スレ一覧
┗318.最後の一秒を君と一緒に《R20》(21-25/217)

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21 :エルヴィン・スミス
2014/09/17(水) 22:19

手記は素直に気持ちを伝えられるまで続けるつもりだった。
(弱音や戸惑いを吐き出す練習のようなものか?)
彼にこれを見せることで当初の目的は達したわけだが。

仕事を終えて一日を思い起こし、思うままに書き綴る。
一度習慣になったものをやめてしまうのも寂しい気がするな。
これを書きながら、彼を思い出して幸せな気分にもなった。
何より、彼が思ったよりこれを気に入ってくれたらしいのが嬉しかったから、気の向く限り続けてみようと思う。
彼も書いてくれるそうだ。


前にお前が俺の覚え書きのノートにした落書きを、後で貼りつけておこう。
ノートを開きながら、今日は何も書くことがないと口にしたら、お前がペンを取って書き始めた。
何もない日々と何も思いつかない頁を変えるのはお前の存在だ。
俺のお気に入りをずっと残しておきたい。

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22 :エルヴィン・スミス
2014/09/17(水) 22:42

(破り取ったノートの頁が貼りつけられている)




 も
  無
   し



何かあったはずだ。
   エルヴィンは歳のせいでなかなか思い出せないようだ、可哀想に。


なら、リヴァイ、お前の今日はどんなだった?

平地訓練、兵舎西棟掃除、以上問題無し。
新しいモップが欲しい、四本!


考えておく。
ただし3本だ。
1本はハンジ班の使われていない予備を使うこと。





愛してる、元気を出せ。モップは四本。









  私の負けだ


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23 :リヴァイ
2014/09/19(金) 22:56

綺麗に纏まったお前の日記に手を加えるのは本当に気が引けるが、
俺も書くといった時のあの嬉しそうな顔を信じてペンを取ってみる。

…とは言え、何を書いたら良いものか。
お前が送別会に言っている間、合鍵を使って部屋に来た。
猫には餌をやったし、玩具で遊んでもやった。とことん付き合ってやろうと決めていたのに、チビの方が先に疲れちまったのか今は隣で丸くなってる。
部屋の中は静かなもんだ。

本棚に適当に本を差し込むのはやめろ。入りきらない物は処分するか、倉庫に移動させておけ。
浴室にシャツが投げっぱなしだった。明日一緒に洗うから忘れずに出すこと。
寒い。布団を厚いものに変える準備をしておけ。

寒さで思い出したが、お前が欲しい上着ってのはどんな上着だ。
色についてはあれこれ考えたが、結局何でも似合うんじゃねぇかという結論に至った。
そもそも洋服なんて清潔でそれなりなら何でもいい俺が考えても埒が明かん。
今度誰かに聞いておくとしよう。

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24 :エルヴィン・スミス
2014/09/23(火) 19:00

普段から睡眠時間は短い方だ。
休日に長く眠ろうと思っていても結局早朝に目が覚めてしまう。
寝不足というわけでもなく単に決まった時間以上は眠れないだけだ。

昨日は確かに夜更かしをした。
俺もリヴァイも帰りが遅く少しでも話していたくて、普段より長く起きていた。
無理をしてはいない。眠くなかった。
だが、それでも、いつもなら、翌日普段とそう変わらない時間に目が覚めるはずだった。
今日は昼過ぎまで目覚めず、食事を取った後胃休めのつもりで横になったら、夕方だ。

眠ってる間の時間の経過は一瞬だ。
一気に外が暗くなったように感じて驚いた。
定期的に目覚める俺にとっては、自分で眠った時間は推察できて、事実と大きくは違わない。
それ故に自分で時間がわからなくなった瞬間、1週間も2週間も自分が眠っていたような錯覚に捕らわれた。


枕元に、リヴァイからの鳩が来ていて、洗濯をしたと書いてあった。
それを見て安堵した。同時に愛しく思った。
行動を書いただけだろうと言われそうだが。

俺を現実に引き戻してくれるのは、いつも彼奴だ。

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25 :エルヴィン・スミス
2014/09/27(土) 11:25

リヴァイと過ごすようになって、俺の世界は随分鮮やかになった。

綺麗だと空を見上げ、移ろいゆく季節に物思い、珍しいものを見つけると筆を取りたくなる。
少し前まで何の感慨もなかった。
興味を持つのは実用に足るもの。
主観より客観、感情より理性、何より目的が優先する。
美しいものを美しいと認識するのはそれが現実に役に立つからだ。
極端に云えば、花は美しいが故に人の気を引き心を動かすことができる。
出資者の奥方に花を贈る時俺が考えているのはそれがどう作用するかだ。
それ以上の意味がない。

恋をすれば世界が変わる、とはよくある話だ。
人に訪れれば微笑ましく見るものだが、自分に来るとは思ってもいなかった。
細々としたことを感じ取れるようになったことに、ふとした瞬間気づいて驚く。
不思議と、変わっている。
白い月。
無数の色合いを混ぜる秋の夕暮れ。
彼の、漆黒の髪に落ちる日差しの柔らかさ。
純粋に美しいと思う。
彼に見せたい、分かち合いたいと思う。
きっと掛け値なしに喜んでくれる。
平素は変化に乏しい彼の表情が和らぎ、僅かに感情を浮かべると、こちらまで嬉しくなる。

庭に金木犀があるのを知った。
彼奴の好きだという花。
金木犀の花言葉は、謙虚、気高い人。
甘い香りも、主張しすぎない可愛らしい小さな花も、彼を思い出す。



それにしても、最近彼奴が可愛くて仕方がないのだが、これも俺の内の、変化の一つだろうか。

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