『どうせいちから仕立て直すんだったら』 『みかちゃんに合わせてあげればいいのにね』 バカを言わないでくれ、マドモアゼル。 あれの仕立てたものが僕に合うとでも? 『なら作ってあげたら?』 『みかちゃんもそれを少し期待してたみたいよ?』 それこそ絶対にしないね。 ひとつでも多く、あれの作り出す世界をひとの目に。 だからこそ、デザイン画を前に悩んでいるあれに らしからぬ言葉をかけたのだよ。 自分が作るものより僕のもののほうがと言う人形に 「でも僕は君の作り上げたもののほうが見たいね?」 2020/0107 |
さて、君に合わせてすっかり作りを変えたことだ。 未完成の状態でお披露目をするのは 僕の主義に反するのだけれど いい加減あれもうるさいからね。 古いものを使い回す。 と言っては聞こえが悪いが君も良く拾ってくるだろう。 あれと同じなのだよ。 破り捨てたページは追々直していくとして 彼の要望に応えようか。 2020/0107 |
同じ感情ではないという話。 僕と君が。 君が僕へ向けている感情はおおよそ長い時間の聞き取りの結果、 恋情であるということがわかったのだけれど。 僕のこれはそんなまっすぐなものではない。 折れることもできずに曲がった歪なシルエット。 そんなものをね、送りだす君へあげるのは さすがの僕でもどうかと思うよ。 2020/0106 |
影片が早く鍵を開けろと喧しいのだよ。 そして体裁を整えている側から茶々を入れてくる。 これで僕が起きている間に眠たがるのだから始末に負えないね。 僕よりよほど睡眠を摂っていないのでは……? 僕の人形にあるまじき愚行だ。 どうせ見ているのだろう。早く寝なさい。 2020/0106 |
余白のページ。 |