ラグビーとは、どうしたって怪我の絶えない競技だ。 ぶつかり合って、時には転倒して、肌を擦りむいてしまう。 酷い時は筋肉を痛めてしまったり、ああそうだ、先輩の中には骨折したという人もいたっけな。 だから別に、ぼく自身が怪我をするのなんてなんともない日常なんだ。 それだというのに今日だってぼくの怪我を見て使用人は大慌てだった。怪我をすることに慣れるのではなく、しないように立ち回る事を覚えなさい、だってさ。 ちぇ…。 甘やかし過ぎてしまうところがぼくにはあって、それで我儘な性格に変わっていくのをよく見ていた。 だからだろう、この子にもその現象が起こってしまっているのだろうなと考えるんだ。 ぼくにだけならいいけれど、それで他の人が困ってしまうのを見ていられなくて、どうしたものかなァと悩んでいるよ。 Jonathan Joestar |
最近寒さで早めに目が覚めてしまう。 起きたところで君はまだスヤスヤと寝息を立てていて、前髪で遊んだり瞼にキスをしたってきっと起きないのだろうけれど、ぼくはそうはしないんだ。 午後の授業に出向く前に久しぶりに日記を書こうと思った。 理由とすれば、後半からもきっちりと頑張りたいからだ。 意気込む意思表明をした後ならいつも以上に捗る気がするんだもの。 …そうして自分を叩かないと終わる気のしないレポートの山に頭を抱えてしまうね。 外はすっかり冷え込んでしまっているし、教室だって寒い。 早く家に帰って暖炉の前でのんびりしたいところだけれど、彼も頑張っているのだからぼくだって負けないよ。 そういえば、3日振りに友人と話したんだ。 物凄く久しぶりのような感覚になって驚いて沢山の声を上げてしまったよ。 ぼくが寒さにやられているように、友人も草臥れてしまっているらしいからみんなにも気をつけて欲しいものだなァ…。 なんて、日記を書いて物思いに耽ろうとしたせいだろうか。昼食もちょうどよく消化され始めて若干眠くなってきてしまったぞ…!? これじゃあいけない…!! 次の休み時間までにちゃんと切り上げなくちゃ!! Jonathan Joestar |
先日、とても酷い体調不良に見舞われてしまった。 もちろん、今も万全の状態とは言えないだろう。 ディオとの闘いの後、…いや、始まりの日とも言えるか。あの日の怪我の頃だって、ぼくは自分の怪我よりもエリナを支えるくらいの強さを見せたというのに、大丈夫の一言さえ言えないくらいの苦痛で、その日は誰とも口を聞けないでいたんだ。 けれど、それじゃあ心配を掛けてしまうと思って声を掛けた。 ただ本当に、今は話せないと伝えるだけのつもりだったんだ。 とは言え、理由も知らずにそう言われてしまう事こそ傷付けてしまうだろうかと事情を説明してしまってからというもの、何故か会話が弾んでしまって沢山のことを話す時間になった。 普段からあっけらかんとしていたいと思うぼくは、まさか自分がそんな風に話してしまうだなんて思っても見なかったので、我に帰った今とても驚きを隠せないでいる。 いつの間にか気も楽になった。これは彼のおかげだ。 未だに頭の回らないぼくだけれど、体調が良くなればちゃんと恩返しをしたいと思う。 そういえばもうすぐクリスマスだね。 何か用意しなくちゃと思っていたのに出鼻を挫いてしまったから急な焦りが広がってしまったよ。 最近は日記を書くよりも彼との会話が楽しくて時間いっぱい彼に費やしていたので、今日は久しぶりに書いてみた。 本当に。 さっきまで真剣に戦略を練っていたというのにすぐぼくの頭はお花畑になってしまうんだもの。 心が忙しくて退屈知らずになってしまったや。 こういう些細なことが嬉しくて幸せだって、ちゃんとした言葉でいつか伝えられたらいいな。 ♦ ♦ ♦ 難しい話を簡単に出来る人は賢い。 それを知っていて、賢いのに難しく話すのを意地悪だと思ってしまう。 相手は分からないように、けれど本人は言ったつもりになれるように。 保険を掛けてしまっているのだろう。 やりたい事が終わらなかった。 終わらないのにどんどん増えていくやりたい事たちがぼくに焦りなさいとけしかけてくるんだ。 時間だけは唯一皆に平等に与えられた財産だ。 しっかりと考えて行動しなくちゃ、あっという間に来年になってしまうよ。 やれやれだ。 その為に潔く眠れば早い話なのに、なんとなく今日の会話を振り返ってしまうんだ。 君を抱き締めて眠りたいなんて、いつも君が眠ってしまってからあ…と思い出すように浮かぶんだ。 そうして明日が来たところでぼくは、君と話せていることが嬉しくてその事をすっかり忘れてしまうんだろうな。 今日は君の役に立てたかな。 君の人生の邪魔にならない程度に、ぼくを側に置いていておくれ。 愛しているよ。 Jonathan Joestar |
たくさんの気持ちで大渋滞する今日、ひとつだけ我儘を聞いてくれるという父の言葉でぼくの好きな場所へ。 今は馬車に揺られているし、それぞれが会話をする中ぼくは外を眺めて絡まった毛糸を静かに解こうとしている。 本当は一本の、ひとつの糸だというのに、質量を感じさせるように複雑に絡まって丸くなっているのがぼくの心だ。 今日はそれを整えて、好きな場所で柔らかくして、…そうだな、彼の為のセーターになれるように型取りをしよう。ああ…手先は不器用だからやっぱりマフラーくらいにしようかなァ。 Jonathan Joestar |
あの人を怒らせてしまった。理由がどうであれ、その事実が変わる事はないのだ。 本当は今日中にちゃんと向き合って、あの人の心を理解したかった。最後はごめんねと抱きしめたかったし、きっと苛つく自分をコントロール出来ない事へも不安になっていそうで、大丈夫だと抱き締めて背中を優しく撫でてあげたかった。 そうしたくても出来なかったのは、ぼくが今日一日元気のない日だったからだ。 タイミングが悪かったと言えばそれまでなのだろうけれど、自分のそんな感情を言い訳にしたくはないんだ。 ぼくなんかよりしんどく思っているはずのあの人の心を少しでも軽くしたかった。それの手助けがしたかったんだ。 …けれど、途中まで頑張ったのだけれど、頭が回らないせいで言葉を返すのも時間がかかってしまうし、結局何が言いたいのか分からない言葉になっている気がして口を閉ざしてしまったんだ。 後出しになるよりは全てを飲み込みたいと思うぼくだ。 その不甲斐なさが悔しくて涙が浮かびそうになったけれど、あの人の方が辛いはずだと奥歯を噛んだんだ。 明日にはぼくの頭もスッキリしているのだろうか。 その為に早く寝るべきなのだろうけれど、反省がしたくてつい会話を思い返してしまうんだ。 あの人との初めての喧嘩だ。 とても感情的だった。 そんなあの人の一面を漸く見られたからこそ、未来のぼくたちの為に頭と心を使いたい。 愛しているよ。 ♦ ♦ ♦ 今のぼくが側に居ても苛立たせてしまいそうで、ぼくはソファで寝る事にした。 寒さで風邪を引いてしまわないか、それだけが心配さ。 考えてもみれば、物凄く久しぶりにひとりで眠る気がするよ。 どんなに嫌な事があった日でも、嫌がる君を抱き締めていると眠れるものだから一日の最後は幸せな気分で終わる事が出来ていたなァと思う。 ぼくはつくづく幸せ者で、恵まれていたんだ。 やっぱりソファは硬いし、それでとても冷たい。 これはぼくに対しての戒めなんだ。 君には新しい相棒がいるから大丈夫。悪夢から守ってくれるはずさ。大丈夫だよ。 Jonathan Joestar |