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┗611.夢のうつつの(26-30/66)

|||1-||||リロ
26 :阿近
2007/08/02(木)00:21:16

もう随分と
『取り敢えず在る』
だけの俺だが


在れる場所が有ることに、感謝。

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27 :阿近
2007/11/19(月)23:31:14

明け方、局から部屋に戻る道では全てが枯れている。

道の隅で
湿って斑な色になって積み重なっている落葉の山が
力尽きて頂垂れている
何か知らない生き物に見える。

右手の方からじりじり差し込む陽は
空腹か眠気か解んねぇものが喉や腹や眼に蟠ってる今の俺には
乾いた空気と一緒でひたすら痛ぇ。



頭上から、道に跨がって大仰な巣を造っている女郎蜘蛛が見下ろしている。
朝露を何とか繋ぎ留めて重たげな
細っこい糸だけが陽を照り返して
極彩色。

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28 :阿近
2008/02/14(木)22:56:46

培養槽の赤子が大分育って、心臓に血液が出入りするのが見える。
聴診器で聴こうとした心音が、右側だけざらついて揺さぶられて聞こえる。
この聴診器を寄越したメガネチビに
「右耳がいかれてる」
と文句を吐いた、その自分の声が同じように揺さぶられて聞こえた。

…どうやらいかれてるのは、本当に俺の右耳だ。
そう言えばさっき、拒否反応を起こして暴れ悶える被験体を押さえ込もうとして、横面を張り飛ばされた。
半端に避けた所為で中の鼓膜にヒビでも入ったらしい。
全く以てめんどくせぇ。

この程度で四番隊に出向くのも癪なので、今日はそのまま眠る。



局長が、愉しそうに俺の右耳許ばかりを殴り続ける夢を見て、


暗転。

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29 :阿近
2008/03/09(日)00:32:21

寝付きは悪い。目覚めも悪い。
瞼を開けても真暗闇のままで、
指の先から肩へ向かってじわじわと凍えていく感触が憂鬱だ。


幻聴の音楽が煩わしく
誰かが名を呼ぶ声が断末魔みてぇに
ぶれて繰り返す。

阿近
あこん
阿近さん
あぁあぁあああこんさん
あああああ



知らねぇよ。
だから寝かせろ畜生。








暗転。

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30 :阿近
2008/03/22(土)22:59:24

瞼を開けたと思ったらまだ夢の中だったらしい。
見覚えの無い白い猫が、俺の枕元で丸くとぐろを巻いている。

小さな顎を動かして、その猫が口を利いた。

ああ、この部屋が気に入ったなぁ。
死ぬ時は此処で死なせて貰えないか。

御免だ。

俺は即答する。
部屋に猫の死骸なんざ、有ってもどうしようもねぇ。

猫は一寸黙って、にゃあ、と今更普通の猫の振りをした。


そう言えば、何だか昔に似た猫を飼っていた気がする。
ずっとずうっと前、もしかしたら、生きてる時にでも。








覚醒。

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|||1-||||リロ

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