手に入らないのなら燃やし尽くしてしまいたい。
愛しい人に否定されても、世界あなたが許さなくても、私がその意義を思い出せなくても。
この悲恋を成就させたい。
すべてを『忘却』する前に。

あんな台詞を嘯くのにどれだけ勇気が要ったか、お前にゃわからんだろう。
お前の認識じゃ私はまだお前のものかもしれんが、私の認識からするとお前はもう私のものじゃない。

——ああ、でも恋の魔法使いにはお誂え向きだぜ。
片思いこそ最大出力の秘訣ってな。

◆ ◇ ◆ ◇ ◆

こうしてひとりで（霊夢は見てるにしても）書いてると、思い出す。私が何故日記なんてもんに憧れていたか。
今はもう場所ごと消えたけど、好きな本があったんだ。
霊夢の本を見つけて読むようになったのも、そいつの本が気に入ったから他に面白いものはないかと探した末だった。
そいつはひとりでなんでもない日常をたまに呟いて、そのうちにどうやら恋人ができたらしくて、そしてある日ふっといなくなった。
……会ってみたいとかはないんだが、元気でやってるといいなくらいには思うぜ。

私に吸収あいされることは拒んでおいて、自分の愛は平気で語るところ、永遠に黙らせたくなるくらいに苛々するわ。憎らしいひと。この踵で切り裂いてしまえたらさぞかし気分がよくなることでしょう。

——でも、そんなひとに恋してしまった私の負けね。