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┗611.夢のうつつの(47-51/66)
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47 :
阿近
2010/08/10(火)04:54:51
うつらうつらと、仕事をする夢を見ては覚醒を繰り返し
籠の中の鼠をうっかり潰し殺してしまったのが、
虚世か現世か確定出来ずに動揺する。
生物が入った籠を部屋の壁一面に積み上げている自分に、不意に違和感を感じる。
わざわざ死に囲まれて居るようなもんだ。
鼠や鳥や虫は寿命が短いので、一週間に一度は遺骸に触れることになる。
生かす為に飼ってんのか
殺す為に飼ってんのか
この夏を越せるかどうかも解んねぇのに。
眠い。瞼が重い。
暗転。
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48 :
阿近
2010/08/19(木)21:21:59
遠くで何かが喧しく打ち鳴らされているのが聞こえる。
そうか、今日はおまつりだ。
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49 :
阿近
2010/08/23(月)01:30:43
神社のおまつり、は、余りにも豪奢にて絢爛。
この日の為に仕立てた着物で遊女が目抜きを練り歩く。
まだ俺は餓鬼で、
間違っても庇護を受けられるような可愛らしい子供ではないので
独りでまつりの灯りを覗いては密かに胸を躍らせる。
露天や夜店が並ぶ脇道の更に端を、大人の背に隠れながら逃げるように擦り抜ける。
あんずあめ、りんごあめ、射的、鈴かすてら、焼きまんじゅう
甘い匂いを嗅いでいると、自分がどんどん飢えて醜いものになって行く気がする。
もしかすると、賽銭箱の傍に落ちている小銭を掻き集めれば
あんずあめの小さなやつくらいは分けて貰えるのではないかと
地べたを這いずっている内、俺の見ていない間に
どうやらまつりはとっくに終わっていたらしい。
少ない銭を握って振り返った時には、
先程まで参道を埋めていた灯籠の灯りも甘い匂いも金糸の着物も呼び込みの喧噪も
全て最初から無かったかのように消え失せていた。
間の悪いことに雨が降って来たので、境内の軒下に入り込んで蹲る。
賽銭を盗ろうとしたから罰が当たったのかも知れねぇ。
その辺の大人の財布からくすねれば良かったのかも知れねぇ。
そうしたら、飴の欠片を口に含む位は、出来たかも知れねぇのに。
何しろ俺は、餓鬼の上に要領が悪く、駄目な部類の出来なので仕方が無いのだ。
軒下に跳ね返って来る泥で、足の指先がどんどん冷え切って行く。
俺の骨の浮いた踵を溝鼠が齧るので酷く痛い。
でもまァ、同じ軒下で泥塗れになりながら雨宿りをしている辺り、
俺も溝鼠も同類だ。
暗転。
にやあぁ
ぅなああぁぉ
にゃあああぁぉぅ
はぎわらのねこがいうには、ここのいえのしゅじんはびょうきです。
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50 :
阿近
2010/08/25(水)02:32:22
まちがえた。
こまった、こまった。
あの水槽に入れる餌の量をまちがえた。
混合薬の分量をまちがえた。
注文票の文字の上を目が滑ってチャッピーとアルフレッドをとりちがえた。
思い付いた語句を書き留めるまでの間に何を考えていたのかわすれた。
リコリン、アルカロイド、ヒガンバナ、あと一つ語句があった筈なのにわすれた。
呼鈴蟲の詳細な生態と調教方法を纏めた本を何処に置いたのかわからなくなった。
書類の中のどれが俺の字かわからなくなった。
飯を食ってる最中に食ってること自体を忘れて、残飯入りの紙袋を屑篭に入れちまって虫がわいた。
綺麗に整頓されている筈の本を並べ替えるのに三時間掛かった。
まちがえた。局長に伝える時の言葉の使い方を間違った。
わすれた。世辞を言われた時にどう切り返していたのか忘れた。
わからなくなった。自分がどの位の食事とどの位の仕事と、それ以外で、どんな風に二十四時間という皆と同じ規格に従って生きていたのか。
今は。今は大丈夫か?規格通りに行くならどうする。
深夜と呼べる時間帯なので、睡眠を摂るべきだ。
多分それはまちがってはいない。
今までは時によっては深夜に睡眠を摂らず、何かもっと大事なことを優先していた気もするが。
以前の自分に戻ろう、という規律を自分で定めたので、それに従う。
『大事なこと』が今目の前に無いということは、大事なことも大事でなくしてしまうというのが、俺が元に戻るには必要なのかも知れない。
きっちり三時間半の睡眠の後に起床、干し飯と味噌汁、少しの野菜濃縮果汁。片付けて職場へ。目の前の仕事だけを見て冷静に頭を働かせる。
そうか、こんな風に自分を厳しく律すれば、腑抜けねぇ。
間違って、ねぇ筈。
これが、誰にも迷惑を掛けない遣り方の、正解の筈。
ここ最近間違ってばっかで迷惑を掛け通しだったが
何百回もの練習の甲斐有ってか最後は上手く出来た気がする。
あとは、自分を元通りに調教すれば、理想。
ぬくい微睡みから、そろそろ醒めねぇと。
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51 :
阿近
2010/08/26(木)06:22:02
十三隊合同の演習中、事故が起こって義骸が大量に破損…
という悪夢を見たので、
実際に十三隊全てから同時に仕事が来たら、どの順番でやるのか、
優先度を考えてみた。
一番隊 …ま、総隊長だしな。放っておく訳にはいかねぇか。
二番隊 隠密機動の能力はウチにとっても重要なんで、早めに手を付ける。
三番隊 何だか最近勢いが無ぇんだよな、あそこの隊。金払いも悪いし、後回しでいいか。
四番隊 「卯ノ花隊長だけは敵に回すな」と鵯州が言ってた。
五番隊 仕事が遅れたら雛森の嬢ちゃんが気に病みそうだ。なるべく優先する。
六番隊 …被虐嗜好だって噂だよな。後回し。朽木家単体なら優遇。
七番隊 「こんな時こそ他の隊に譲るのが、漢ってもんです」で騙せるな。後回し。
八番隊 副隊長が切り盛りしてるあそこだな。気苦労を減らしてやるか。
九番隊 「射場のオッサンが待ってんだ、お前も待て」で騙せる。
十番隊 後回しにすると、巨乳による窒息攻撃が怖ぇ。
十一番隊 …普段から義骸を粗末にしてる奴らを優先的に持て成してやる義理は無ぇよ。
十二番隊 ウチの義骸は自爆機能付きの使い捨てだからな。外殻を取り替えるだけなら手間じゃねぇ。
十三番隊 隊長の人の好さに付け込めば、納期は永遠に延びる。
>結果。
>優先度高
四
一※蔑ろにすると、開発局の来年度予算編成に魔の手が。
二※副隊長の財源は無視出来ねぇ。
>優先度中
五
八※副隊長の苦労に免じて。
十※おっぱいに免じて。
三※副隊長が暗い。
六
七
九
十二
十三
>優先度低
十一
これでよし。
と思った矢先、こんな朝っぱらから十一番隊の汗臭い伝令が来やがった。
「試しに義骸で腕相撲をしてたら間接がボキボキ外れた」だァ?
知るか。腕一本無くたって死にゃしねぇ。勝手にもげてろ。
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