、……ねぇ?
[
削除][
編集][
コピー]
216 :
エレン・イェーガー(進撃の巨人)
2016/09/24(土) 23:07
選べ、と。
内部が崩れ落ちていく中で告げられたのは、あの時と同じ言葉。
このままでは全員瓦礫の下敷き。そうなったら、助かる見込みなど無い。それを脱せる手段は限られているが、あまりにも不確定過ぎていて逆にこのまま居るよりも悪化するかもしれないという可能性。
皆がオレを、オレの選択を待っている。どうするのか、どうしたいのか、どうするべきか。
その視線に嘗て、巨大樹の森の中での事が脳裏にフラッシュバックする。
思いたくて、信じたくて、けれど選択を間違えたばかりに失った時の事。
エルドさん、グンタさん、オルオさん、ペトラさん。……リヴァイ兵長。
オレを信じてくれたのに。オレが選択を間違えていなかったら。オレがもっと、強かったら。皆、まだ。
結果は誰にも分からないとあの人は言ってくれたけど、後悔はいつまでも引き摺って付き纏う。
今回だって同じかもしれない。また繰り返してしまうかもしれない。信じたかった、けれど信じた結果は間違っていた。再び誤りを選んでしまう事が怖くて、それでも。
裸足で駆け出した先で、誰にも分からない可能性を掴みながら願う。
どうか、今度こそ。
信じたい、信じさせて欲しい。自分を、仲間を、失わせない為に。
砕き割り飲み込んだ祈りの中に、溢れ出した涙が宙を舞って溶けていった。
[
削除][
編集][
コピー]
▲|
前|
次|
1-|
新|
検|
書
[
戻る][
設定][
Admin]