等価値の物は手に入らない。
それでいい。比較が出来るっつーのは、順位を付けられるって事で、そもそも同質の物同士でしか成り立たねーだろ。
オレが大切に育んできた綺麗で愛しい、ちっぽけな花と、オレのほんの小さな泣き声を拾って撫でてくれた手と。
どっちが大事だなんて言えねぇ。代替品なんざある訳もねーよ。レプリカじゃねーんだ。安っぽい大量生産の玩具じゃねぇ。
それでも。
だからこそ、か。
夢が境界になった後、暗い場所で一人になれば、砂埃の中に消えてった影を今も思いだす。それは、この名前の無い温もりとは、また違うモンだからだ。
ノックの音に気が付いて、ドアを開けた泣き虫が今のオレだ。
だけど……もう一人のオレは、物語が終わって、照明も落とされて、誰もいなくなって、それなのに、幕は下ろされないままの舞台に、まだ一人で立ってる。
どうして迎えにきてくれなかったんだ。終わらせてくれなかったんだ。
どうしてだよ?