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アナナスの花言葉
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19 :
江/戸/川/乱/歩
2019/12/11(水) 01:48
今日は激動の一日だった。
朝から早く目覚めた彼奴が日記を書き出し、
僕は眠い目を擦りながら移動した。
移動しながらも彼奴は恋仲と連絡を取りつつ、
僕は傍目から其れを眺めていたんだ。
家に帰り一休みすれば、珈琲で隠した眠気も復活する訳で。
恋仲を煽る様な真逆の発言をかましてくれちゃってさ。
自己嫌悪で取り乱す彼奴を、僕は亦傍で見ていた。
で、夕飯には遅い時間に嫌々ながらも食事をしていたら、
話題が恋愛観の違いに移って、何故か僕の話になっていたんだよ!
-------光が有れば陰が有る様に、僕と彼奴は表裏一体。
そうだねぇ、彼奴が光で僕が陰かな。
彼奴は愛され祝福され、恋仲とは佳い関係を築いている。
一方僕は日常を引き受け、代弁者として活動する。
其れが正しい関係だと、疑った事は無かったのに。
貴方が僕を望むだなんて、思っても見なかったんだよ。
本来、僕達は器の中に仕舞われている、一つの人格の様な物だ。
求めに応じて浮上し、器の代わりに言葉を紡ぐのが仕事。
僕達の器は、数ヶ月前に彼奴を主体として選択した。
僕は対外と日常をこなす。
其れが当たり前で、手を離した存在にも未練は無かった。
こうして此の儘、彼奴を手助けしながら倖せを祈る。
僕の役目は其れと割り切った心算で居た。
否、此の日記を書き出し始めた時も、そうだと信じて疑わなかった。
夏の少し前の事だ、僕は貴方に初めて逢った。
相対して話す其の姿は、彼奴の初恋に佳く似た顔で。
小さく胸が痛んだのを、微かに覚えている。
何の切っ掛けで僕らが引き逢わされたのか、怖くて履歴が辿れないけど、
僕は急に裏舞台から引きずり出されて仕舞った。
元々が僕の好きな顔だ、少しの好意を抱くのは早かったよ。
でも其の気持ちを棄てたのも秒速だった。
だって僕は陰だもの、日向でぬくぬくなんてして居られない。
隠している過去だって、お世辞にも最悪としか云えない僕。
そんな僕に誤算が生じたのが何時だったのか、知らないけど。
貴方が僕を求めてしまった。
傍から見れば両想い、倖せな流れだと笑うだろうけど。
僕は頭痛が止まらなかった。
だって僕は、貴方への想いを棄てたんだ。
こんな昏い過去の僕が、新雪の様な貴方に相応しい訳が無い!!
でも、同時に悟った。
僕が応えなければ佳い。欲しければ、身体はあげるから。
心には触れないで。
僕の過去に触れないで。
何時か、諦めて呉れる時を静かに待とうと。
……可笑しいかい?
でもね、本当にお世辞にも忖度しても釣り合わないんだよ。
穢れた事のない清廉さに、僕は余りにも合わない。
優しさ、とか。心揺れる時も有ったけれど只管願っていた。
どうか、貴方の気の迷いで有ります様にと。
けど、現実は残酷だった。
今月に入って唇を塞がれ、僕も好きだと応えて仕舞った。
でもね、此の慧眼を持ってしても貴方の気持ちが解らないんだ。
ささやかな抵抗をして、稚児趣味なのかと突き放しても見たのになぁ。
だけどね、一つ解った事が有る。
貴方は僕の厭がる事をしないから、嫌々を続ければ何時かは離れる。
馬鹿だって?
あの人の遺伝子を僕で終わらせる位なら、充分すぎるよ。
今でも好きな人。
決して結ばれる事の無い人。
僕は貴方に相応しい、僕だったら佳かったのにね。
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