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┗3223.徒然鋸草(1-5/17)

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1 :更木剣八
2013/04/14(日)18:40:13

鯣を肴に酒を呑む。

酒よりも、鯣に酔う。

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2 :更木剣八
2013/04/14(日)18:44:39

その桃色髪はいつの間にか居て、俺の肩の上にちょこんと居座った。

俺の毛先の鈴に触れてはちりんと鳴る音を愉しんでいる。上機嫌ならころころと笑い、機嫌を損ねれば口をぶうと膨らませる。膨らんだ頬を指の腹で押してみれば、口からぷうと音を立てて空気が漏れる。
その様子に「オナラみてぇだな」と笑えば
「剣ちゃん、そういうのはでりかしーがないって言うんだよ」と更に頬を膨らませる。
面白いのでそのまま指で押し続けると、ぷいと首を背ける。拗ねた。

何だ此奴は。
目に入れても痛くねぇとはこういう心情なのかと思う。

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3 :更木剣八
2013/04/14(日)19:17:23

その狐はいつの間にか居て、俺の背後にぬるりと姿を現した。

気配を消して近付き、俺をからかっては飄々と嗤う。不機嫌に眉を顰めれば顰めるほどに反比例して喜ぶ。不愉快な奴だ。

言葉の刃の斬り返しがとんでもねぇ方向から飛んできて面喰らう。
しかし、巧い。テメェがその気なら、と俺も際疾い斬り返しをしてみる。さて次は縦横斜めどの方向から刃が飛んでくるかとゆるり待ち構えれば、笑いながら足払いしてくる。再び面喰らい乍らも負けじと投げ飛ばす。予想していなかった返しを繰り返すうちに夢中になって遊んでいる。
狐に遊ばれてんだか化かされてんだか判らねぇが、気が付けば心底言葉の斬り合いを愉しんでいた。

次の機会、今度は「こっち」で遊びてぇと斬魄刀の柄を持ち死合いを持ち掛けると、狐は「ええよ、」と薄く笑って了承した。

なんだ、凄え良い奴じゃねえか。
強い奴と殺し合いが出来ることに思わず胸を躍らせる。どんな斬り合いになるんだろうか。いつ闘ろうか。次遭った時か。ーー厭、どっちか死んじまったら今日みたいな言葉の斬り合いはもう出来ねぇのか。そりゃ勿体ねぇな。じゃァ、言葉の斬り合いに厭いた頃にでも殺り合うか。嗚呼、愉しみが増えた。

「二言は無えな?絶対だぞ」狐に向かって念を押すとやれやれと呆れ半分に首を縦に振る。言質は取れた。俺は上機嫌にその場を後にする。

その場に残った桃色髪は狐を見上げ「殺し合い、するの?」と問うと、狐は「せやね、」と苦笑いした。

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4 :藍染惣右介
2013/04/14(日)21:03:13

月みれば
 ちぢにものこそ 悲しけれ
  わが身一つの 秋にはあらねど


仲秋の名月。闇に明かにする其れを縁側にて閑かに眺める。
寝間着に羽織一枚着ただけのこの身は、少々肌寒く思える。
猪口に注いだ温めの燗を一口含みつつ、独りの侘しさを愉しむ。
周囲は微かに虫の音が鳴くばかり。他には何もない。
ーーー否、霊圧の近づく気配を察し、その方を見遣る。

「藍染隊長!」

草をかき分け赤い髪の死神が非常に慌てた素振りで現れた。

「どうしたんだい、そんな血相を変えて。」

虚でも現れたのか、それとも何か不測の事態でも起きたのだろうか。正直私にはどちらもどうでもいいことなのだが、隊長という立場を演じる限り、それらの問題の解決をせねばならない。面倒なことだ。

「何か問題でもあったのかい?落ち着いて話すといい。」

肩に片手を置き、促すように優しく声を掛け柔和な作り笑顔を浮かべる。

「いえ、藍染隊長が居られたのを見掛けたもので、つい来てしまって」

「?」

「あの、でも俺任務があってもう行かなきゃならなくて」

「???」

「済みません藍染隊長!では失礼しまス!」

深々と頭を下げ脱兎の如く去って行く後ろ姿を鳩が豆鉄砲を受けたような表情で見送る。

意味が判らない。彼は一体、何をしに来たんだ?

嵐のように過ぎた温帯低気圧は、其れまで此処にあった閑かさや侘しさ、ひやりと凛とした空気までをも根刮ぎ奪い取っていってしまった。

気を取り直すかのように口を付けた猪口の酒が何故か先程より温まっているかのような錯覚を感じ、忌忌しさに瞑目すると一つ小さく溜息を吐いた。

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5 :阿近
2013/04/14(日)21:39:12

酒の席。気付けば俺と女と彼奴と三人。柄にもなく愉し過ぎて、席を立つ時間を見誤る。
二人を見遣ると、嗚呼、成程、随分とお似合いだと思えた。まだ時間はあるが、機会を与えてやろう。そう思い、席を立ち、軽くからかいの言葉と共に彼奴の肩を叩いた。
彼奴は戸惑いつつも照れ臭そうに頭を掻き、女はきょとんとした表情で首を傾げた。


遠くから紫煙を燻らせ乍、先程出た部屋の窓を見遣る。
彼奴と女が、口付けを交わしているのが見えた。
窓枠が額縁に見え、まるで何かの絵画作品のようだった。

嗚呼、思った通り。お似合いなこって。
胸の中に宿った苦い煙を吐き出しつつ、一人口角を上げて笑んだ。

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