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┗611.夢のうつつの(23-27/66)

|||1-||||リロ
23 :阿近
2007/05/29(火)12:32:54

日差しは、じりじり照っているってのに
空気は凍えそうに冷えて乾いていて

足許のひび割れた地面に
根本からもげて干涸らびた鳥の翼が
片方だけ。

何だか『むごい』気がして
取り敢えず見なかった振りで目を伏せておく。





暗転。

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24 :阿近
2007/06/26(火)12:34:48

深夜。
天には繊月。
強かに酔って局へ戻る途中
道の傍らの低い塀から、足元に降ってきたものが
一つ、二つ。

よくよく見てみればそれはまだ掌に乗る程度の小汚ぇ子猫で
二匹、一塊になって俺を見詰めて
怯えた身の硬さで震えている。

横から視線を感じて振り向けば
痩せたトラの母猫が一匹。
先に行かせた我が子の前に現れた青白い人間が小さい毛の塊に害を加えやしねぇかと
警戒し
威嚇して
瞳孔の肥大した瞳を一杯に見開いている。

たがが春のサカりの産物に何をそんなに執着するのか
剥き出しにされた母性と闘争の本能に何故だか苛付いて
一人で毒吐く。


だっておまえら来年にはまた同じような子を何匹も何匹も孕んで産み落とすくせに。





泥酔状態のまま、頭痛と喉の渇きで覚醒。

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25 :阿近
2007/08/02(木)00:17:55

研究室の籠の中に居る小せぇモンは、
夏の暑さに堪えられずに簡単に動かなくなる。



纏めて袋に突っ込んで廃棄しようとすると
酷い扱いだと誰かが批難した。

桐の柩にでも入れろと言うのか
(そんなのすぐ臭って来るじゃねぇか、と思う)
それとも袋が透けて中身が見えるのが惨いと言うのか。


普通に考えてゴミ袋は半透明だろ。
とか、俺はそんなことを言って誤魔化した。





寒気がして、覚醒。

精製し過ぎたドライアイスの煙が、冷凍室から漏れている。

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26 :阿近
2007/08/02(木)00:21:16

もう随分と
『取り敢えず在る』
だけの俺だが


在れる場所が有ることに、感謝。

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27 :阿近
2007/11/19(月)23:31:14

明け方、局から部屋に戻る道では全てが枯れている。

道の隅で
湿って斑な色になって積み重なっている落葉の山が
力尽きて頂垂れている
何か知らない生き物に見える。

右手の方からじりじり差し込む陽は
空腹か眠気か解んねぇものが喉や腹や眼に蟠ってる今の俺には
乾いた空気と一緒でひたすら痛ぇ。



頭上から、道に跨がって大仰な巣を造っている女郎蜘蛛が見下ろしている。
朝露を何とか繋ぎ留めて重たげな
細っこい糸だけが陽を照り返して
極彩色。

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|||1-||||リロ

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