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┗272.白刃に消ゆ。【半完混合、時に背後透過/R18】(55-59/83)

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55 :オルオ・ボザド
2014/03/02(日) 13:53

>―――煙草と酒。
>(※新兵オルオ)





紫煙が唇から上がる。

>調査兵団の壁外調査から帰ってきた後の小休憩。いきのこった兵士が、煙草を吸ってる風景。いつものことだ。

俺は残念ながら、酒の良さも煙草の良さもわからないが。


酒は飲む。
寝れないときに、深酒する。
翌日二日酔いになって酷く後悔するが、壁外に出て、人を手に掛けた後は必ずと言って良いほど飲む。コレは調査兵団に入ってから覚えてしまった。


>掌に感触が残ってる。
(巨人より柔らかい頼りない肉の感触。嗚呼、気持ち悪ぃ)

>ブチ撒かれた内臓を俺の脳味噌は覚えてる。
(忘れたい)

>黄色い脂肪。赤い筋肉。ピンクの内臓。噴出す血潮のその色も。
(俺の中にも同じものが入ってるのか。そう思うとぞっとする)

>全部全部、覚えていて。
(覚えていたくなんてねぇ)

>消えてくれない。
(……忘れたい)


いつものように深酒をしていたら、グンタ先輩が寄ってきた。
俺の先輩。こないだ同じ班になった人だ。
俺に生還するための動き方を教えてくれた。


#「――、オルオ。飲みすぎだ」
>「飲まなきゃやってられねぇっすよ……。なんで俺は人殺してるんすか。
>俺は、俺は―――人を守る為に兵士になったのに。
>こんなの、可笑しいっすよ。なんなんですか。慈悲って。慈悲とか、いってっけど、ありゃ、ただの殺しじゃないですか」


俺の口からは勝手に言葉が溢れる。視界が曇っていく。
机に突っ伏し、安い酒瓶を持ったまま俺は続ける。


>「中途半端な状態で死に掛けるのはたしかに残酷だけど…、なんで、守る為に磨いた技で、俺たちは人殺しをしてるんすか。ハッ…一方的に巨人に殺されて、殺されそうになって、「殺してくれ」なんて頼まれるんすよ。ハハッ、可笑しいっすよ。ほんと、わけわかんねぇ」


(助けてくれ。気が狂う)
(―――慈悲の白刃は俺の心を削る)
(助けてくれ、俺は、まだ、人間で居たいんだ)


紫煙の匂いが鼻腔に流れてくる。
グンタ先輩も、壁外遠征から帰ってきたときだけ煙草を吸う。
俺の頭の上に、ごつくて無骨な手が振ってきた。
殴るとか、そういうのではなく、唯俺の髪をかき混ぜる。

母ちゃん。父ちゃんに、ガキの頃やっててもらったみたいに。
いや、俺は今もオトナとは言えないだろうが。
ガキだ。
この人みたいに、俺は兵士だというのに、――――平静じゃいられないんだから。

気が付いたら、頭を撫でられながら、俺は声を上げて泣いていた。
悔しかった。
辛かった。
自分に対して情けなくて、怒りもあった。

>頭をなでる手が、俺のうすっぺらい理性を突破してた。
>すがり付いて泣きたかった。

俺がもっと強ければ。

俺が、もっともっと巨人を殺せるなら、救えた命が沢山あった。

殺したのは巨人だ。けど。


>…死なせたのは、弱虫で、弱い、俺だ。


………俺はまだ巨人を一体しか討伐できてない。
…補佐になってねぇ補佐もした。けど。

俺は。


>「俺、人殺しじゃなくて、…ッ巨人を、殺したい…!!!!」
#「だったら強くなれば良い。―――お前は立体起動のセンスはある。あとは、覚悟だけだ」


覚悟。

俺の脳味噌に重たくその言葉は響いた。

今まで俺は、覚悟を決めたつもりで決めきれてなかったのだろうか。

恐怖に塗りつぶされた記憶。

仲間の死体。

ブレードを振れなかった。そうだ。俺は。

覚悟がなかったんだ。




>………どろりとした泥土のような眠りに意識が落ちる。


>「せんぱい…」



―――どうやったらアンタみたいになれる?
―――時が経てば良いのか?
―――なぁ、グンタ先輩。


俺の覚悟。
俺は。

俺は、そうだ。


誰かを守るために強くなりたいんだ。

この白刃を、俺を守るためじゃねぇ、誰かの

――――(文字は此処でとぎれている)



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56 :オルオ・ボザド
2014/03/03(月) 20:32

>―――覚悟を、
>(※新兵オルオ/捏造壁外遠征)






>―――第XX回壁外遠征―――


#  絶望。そして、俺の中の何かが切れる音が聞こえた気がした。


俺の班。
だけじゃねぇ。
沢山の人が死んだ。
死んだ。

視界は赤い。
視界は白い。

赤は血だ。
白は蒸気だ。

ははっ。



まさかこんな虫けらみてぇに。
人が死ぬなんて、訓練兵団の頃は思ってなかった。
巨人は恐ろしい。
しかしそれは学んだだけだったんだ。
俺の頭の中にある本に書き込まれた、ただの知識。
知識が経験に変わった今思う。


>知りたくも無かった。


俺の背中の翼が、こんなに高く飛べるのだと。
俺の腕が、こんなに巨人をぶち殺すことができるのだと。


>知らなかった。知りたくも無かった。



あの、クソ巨人共。

俺達を蹂躙したいだけしやがって。


>「なぁ。お前らには俺達はどんな風に見えてる?」


その馬鹿デカい目に俺達はどう写る。

虫けらか?

障害物か?

捕食対象か?


―――どうだって良いけどな。


>「死ねェ!!」


―――本当に、どうだって良いけどな。



死に損ねた仲間の首を刎ねてる最中に巨人襲来。
俺の中で何かが千切れる音を聞いた。


>オルオ・ボザド。俺は何だ。


立体起動が誰より得意だったろう。
座学はいまいちだったけどな。俺が天才過ぎて座学の低レベルさにはついていけなかったんだ。
俺の特技は?立体起動だ。
誰より深くまとを削ぐだけの力が、俺の頼りない太さの腕にはあったんだ。


>オルオ・ボザド。なぁ俺よ。


俺の力は誰かを守る為のものじゃねぇだろ。みとめちまえ。
俺の刃は人を救う優しい刃じゃねぇよな。飲み込めよ。
俺の翼は希望だけを背負ってるわけじゃねぇんだ。理解しただろ。

絶望と死と泥と血を背負って、無様にそれでも羽ばたくんだ。
俺達調査兵団は。


#――――後は覚悟だけだ。


グンタ先輩の言葉が蘇る。

そうだな。そうだよ。
俺は綺麗な英雄に憧れてた。
実情は、泥と血に汚れてた。
理想と現実のギャップで悩んだ。
そういうことだろ?


>汚れる覚悟を決めた。
(立体起動装置が唸りを上げる)

>俺は、もう、
(グリップから刃を落とし最速で次の刃を補填する)

>ただ、ただ、ただ、人類のため。
(巨人が迫る。怖い。その感情を塗りつぶすほどの怒り)

>―――優しくない俺の白刃は、美しい絵物語の英雄ではない俺は、俺の為に、俺の敵を削ぎ殺す。
(体を大きく捻る。バランスを取ったまま俺の白刃が巨人の項を両断した)



気が付いたら、視界が赤と白。
いつの間に降り出してたんだ。雨が俺の体を洗ってる。
ブレードに付いた汚い巨人の血が蒸発してる。汚ぇ。

俺、何匹仕留めたんだ?
死に損ねた仲間はきちんと殺せたのか?


何も、何も、解らねぇ。


ああ、そうだ。煙弾。


撃たないと。


馬。来るのか。


―――はは。血まみれだ。汚ぇ。


俺はブレードを落とし、殉職した同僚の替え刃を集めた。


……答えなんてない自問が空中に浮かぶ。
ああ、でも、生きてる。
俺は生きてる。
それだけでいい。

生きて、巨人を一体でも多く殺す。んだ。

グンタ先輩とエルド先輩の声が聞こえた。


俺はどんな顔をして笑ってたんだろう。
よく、わからない。



―――――(文字は此処で途切れている)


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57 :オルオ・ボザド
2014/03/04(火) 23:46

>俺の主張と私信のページ
>(※半注意)





俺がこの日記をかきはじめた時に思っていたこと。

それは兵士としての俺を書きたいということだった。

兵士としての三枚目で舌を噛んで笑いや冷笑を齎す俺でなく、

なんか血みどろで格好良い俺。兵士として血に塗れながら泥水を啜って生きてそうな俺。そう格好良い俺。

……いやさ。
格好良く書けてるとはかぎらねぇだろうが(ガクブル)



まぁ、兎に角私信だ私信!

>どうせ愛してしまうよ

兵長へ!


クソかわ…?!
俺はそんな記事を書いていたでしょうか。ガチで覚えがないです兵長!(たっぷり50P血塗れの精鋭の主張)
ええ、ずっとずっとstkしてましたよ。兵長とエレンの日記は割りと近くにあったので、実は毎日足しげく通っていました(真顔)
結婚。すみません兵長。俺、恋人居るんすよ。この日記で甘さを出すつもりは微塵もありませんが。だって恥かしいんだもん。リア充してます。これ以上ないほどにラブラブです。なんだろう、この凄く信じられない感じは(あふれ出る毒男オーラ)
兵長兵長!オルオここに落ちてますよ!兵長!!(笑)

こちらこそ、更新楽しみにしています。これからもよろしくお願いしますね!



>二重人格症候群

兵長へ!


わざわざ兵長でお返事ありがとうございました。あなたの班の討伐数39、討伐補佐9の精鋭19歳オルオ・ボザドです!
俺も兵長の日記を見つけたとき、ざわ…っ。となりましたね。まさか同士がいたなんてと酷く嬉しい気分にもなりました。やっぱりこの世界、独特の戦闘技術や兵士としての苦悩があるんだろうな、と思いまして。
俺も兵長の書く、引き込まれるような文章が大好きです。胸を張って言わせてください。本気でファンです。

―――は、はひ兵長!俺は調査兵団精鋭、リヴァイ班討伐数No1のオルオ・ボザドです!!
……正直俺はあなたの戦闘シーンを戦場で何回も見ています。白旗揚げたくなる気持ちも察してくれと言いたいところもありますが、そうですね。俺は折れません。全力でリヴァイ兵長の胸を借りにいきます!!

俺も交流は歓迎なんで、また手紙でも下さい。とっても喜びますんで、俺が。戦地で読んで血塗れでニヤニヤします。

兵長のこれからに、幸せが有りますように、お祈りしています!
(ついでに本気で戦闘訓練やりましょう。連絡手段を講じます)






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58 :オルオ・ボザド
2014/03/05(水) 18:16

>私信のページ
>(※半注意)



>友人観察日記
コニー・スプリンガー


こっちこそ手紙をありがとうな。お前の友人観察日記は毎日本当にほのぼのさせてくれて俺の心の潤いになっている(笑)。
俺の日記も褒めてくれてありがとよ。俺は兵士として、人間として、調査兵団としてどう有るかっつーのをぐだぐだグロテスクに書いてるだけだが、お前の日記がこんなのになったら俺が泣く、やめてくれ(笑)
うん、ハイセンスというか。可愛くて和んでしかたねぇ。俺には弟がいるんだが、年下の弟をみてるようなこの気分(のほほん)

あとトマトは止めろもったいねぇ。食え。お前も前線に10回出て生き残ったらいやでも色々悟ることになるぜ。お前にそうなってほしいとは…残念ながら俺はおもえねぇ。そのままでいて欲しい。いや。兵士で居る限りそれは難しい相談だろうがな(ため息)

いや、俺も詳しくは知らんがエルドが『コイワズライ』とか言ってたぜ?難しい病気らしいが頑張れよ!

フッ、俺みたいに格好良くなりたいなら、俺みたいに強くなれば良い。まぁ俺の格好良さに到達するにはお前には色気もレベルも足りんがな。
とにかく強くなれ。生き残れ。そうすりゃ色々かわるだろうぜ、コニー。

手紙、ありがとうな。何回も読み返してニヤニヤしてるぜ(笑)



>【monochrome】

リヴァイ兵長へ


私信ありがとうございます、リヴァイ兵長!
いや、兵長の手紙から漂ってくる幸福オーラがですね、なんというか洗い立てのシャツの香りというか、さわやかかつ甘酸っぱくて可w(舌ガリィっ)…とても格好良くて素敵だと思います。はい。るで始まる言葉だけでとか拷問じゃないですか!止めて下さい!!

ああ、俺の恋人はその、この日記ではエアペトラ…妄想上なんで。ははっ。ええと、大丈夫です。俺は格好良いのでそのうち引く手数多になる予定ですから!

日記の事にも触れてくれてありがとうございました!
兵士なんてきっと俺だけじゃなくすべからくこんなもんだと思います。リヴァイ兵長、そんな戦場の中であなたの翼はとても大きくみえます。
兵長も、これからも末永く幸せに。俺は日記の端っこで、これからも流血と刃を抱いて突き進みます(笑)





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59 :オルオ・ボザド
2014/03/05(水) 21:03

>兵士だって人並みに幸せになりたい。





例えば。

>奥さんがいて、子供がいて、家庭があって。とか。

例えば。

>部下が居て、頼りにして、友達って呼べる奴がいて。とか。


一般的な幸せがどういうものかなんて俺には一生わからん。
青春を刃に捧げすぎた。
思春期の時期に血を見すぎた。
俺の中には、強くなること、リヴァイ兵長のお役に立つこと、仲間を守ること。
そんな色気のないものが詰まってる。


>片思いをしてた時期もある。


今だってくすぶる。
栗毛色の髪の、あいつ。


ただ俺の中に、あいつと過ごす幸せなビジョンって言うのが、実はあんまりない。
戦場で背中を任せて戦うとか。
調査兵団の休日に、一緒に買出しに行って見たい。とか。
ただ手を繋ぎたい。とか。


>訓練兵かよ。自分でそう言いたくなるくらい、幼くて未熟な欲求はあるが。


色気のある欲求といわれても首を傾げてしまう。
セックスとか何がいいのか理解ができない。
キスするだけでも気持ち良いと思うんだが。
いや、一応言っておくがちんこは勃つし、俺はゲイってわけじゃねぇ。
ただ、何となく。
自己処理はするのに、他人に性欲があんまりわかねぇってだけで。


俺は割りと頭が固いから。


告白して、付き合って、手を繋いで、キスをして、抱き合って、その後…って階段を踏まないと、踏み切れないタイプなのかもしれんと書きながら思う。
>(そこまで行ったらけだものになっちまうかもしれん。だって若いし)


………もうすぐ春になる。

暖かくなる。

恋がしたい、そんな風に嘯きながら、


>こんな血に塗れた手で、俺は誰かを幸せにできるのか。そう自問する。


なぁ。

人殺しが幸せになるなんて、なんか可笑しいよな。


俺は。
幸せになりたいと願いながら
きっと同じくらい不幸になればいいと、思ってしまっているんだろう。


俺は兵士だ。
いつ死ぬか解らん。
だからこそ、大事な人を作ることを躊躇うのかもしれねぇな。



>いつかの春を夢見る。
>それなのに、自分の死の影しか見えない。



……ハッ。まるで戯曲だぜ。



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