男は夢を見る生き物。
「珍しいな。」と言われた。確かに珍しい。赤也のヤツに触発されたのかもしれん。昔は毎日こうして過ごしとった癖に俺はある一定の周期で別のトコにどっぷり嵌る。セックスよりキスより楽しいもんなんて駆け引きと如何に騙すかか、だと思うとったが時々カチッとハマったが最後、沼。休みの日もそれに注ぎ込んで馬鹿か俺は。なのに、この珍しい我儘が妙に楽しいぜ。
取り敢えず期限はゴールデン期間中と決めた。後少し、な。
「抱きたい」と思うてもその先のエネルギーは無い。
白石の絶妙な笑いのセンスに脱帽した夜。夢ン中に出て来たらどないすんねん、ドコドコ一緒に太鼓叩けばエェか?俺ドラム専門やねんけどなァ。
何気無い日常が、最大の幸福。毎日平凡無事に過ごせとるこの日常に感謝を。
豪い難しい顔してヤケになっとる狼が1人。どうしたどうした、飯あらへんのか。飢えた獣は触れんなとでも言わん許に喉の奥から震えた小さな唸り聲漏らしとるケドもその眼は何処か揺れとる様に思えた。寂しいんや、…って。事情は知らんケドもそういう時は膝の上で眠ると意外と落ち着いたりするモンなんやで。触れんの苦手なら同じ部屋の隅と隅とかどない。お互いに好きな事しとる癖に同じ空気共有すんのも中々やねんで、試してごらん。
久し振りに来た、久し振りに彷徨いた。久し振りに感じたその風は楽しくて全然触れなくとも俺の居場所は此処なんだと気付かされる。不思議な感覚。
…と、同時に矢張り思い出す顔。俺のした事が赦されるわけやないし、赦されたいとも思うてない。せやけど俺のした事も当然やと思ってたりもする。
昔話がしたいわけやない。触れた世界は酷く心地好くて交わす一言二言が楽しかった。