同じみーくんでもえらい違いだ。人気者だな菅原。お前はみーくんじゃないって？ところがどっこいマユにとっては僕がみーくんだぜ、今はな。いや今じゃないか、時間軸設定的に。今の僕は長瀬とバカなカップルやってるって設定なので。嘘だけど。なんで独り言で精神に来る自虐を呟いているんだろう。

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長瀬とのアレコレは忘れたい過去で、失いたい現在で。未来ですら長瀬を突き放せていないのだとしたら、菅原はいまいち人選がピンボケしている連続殺人をおっぱじめたりしなかったのかもしれない。
そうしたら長瀬は、死なずに済んだんだろうか。

◆ ◇ ◆ ◇ ◆

「自己紹介文を書きたいんだけどどういうのがいいと思う？」
「自己紹介？ええと……どういうやつッス？」
「実は僕もよくわかってない」
「どんな無茶振りッスか……エアヤンデレするのが好きな嘘日記ですとでも言っときゃいいんじゃないスかね」
「わざわざ長瀬の目につかないところに作り直したのに、まだエアだと思ってたのか」
「はいはいッス」

まるで相手にされなかった。
そして結局自己紹介文は思いつかなかった。

妾はただ、誰かに妾の隣まで堕ちてきてほしいだけ。
この地の底で、妾と共に窒息してくれる誰かがいれば——苦しいままで、加速が止まらないままで、世界あなたを恨んだままだけど。それでも、今よりきっと幸せな筈なのじゃ。きっと。

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一応とりあえずいつもどおりっぽく格好つけてみたけどあんまりそれどころじゃないのじゃー！かなみん助けて、童疲れて動けなーい！ここで呼んでも意味ないんじゃがのー！ふはははは！

毎日私を起こす前、そのナイフを抱き締めてしばらく私を見つめているだろう？時を止めたらいいものを、わざわざ私と同じ時間の中でさ。
そういうところが気に入っているんだ。お前のこと。

星すら見えないバルコニー、花のようなキームンの香り。
ねえ、こんな夜になら、お前とふたりで終わってみるのも悪くないかなと思ったんだよ。
気の迷いだって？そうね。こんなものはせいぜい何十年かしか続かない、くだらなくてつまらないただの気の迷いでしかないんだろう。迷ったまま死ねる人間おまえが羨ましいよ。
本当に、羨ましくて仕方ない。
いつも置いていかれるばかりで、夢から醒めるばかり。それを越えていけるくらいには、私の運命は意味深く愛おしいものだけど……その生をすべて擲ってお前だけを択ぶのも、それはそれで素敵な運命でしょう？

——勿論、私は私にそんなことを許しはしない。たくさんたくさんやりたいことがあるからね。
だけど、こんな綺麗な夜にはそんなふうに迷ってしまうくらいには、私はお前を。……貴方を。

嗚呼、嗚呼、可愛いひと。重みの足りない両想いごっこで私が傷付いてみせるだけの劇がそんなにもお好み？
お生憎。私、素直に悦ばれると退屈してしまう性質なの。悲劇はここでひとり演じるだけにするわ、片方が棒立ちのパ・ド・ドゥなんて美しくないものね？
代わりに、貴方には似合いの喜劇をあげる。だからそこで大人しく笑っていなさいな。なにも知らないままで、朝の陽射しが私たちを別つまで。

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でも、そうね。
貴方と踊ってみたかったわ。白野。