好きなものを好きなだけ 1
長いって言われたから分割しとく
付き合いはじめの頃、先生に、
>私は性的なことには淡泊なのであなたを楽しませられるかわからない
的なことを言われてた。それを言われたときオレは大概なマヌケ面を晒した自覚がある。だってそうだろう?まさか先生からそんなこと言われるとは。見るからにそういうのとは無縁な男から急にそんなことを言われれば誰だって驚く。今までに聞いた感じ先生にはこれまで恋人らしい恋人はいなかったっぽくて、いつものメンバーで集まって悪ノリで猥談してたときもほとんど乗ってこなかった。……つうかもう、そういう知識あるか疑わしいくらいだった。オナったりはするらしいってことまではわかったが(叶が言葉巧みに誘導尋問してたのを横でドキドキしながら聞いてた。案の定顔が煩いと怒られた)、それもほぼ義務的なものだと聞いてなんとなく納得した。先生はそういうヤツなんだろうと。
その先生がオレの恋人になることを受け入れてくれただけでなく、性的な関係も視野に入れて付き合おうとしてくれていたとは。一緒に過ごしたりくっついたりする権利を手に入れたとは思ってたが、プラトニックな関係になるんだろうと思っていた。キスはしてぇと思ってたけど、その先のことは考えてなかったオレはあっけにとられて、それを見て先生がマヌケめ、と言いながら笑っていたのを妙に覚えている。
付き合ってしばらくは特に、オレは浮かれていた。かなり自覚があったが、かまわず浮かれてやった。先生は特別いつもと変わりねぇからオレからガンガンいかねーとこの関係はちっとも変わらないと気付いたからだ。暇さえあれば先生の送迎をしたり、食事に誘ったり、自宅に招いたり、ドライブしたり、買い物したり……とにかく、必要以上に会いに行った。オレは正直、毎日でも会いたかった。相手も忙しいのはわかってるし、疲れているときはあまり人と会いたくないというのは知ってたけど、オレはその例外になりたかった。とにかく会ってはできるだけベタベタしてやった。ベタベタくっつけばくっつくだけ、プラトニックな関係は無理だなと思った。正直かなり切羽詰まって、急に車の中でひっ捕まえてベロチューしたこともある。流石に怒られたけど、人目が気になるだけでチューはしてよかったらしい。かわいすぎるだろう。もうこの頃にはどうやって先生に乗り気になってもらうか、そればっか考えてたような気がする。そんなオレに先生は決まって、
>あなた……そんなにベタベタして楽しいのか
>何が楽しくて毎日私に会おうとする?理解に苦しむな
>あなたは本当に物好きだな
と、かなり苦言を呈していた。それでもオレの健気さが功を奏したのかなんなのか、会いたいといえば断られることはなかった。それはたぶん、先生なりの優しさみたいなモンだったんだろう。
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付き合いはじめの頃、先生に、
>私は性的なことには淡泊なのであなたを楽しませられるかわからない
的なことを言われてた。それを言われたときオレは大概なマヌケ面を晒した自覚がある。だってそうだろう?まさか先生からそんなこと言われるとは。見るからにそういうのとは無縁な男から急にそんなことを言われれば誰だって驚く。今までに聞いた感じ先生にはこれまで恋人らしい恋人はいなかったっぽくて、いつものメンバーで集まって悪ノリで猥談してたときもほとんど乗ってこなかった。……つうかもう、そういう知識あるか疑わしいくらいだった。オナったりはするらしいってことまではわかったが(叶が言葉巧みに誘導尋問してたのを横でドキドキしながら聞いてた。案の定顔が煩いと怒られた)、それもほぼ義務的なものだと聞いてなんとなく納得した。先生はそういうヤツなんだろうと。
その先生がオレの恋人になることを受け入れてくれただけでなく、性的な関係も視野に入れて付き合おうとしてくれていたとは。一緒に過ごしたりくっついたりする権利を手に入れたとは思ってたが、プラトニックな関係になるんだろうと思っていた。キスはしてぇと思ってたけど、その先のことは考えてなかったオレはあっけにとられて、それを見て先生がマヌケめ、と言いながら笑っていたのを妙に覚えている。
付き合ってしばらくは特に、オレは浮かれていた。かなり自覚があったが、かまわず浮かれてやった。先生は特別いつもと変わりねぇからオレからガンガンいかねーとこの関係はちっとも変わらないと気付いたからだ。暇さえあれば先生の送迎をしたり、食事に誘ったり、自宅に招いたり、ドライブしたり、買い物したり……とにかく、必要以上に会いに行った。オレは正直、毎日でも会いたかった。相手も忙しいのはわかってるし、疲れているときはあまり人と会いたくないというのは知ってたけど、オレはその例外になりたかった。とにかく会ってはできるだけベタベタしてやった。ベタベタくっつけばくっつくだけ、プラトニックな関係は無理だなと思った。正直かなり切羽詰まって、急に車の中でひっ捕まえてベロチューしたこともある。流石に怒られたけど、人目が気になるだけでチューはしてよかったらしい。かわいすぎるだろう。もうこの頃にはどうやって先生に乗り気になってもらうか、そればっか考えてたような気がする。そんなオレに先生は決まって、
>あなた……そんなにベタベタして楽しいのか
>何が楽しくて毎日私に会おうとする?理解に苦しむな
>あなたは本当に物好きだな
と、かなり苦言を呈していた。それでもオレの健気さが功を奏したのかなんなのか、会いたいといえば断られることはなかった。それはたぶん、先生なりの優しさみたいなモンだったんだろう。