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┗611.夢のうつつの(28-32/66)
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28 :
阿近
2008/02/14(木)22:56:46
培養槽の赤子が大分育って、心臓に血液が出入りするのが見える。
聴診器で聴こうとした心音が、右側だけざらついて揺さぶられて聞こえる。
この聴診器を寄越したメガネチビに
「右耳がいかれてる」
と文句を吐いた、その自分の声が同じように揺さぶられて聞こえた。
…どうやらいかれてるのは、本当に俺の右耳だ。
そう言えばさっき、拒否反応を起こして暴れ悶える被験体を押さえ込もうとして、横面を張り飛ばされた。
半端に避けた所為で中の鼓膜にヒビでも入ったらしい。
全く以てめんどくせぇ。
この程度で四番隊に出向くのも癪なので、今日はそのまま眠る。
局長が、愉しそうに俺の右耳許ばかりを殴り続ける夢を見て、
暗転。
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29 :
阿近
2008/03/09(日)00:32:21
寝付きは悪い。目覚めも悪い。
瞼を開けても真暗闇のままで、
指の先から肩へ向かってじわじわと凍えていく感触が憂鬱だ。
幻聴の音楽が煩わしく
誰かが名を呼ぶ声が断末魔みてぇに
ぶれて繰り返す。
阿近
あこん
阿近さん
あぁあぁあああこんさん
あああああ
知らねぇよ。
だから寝かせろ畜生。
暗転。
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30 :
阿近
2008/03/22(土)22:59:24
瞼を開けたと思ったらまだ夢の中だったらしい。
見覚えの無い白い猫が、俺の枕元で丸くとぐろを巻いている。
小さな顎を動かして、その猫が口を利いた。
ああ、この部屋が気に入ったなぁ。
死ぬ時は此処で死なせて貰えないか。
御免だ。
俺は即答する。
部屋に猫の死骸なんざ、有ってもどうしようもねぇ。
猫は一寸黙って、にゃあ、と今更普通の猫の振りをした。
そう言えば、何だか昔に似た猫を飼っていた気がする。
ずっとずうっと前、もしかしたら、生きてる時にでも。
覚醒。
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31 :
阿近
2008/04/26(土)11:16:33
馬ァ鹿。
こっ恥ずかしいことこの上ねぇぞ。
てめぇの言う「オマエ」が俺じゃねぇってのは充分に予想出来ても
主張したがる自分が欝陶しい。
俺がダラダラ駄々捏ねくって引き篭ってる所為で
てめぇとは住んでる世界も膜一枚隔てちまってる気もするがな、
てめぇ含め幾つかの綴りは、それなりにまめに覗いてんだよ。
気になっちまう俺を笑え、畜生。
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32 :
阿近
2008/11/12(水)00:20:20
遣りかけの仕事の合間にまた新しいものに手を付けるので
頭の切り替えのきっかけの為に、手の甲に覚書をしておく。
甲で足りなくなれば、掌に。
掌が埋まれば、手首に。
黒く字が渦巻く肌の上が、呪詛のようにも見える。
最終的に肘の内側に覚書をしている時
掌の上の数字の羅列がこっそり逃げ出して
動脈に潜り込むのが見えた。
指先の血管の細さでその数字が塞き止められてもがいている感触がする。
覚醒。
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