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┗1762.愛し金糸雀(6-10/165)

|||1-||||リロ
6 :市丸ギン
2008/05/28(水)20:51:26

<金糸雀色>



キレイ

カワイイ

ウツクシイ

ステキ


数々の賞賛の声が金糸雀の耳に入ります。

くるくる、くるくる

金糸雀はその愛くるしい眼で見つめます。




『気安く呼ばないで』



そう意味を籠めた筈なんに、


綺麗やなァ

可愛らしなァ

美しなァ

素敵やなァ



声は、止みません。





金糸雀の声は聞こえへんのです。









(金糸雀色は、改良種なんやて。)

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7 :市丸ギン
2008/05/28(水)21:36:00

><お月サンの話。>



ホラ、ボクの髪はお月サンみたいな色してるやろ?

そやから、お天道サンの光は苦手やって。


お天道サンはお月サンの光奪うてまうから。



こないだ、ええお天気が気持ちエエてお昼寝しとったらな、

ボクの上にお天道サンが落ちて来よった。




『お月様、御機嫌如何?』

『お天道サンが眩しゅうて、目ェ開かんわ』

『それならば、雲でお隠ししましょう』

『お天道サンは優しなァ』

それから、色んな話して…



あァ。ボク、お天道サンの光は苦手やけど、お天道サンは好きなんかも知らん。




…なーんて。届くワケないな。

お天道サンはずっとずぅっと遠くに居はるんやから。

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8 :市丸ギン
2008/05/29(木)13:47:06

<鴉の独り言>


(金糸雀さん、金糸雀さん。)

(君は如何して僕を見るの。)


(そんな眼で見ないで。)

(君には笑った顔が似合うのに。)



(声を嗄らさないで。)

(そんな声を出さないで。)

(君には綺麗な声で鳴いて欲しいから。)


(そんな、声で啼かないで。)





金糸雀さん。金糸雀さん。


何時か、僕が其処から出してあげるから。



鴉は遠く離れた杉の木から、想いました。





さて。鴉の恋は、いつ叶うやら。

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9 :市丸ギン
2008/06/04(水)23:11:20

<ある昼下がり>


それは天気の悪い日でした。

鴉は雨に濡れる翼にも構わず、灰色の空を飛びます。
一直線に、目的の地へ。


辿り着いた先は、金糸雀の籠の前。



(金糸雀さん。)

鴉の濡れた翼から雫が滴ります。


(金糸雀さん。僕は貴方が好きです。)

鴉の濡れた瞳から雫が零れ落ちました。


(鴉さん。)

金糸雀の小さな唇が震えました。


(私も貴方が好きです。)

金糸雀の真っ黒な瞳が揺れました。





カシャン。

二人を隔てる硝子が砕けました。

鴉は大きな嘴で、金糸雀を捕らえている籠の鍵を壊します。

開いた扉から、金糸雀は漸く外の世界へと出る事が出来ました。

そして、鴉の元へ。



(鴉さん。有難う御座います。)

(さぁ、逃げましょう。何処か遠くへ。)


金糸雀は羽ばたきます。

鴉はその後を追って。



(金糸雀さん。          。)









さて。金糸雀と鴉は漸く出逢えました。
これからどないしはるんやろね。

ボクも漸くキラキラのお天道様に手ェ届きそや。

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10 :市丸ギン
2008/08/05(火)14:22:27

ボクの愛しい金糸雀さんは柔らかな金糸の羽毛と、美しい声をしてはります。


お天道様みたいに輝く毛を撫でてやれば気持ち良さそに目ェ細めて、
細い指を握ってやれば嬉しそうに鳴いて。


嗚呼、ホンマに可愛らし。


幾らでも愛でてあげる。




ボクの可愛え金糸雀さん。

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